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中野区 たからゆ

2020.11.10.

先日同区の「一の湯」に行き、西武新宿線沿線の行きにくさと銭湯のよさを改めて知ることとなり、仕事の打ち上げを「今日はちょっと…」と失敬して、そそくさと退社。
一昨年の送別会で思うところがあり、こういう会に参加しなくなって久しいが、少人数の会、職場以外のメンバーとざっくばらんな会、クライアントとの会食などは意義を感じつつ参加している。どちらかというと、声をかけることも多いかな。主体的に人と集まっていきたい。

銭湯選び。さて、どこにいくか。

実は、帰り道方向の新越泉、たからゆ、平和湯、井草湯あたりで迷った。私の場合、お遍路が目的なので、サウナ重視ではないのだけれど、あるに越したことはない。ある場合、スチームよりはドライをついつい選びがち。ドライの場合、無音よりは有線かテレビの音があった方が、なんていっているとお遍路が進まないのだけれど。
上記の候補地のうち、井草湯は男性のみサウナあり、ということで三択に。中野はそろそろ区内制覇の大手がかかっており、西武新宿線沿線の真ん中あたりのこちらを選んだが、大当たり!

「野方」駅からてくてく12分ほど。商店街を抜けると、いきなり静かな住宅街。線路を走る電車の音に見送られながら、街灯の明かりを頼りに歩くと、地域センターのような建物の回り込んだところに入り口がある。ちょっとわかりにくいけれど。例によって回数券とサウナ代300円をお支払いし、無料の小タオルとサウナバンドをお借りする。姉妹店については「自分、バイトなんでわからないっす」とお兄さん。変なこと聞いて申し訳ない。

浴場は、手前にカランたっぷり、反L字にサ室、水風呂、電気風呂、バドガシュタイン鉱石のバイブラ、ジェットバス二席、立ちシャワー二席のレイアウト。

先ずは「今日の電流」ね。いま、巷で流行ってるんですよ、知らないの?
こちらの電気コーナーは、幅が70cmほどでかなり狭い。ジェットバスでゆったりされている常連さんのタイミングを伺い声を掛け、強さについて事情聴取。そんなに強くはないとのことで、きっかりセンターを守り電気板に平行に入脚するも、ほぼ何も感じない。聞けば、常連さんもはじめは怖くて、一緒にきたお友だちに「電気に入りながら隣の水風呂に手を入れると、手を伝わって水風呂に電気が放電されるからあまり痛くないよ」といわれたらしく、初回はなるほどと膝を打ったのだそう。二回目の訪問時に、すっかり忘れて電気に浸かっていたら、前と変わらない電力を感じたそうだ。物理学的に、一体全体どういう道理なのだろうか。常連さんは、そこまで話をしてくれたにもかかわらず「水に手を入れると弱くなるよ」と丁寧に教えてくださった。
教えを無視して、脚を平行から水平へと向きを変えてみる。すると、両脚は電気板まで15cmずつ。少しずつ仁王立ちにしてみると、弱めに揉み解されるような気もするし、電力が少しずつ変化しているような気もする。今日はここまでだ、センキュー。本気になったら、ロッカーキーとかを電極版の間に落として拾う、そんな練習もアリだね。やりたくないけれど。

隣の水風呂もそこそこ冷えて、ジェットバスは弱めながらに気持ちいい。ラドン湯の効果は知らんけど、常連さんも「これ、眉唾物よね」といっていた。こくり。

さて、こちらで特筆すべきは、サウナだ。では、サ室の楽曲の数々を紹介させてほしい。
扉前の実家サイズの大きなマットを借りて入室するやいなや、芳村真理さんからマイクを渡された気分。
「15の夜」のサビからですよ。貸切だから歌うよね、有線にご唱和させてもらう。続いての楽曲。
角松敏生「You're My Only Shinin' Star」
小坂明子「あなた」
アラジン「完全無欠のロックンローラー」
さだまさし「女ひとり」
V6「出せない手紙を」
篠原涼子「愛しさと切なさと心強さと」
ピンク・レディー「UFO」
五木ひろしっぽいの
と知らない曲はふんふんと聴き、知っている曲、5つほど演らせてもらった。
さださん好きすぎて、お仕事に無理矢理組み込ませてもらったことがあるが、とてもいい方だったなあ。仕事そっちのけで、サインをもらう、なんてことはできなかったが、前職での一番の思い出かも。本当に年末のでも通常のでも、なんでもいいのでライブ行きたい。
それはそうと、「あなた」の歌詞の怖さに震えるね。どんな背景かわからないけれど、妄想のなかで家を建てて、犬を飼って、その横にあなたがいる、って。いや、彼がお亡くなりになっているのが背景にあるならば、申し訳ないんだけれど。古いサ室のガタつく板の上でちょっと怖かった。
ピンク・レディーでは、身体が自然と動くよね。そして、ミーちゃんに似ていたと自分でいっていた、亡き母を思い出す。もう亡くなって10年になる。父、弟と看取ったあの冬の朝が昨日のよう、とはいわない。でもね、一緒に銭湯、来たかったねえ。サウナも好きだったといっていたけれど、長湯タイプではなかったよね。常連さんたちとも仲よくするタイプだったのか、それともストイックなサウナーだったのか。今となっては垣間見ることはできないが、なんとなく予想はできる。しめるときはしめる、ちょっと怖いタイプだったんじゃないかな。

常連さんとは、水風呂に入るタイミングごとに、ご家族の話やお遍路の話、この辺りのほかの銭湯についておしゃべり。家人が銭湯巡りにややアンチなことを話すと、「私もそうだったのよ、うちの旦那、また銭湯いくのかっ、て」、うんうん、うちと一緒。「でも、私の人生なんだからねえ。旦那は3年前に亡くなっちゃったんだけどね、私はこれでよかったのかなあ」、むむむ、本当は一緒に通いたかったのではないかなと思った。きっと、旦那さんも。お互いの家族の故人の話をしつつ、先の常連さんは野方に戻る道すがら、お惣菜が人気の「鳥富士」の女将さんなことも判明。「お店に来てね、お風呂で会ったって教えてね」と。今度は買い物もしようっと。「旦那さん、大事にね」と常連さん。はい、一緒に通えるように、洗脳します!

お風呂から上がり、脱衣所を見渡すと、すぐ脇の縁側の自転車運動器、休憩椅子、マッサージチェア、御釜ドライヤーと充実の設備。サウナからこちらには少し距離があるが、大休憩を挟んだ2時間コースなら一休みもいいかもね。そして雑誌のセレクトも味わい深い。

きっとここは姉妹店があるはず。どなたか探索してほしい。

サウナ:8分 × 5
水風呂:1-5分 × 5
休憩:5分 × 5
合計:5セット
サ 84℃ 水 20℃

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