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ハウツー王滝 ~SDA王滝MTB100km出場を目指している方へ~

 先日練習仲間と話していると、「いつかは王滝出てみたいんですよね」と。MTBを持っていなくても、オフロードを自転車で走ったことがない人でも、SDA王滝の名前は知れ渡っているようです。そこで、王滝100kmを完走したいけどどうやったらいいの?という方向けに記事を書くことにしました。



1. SDA王滝MTB100kmとは


 SDAはセルフディスカバリーアドベンチャーの略。よくわからないですけど、自分見つけの冒険ということでしょうか。Powersportsが運営するエンデュランスレースです。長野県の山奥、王滝村で開催されます。春と秋の年2回開催ですが、最近はコロナの影響で開催されない年もありました。その中でもMTB100kmはメインの種目。一番エントリー数が多いカテゴリで、今回も660名がエントリーされていました。


山奥でドロドロのヘロヘロになりたい人が千人も
ほんま自分らヘンタイやなぁ


2. 機材編


 MTBって種類が多くて、よくわからない(当社比)ですよね。王滝に出るならどんなバイクがいいの?ってやつです。29インチXC(クロカン)フルサスでいいかと。MTBってタイヤの径やハブの幅が時代によって変化(進化)してきているので、これも5年後くらいには違ってきているかもしれませんけど。

 よくハードテイルか、フルサスかみたいな論議になると思うのですが、王滝はフルサスがいいです。とにかく有利。短時間のレースや、コースによってはハードテイルが有利かもみたいなレースもあるんですが、王滝に関してはフルサスが有利だと思います。長い坂が楽だし、細かいくぼみでプッシュが効きます。

 会場で展示されていた松本駿選手のバイクがCanyon LuxにフロントサスがFOXの34をインストールしていたものでした。池田選手よりひとつ太いサス、このほうが下りは安心なのかもしれません。市販されているものでは最近発売されたCanyon Lux Trail(ダウンカントリー)なんて120ミリストロークのサスにドロッパ―標準装備でとてもいいかもしれません。

 私が使用しているのは、GiantのAnthem(アンセム)のアルミフルサス29インチです。フルサスでないとだめなの?いえ、そんなことはありません。オフロードを走行可能なきちんとしたMTBならなんでもいいです。きっと完走できます。より速く、より楽に完走したければというお話です。

 あとドロッパーシートポスト、これはあった方がいいです。今回のレースですごく使いました。後付けで4万円かけた甲斐がありました。下りは安心だし、休めるし、疲れてからの上りではちょっとだけサドル下げると脚が回りやすかったり。とてもよかったです。

 本番前に輪心店長の木村さんに整備をしてもらうと
・レース用の繊維多めのシーラントがあったから入れておきました
・サスのインナーパイプにオイル勝手に塗りました
おいおい。ここはサービスのいい居酒屋かよ。枝豆サービスでつけておきました、みたいな(´∀`=)

 ジャイアントのTCX発表されましたね。ほしい方はぜひ輪心で。大賀の名前を出すと特典があるとかないとか。あとわたしにTCXのフレーム買ってくれる方ありがとうございます。


ノートラブルノーパンクでした👍


シマノ製ドロッパーシートポスト



サドルもロードに合わせた
軽くてかっちりしててええのよ



サイコンには命綱必須



3. 装備編


 ここでいう装備とは、修理キットなど携帯するもののお話。これについては優勝者の池田祐樹選手が記事にされていたのでリンク貼っておきます。
https://www.yukiikeda.net/blog.html?fbclid=IwAR0sYNpT_D8SdpX7FCji5zSBMgs443fxfdqhCTOZYVdsE9Wwrx08ZI5QEg4#/detail/7559097319356063626

 池田選手はトピークの提供を受けていることもあってサドルバックを使用されていますが、あまりおすすめしません。なぜならサドルバッグは、勝手に開いて中身が飛び出したり、サドルバッグ自体が飛んで行っていたなどのトラブルをよく聞くからです。

 私はフロントバッグを使用しました。必要なもの、装備しているものは目に見える範囲に装着することを強くおすすめします。王滝の路面の荒れは相当なもので、ガタガタ揺れ続けるといろんなものが外れて、落ちてしまいます。



ちょうどいいサイズのフロントバックってなかなかないのよねー



4. 補給編


 これも選手によっていろいろ個人差はあると思いますが、リザルトに大きく影響します。まずは自分のレース時間を見積もり、そこから必要な水分量、カロリーを予測してください。4年前の大会ではハイドレーションに水を入れ、固形食をトップチューブにたくさん貼り付けて走りました。
・水→塩分チャージをたくさん食べてもトイレに行きたくなり、タイムロス
・固形食→のどにつまる、疲れてくると食べたくなくなる。

 検討の結果、、、
・水分→グランフォンドウォーター濃いめ950ml
    スピードウォーター通常750ml
 結果としてスピードウォーターが6割残った
・ジェル→グランフォンドウォーターを溶かしたジェルを250mlと150mlのサロモンフラスコボトルに入れて使用
 結果として250mlは完飲、150mlは半分残った

 この補給プランは最高でした。ハンガーノックの感覚はなかったし、必要なときにこまめに補給できました。さらにグランフォンドウォーターの商品説明にあるとおり、カリウムが配合されていないことからトイレの心配が少なくなります。最後まで踏める(当社比)上、ノンストップで走りきることができました。気分転換のために背面ポケットにようかんとエネもちを入れていましたが、結局手つかずでした。

 装着場所ですが、ジェルは背中のポケットに。ボトルはドリンクホルダーに一本、ハンドルに一本装着しました。アンセムはドリンクホルダーがひとつしかつけられなくて、どこかへ増設するか悩んだ末の結論が、アピデュラのフードポーチでした。これをハンドルに装着するというものでした。以前につむり氏のブログで「ボトルがすっぽり入る」と書いていたのを思い出して採用しました。


これがジェル製造現場だ!



アピデュラのフードポーチ




5. 前日から当日の朝編


 宿泊は車中泊。とにかく早めに寝ます。会場の駐車場は19時ごろには静かになり、酒盛りをする人なんていません。みんなさっさと寝てしまいます。結局熟睡できたのは2時間ほどでしたけど、トータル7時間ほど横になって目をつぶっていれば回復します。と自分に言い聞かせています。

 当日の朝はバイク整列があります。公式アナウンスでは整列4:30となっていますが、3:00ごろには整列前整列というのがあります。これをしないと前のほうからスタートできません。

 あとトイレがかなり混み合います。早めの行動が大切です。19時就寝、2時起床でした。朝ごはんもたっぷり食べます。大体1300kcalほど摂取しました。

 会場近くで食事を手に入れようと考えていると痛い目に合います。なにしろ千人近くが王滝に押し寄せるので、コンビニやスーパーの棚からお弁当やおにぎり、サンドウィッチがなくなります。自宅近くで高速に乗る前に、少し多めに手に入れておくことを強くおすすめします。今回は夕食に缶詰(焼き鳥)を持って行ったのですが、いいですね缶詰。食べたくなければ残しておいても腐らないですから。



整列前整列




6. 必要なトレーニング編


 まずは上りのトレーニング。王滝はコースのほとんどが上りと下りです。上れないと痛い目を見ます。思った以上に厳しいコースで、脚攣り頻発で地獄を見たなんていうことを聞いたりします。オフロードの100kmはほんとうにしんどいです。しかも100kmで2500~3000メートルくらい上ります。

 あとは下りの練習。私自身、下りはへたっぴなんですが、下り方(体重移動、ブレーキ、ライン)を何も知らないとケガをします。実際に4年前のレースでは、最初の下りで「そういえば下り方しらねーんだったわ」とブレーキをした途端にフロントを滑らせて、ディレイラーハンガーが曲がり、膝と臀部から出血しまくったのはいい思い出です。真似してはいけません。

 おすすめは、王滝の前にどこか別のレースに出場すること。探せば安いエントリーフィーの大会もあるものです。そこでオフロードの上り方、下り方、しんどさを経験すれば王滝も走りやすいと思います。

 ほかのレースならリタイアしても簡単にスタート地点やピットに戻ることができますが、王滝は簡単にリタイヤさせてくれません。スタート地点に帰るのも自力です。山道をとぼとぼ自転車押し歩き、、、しかも数十キロなんて考えるだけでつらいです。※実際にレース当日も様々な事情で押し歩きをしている参加者の方を見かけることもあります。
 何度も言いますが、初レースにSDA王滝を選んではいけません(※わたし)。


4年前 出血した右膝がチャームポイント


7. まとめ


 以上、簡単にですが王滝100km完走に向けての記事でした。このレースは出場された方の話を聞かないとわからないところが非常に多いです。顔見知りの方、特に六甲山界隈の方は直接きいてくださったらいいかと思います。

 え?わたし?しばらくはいいかな。しんどすぎますって。今回は入賞できたのでひとまず卒業扱いということで。またいつか、なんとなく出てみたくなったら考えます。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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