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連載『建材試験図鑑』ができるまで ~試験技術をイラストで解説~

🌅≪はじまりに寄せて≫🌅

◆1.コンセプトについて📖✨

 『建材試験図鑑』とは、「一般財団法人建材試験センター(JTCCM)さんが実施されている、数々の建材試験について、イラストでたのしく解説🎨」していく連載企画です😊✨

建材試験図鑑とは

以下の画像クリックで無料でお読み頂けます😊📖!
(建材試験センターさんの機関誌「建材試験情報」の電子ブックへGO✨)

建材試験情報Vol.59,2023年1・2月号pp38-pp39 『建材試験図鑑』著 大樹七海・建介

◆2.目的🌈✨

 土木・建築のこと、こんなにお世話になっている、社会の超重要なインフラ💦なのに、その技術、それに関わる方々の世界を、なんにも知らない・・・😨私は、建材試験センターさんの取材で知り始めてから、その現状にショックを受けたり、感銘を受けたりしました😮こんなに知らないというのは、まずいのではないか、と感じ、もっと知りたい、という気持ちが強くなりました📝
 土木・建築の方々はかなり強い思いで、活動を知って欲しい、ということを長年感じられておられていることも知りました。その一員でいらっしゃる建介さんが何か出来ないだろうか、と私を誘われました🤝

 そこで、シロウトにもわかる形で、なにが行われているのか、その重要性をお伝えしていくという連載になると思います。作りながら、よりよい形を考えていきます🤭✨!

『建材試験図鑑』は万人向け!?

◆3.創り手と世界観🌐✨

 コンテンツとして形にする、ということについては、建材試験センターの技術者の建介さん科学・知財クリエイターの大樹七海が手を動かし、建材試験センターのみなさんと(多くの方々のご協力の基に)にしていくのですが、建材試験が必要とされている存在というのは、建築土木に関わる様々な方々(政府・企業・大学・団体など)との関係において成り立っています。その分野の方々やその分野外の方々が共感できるものとして創り上げていくという世界観で、このコンテンツは創られていくものだと思います。

◆4.はじまりのきっかけ👣✨

 私は日本規格協会の専門誌「大樹七海の規格と標準化探訪」という技術マンガを連載していました。その中で、日本規格協会の方と一緒に建材試験センターさんを取材しました。

一般財団法人日本規格協会『標準化と品質管理』2018年10月号 著 大樹七海

全文をお読みになりたい方は以下をクリックください。

このとき、私は建材試験センターの皆様のご活動を素晴らしいものと感じました(何時間も技術の話で盛り上がりました)。そうして出来あがった誌面を見られて行動を起こされたのが、機関誌委員であられた建介さんです。
 「建材試験(を通して、土木・建築の世界を)広く知ってもらいたい」という情熱を強く持たれていて、私の日本規格協会さんでのマンガ(標準化と規格分野の解説をしていくもの)のように、建材技術の分野で何かできないだろうか、というご相談を受け、お力になりたいと思いました。そこで企画を数々お出しし、健介さんが建材試験センターさんで色々と諮られたところ、なかでも「建材試験図鑑」のコンセプトが最多好感触で、これで行ってみようか、ということになりました。こうして二人で1年前からアイデアを詰めていって、建材試験センターの皆さんと揉んで出来上がってきたのが、「建材試験図鑑」です。

◆5.誌面のくふう🔧✨

 技術の世界に生きていると、日々、油か泥か金属や木くずか埃にまみれたり、装置や薬品に囲まれ、数値と格闘したりしています。いうなれば、灰色だったり、地味だったり、細かいなぁ、と見えるかもしれないです(その微細なところを追い求めていくところに、自然科学を技術として利用し、ものを正確に作り上げて、望むものを手に入れていける、モノづくりに関わる特権があるのですが!)
 この格闘は、「すてきなところに生きることが出来る」という夢を創っています。
 温度や湿度がここちよい🌞、天候や災害☔🌧️❄️🌊や病気や害獣などなど、おびえる、弱い、我々を守ってくれる家🏠、
 楽しい思い出や感動をくれる施設や建物🎡🏢🏛️🏘️🕌🏰🏯🗼🌉、
 地球環境まで考えて、健全な社会として続けられるように、日々技術革新とその維持をしている🦺🛠️🧱👷‍♀️👷‍♂️👷、
 そういう世界を実現してくれる、一歩一歩が詰まっている
と感じています👨‍👩‍👧‍👦
 誌面のくふう、は、「この日々のたゆみない技術と格闘が、夢に繋がることがわかる、工夫のたのしさを感じられるもの🌈」、という、くふうを凝らしてお届けしたいと思っています。これは私が作品を創るにあたり一環して持っているテーマです。

建材試験情報Vol.59,2023年1・2月号pp40 『建材試験図鑑』著 大樹七海・建介

◆6.内容ができるまで🤹✨

 建介さん(建材試験技術者の方)から、長年&日頃から湧いて出てくる思いを感じています✨。つたえたい建材試験技術を、どういう風にお出しして、どうお伝えすれば、わかりやすいか、内容を考えていかれます。具体的には、多数の技術的知見、技術的資料や技術写真の収集、取材内容の検討と選定、関係者ヒアリング等に基づき(大樹七海も取材に同行&同資料等を検討)、試験の流れ解説を作り、様々な関係調整などを経た原案📝を作り上げられます。

 私は知財の専門家(弁理士)💡ですが、専門技術を、別の専門の方々、一般の方々に伝えるのは難しい🤔と常々感じています。でも、そこでうまく伝えることを諦めては、若い方・専門外の方々・支援者の流入という裾野の広がり、産業の発展を願う点で、よくない😣と思っているので、技術や法律の世界を伝える(そのための存在価値はどこにあるのかと考えながら)ということの工夫に挑戦し続けています。なので技術の世界に生きている方々の思いに共感するのです🥰むしろ、そういう難しさこそ、自分が向かわないといけない分野として定めています。

【おまけ】:土木建築と知財についてご興味のある方は以下をどうぞ!

  間違いがないことは大事ですが、しかし専門用語と数値だけでは、はじめてみる専門外の方々には、まったくイメージがつきません。なにが大事なのか、なにを(最終的に)目指しているところの作業なのか、わかりません😵‍💫(下手すると、専門家もちゃんと考えていないとルーティンになりすぎていて、究極的になんのためにそれをしているのか忘れていたりします😳)また、わかりやすいだけでなく、楽しく興味を持てるように見て頂くためには、違う角度からの様々な工夫が要ります💡✨

 このあたり、建介さん(技術者&マンガ等が好き、好みなども近いので)と建材技術ドシロウトの大樹七海(ギモン)がディスカッションをして、技術原案を、一般にも通用するエンタメとしてのコンテンツにもっていくためにもんでいきます🌈✨。二人がもんだあと、さらに建材試験センターの各技術専門家の方々の査読や、私が信頼を寄せる一般査読者の方々ともんで、「客観的に、よりわかりやすく、楽しい」という方向になるブラッシュアップを重ねて、そして出来上がってきます📖

【おまけ】:「キン肉マン」に思いをよせて😄

◆7.イラスト(コンテンツ演出)のくふう

①キャラクターデザイン:ナマケモノとウサギ

~ナマケモノのこと~

 建介さんが、ナマケモノの化身として現れたい、ということで(なんででしょうね、そういえば当たり前に受け入れていて、聞いていませんでした😅でも願望はわからなくないですけれどね😄!)、
「ナマケモノってどいういう生き物なんだろう」を調べるところから始めました。わからないと描けませんからね!
 そうしたら、ナマケモノって、見た感じ五本指じゃなくて、三本や二本(ミユビナマケモノ科と、フタユビナマケモノ科)!でも動物あるあるで、進化の過程で、馬の指を1本と捉えることも、パンダの指を7本と捉えることもあります。詳しくは皆さん、調べてみて下さい😊。

 どういう手の構造になっているのか、はっきりした写真を探すのも難しかったのですが、すごく立派な鍵爪をお持ちなんです。その長くて立派な鍵爪によって、ほどんど木にぶら下がって一日20時間も寝ながら過ごしているようです。そして、あまり動かないでも葉っぱが食べられるよう、首が180度も回るんですって! 
 長い鍵爪、長い腕、首が180度回る(貞子?!)、ちょっとこわい感じになるかも(汗)
 うまく描いたり動かしたりしないと、読者の方は気味悪いかな、見たいって思ってくれないかな、って心配になるわけです。
 そして、ナマケモノの化身は土木建築の技術者なわけで、さてどう両立させたらよいものだろうかと(汗)
 ナマケモノのイラストで世界で出ているものを調べたら、ほとんどが人間の手みたいでした。
 色々と考えたのですが、

ナマケモノ「らしさ」も
土木建築に携わる人「らしさ」も、できるだけ、残したい。
健介さんの丁寧で優しいお人柄もうまく出したい。

 土木建築に携わる人や建材試験センターのみなさんの着ている服は作業着でヘルメットをかぶったりされますから、その資料を集めたり、お話を聞くことで「らしさ」を表現しました。健介さんも自画像イメージを創られたり、また私も健介さんも昆虫好き仲間でもあって生き物好きで、だいたい好きの方向性がわかっていて、ここは色々な思いを受け止めるところです。

 さて、先のナマケモノらしさは、心配ながらも、その特徴を残すことにしました。それから、私は「かわいい」を語ると止まらない専門家を自負、「かわいいとは何か」について、長年研究してきていますので、かわいい、というデザインを追求し、何案もボツにしたあとに、
こわい、きもちわるい、へん、ぶきみ、動かせない、ということがない、そして建介さんが解説するにあたり違和感がない、ということを考えて、このデザイン
が生まれました✨
 
そして、ナナウサの方は、ケンスケ(ナマケモノ化身)に合わせ、新年の連載開始干支「卯年」にも合わせて、ウサギ化身のこのデザインが生まれました。

~反響~

 第一回を公開したところ、とりわけ、動物好きの方々から最初にあがった声が、「あの爪がいい!」。これには、驚くとともに、やはり、いきものを見ている方々は、目の付け所が違うと思いました。このデザインで出すことはこわかったのですが、むしろそれがいい、というその声に勇気づけられました。そして、ヘルメットと作業着についても、「似合ってる~!」⛑というお声を多数いただき、さらに「癒しになっています」😍、というお言葉まで!私たちは飛び上がって喜んでいます🙇‍♀️🥰健介さんの真摯なお人柄が、このデザインを可能としていると思います。なかなか描くというのは難しい面も多く、これからも考えながら造形していきますが、色々な表情・姿をお見せできるようにと😊
コメント御寄せ下さいました皆様、ありがとうございます🥰

②コンテンツのくふう わかりやすく楽しいこと

 私が尊敬する作家の方は、科学技術と社会、人間の成長の観点から、藤子・F・不二雄先生(マンガ)、かこさとし先生(絵本)です。(他にも沢山ですが…)

 また、宮崎駿監督も大好き、ウォルト・ディズニーやピクサーの思想も大好きです😍

ウォルト・ディズニーのみた夢

https://www.tokyodisneyresort.jp/tdr/resort/walt.html

ピクサー・アニメーションの『ルクソーJr.』、大好き!


 ナマケモノの初期スケッチは、限られた方にしか見せていませんが、初期と現在のディズニーのような、3D躍動のクリエイションです。ただ、これを一人で紙面上実現するには、時間と労力の制約上難しいのです。ディズニーやピクサー、ポケモンやファイナルファンタジーのような映画手法になってきますから。
 そこで、ドラえもんのような、描き続けられるデザイン🎨
 また万人がらくがきに描けるような、愛らしい、シンプルなデザイン🎨として、落とし込んでいきました。

 着色の傾向は技術の進展により近年複雑化していますが、これも明確なメッセージの伝え方のために単純化し、ぱっとみて、判断がつく、楽しいと思う色彩🎨、を検討して絞り込みをしていきました(キャラクターデザイン
 また、マンガの文法に合うように、原案を基に、わかりやすい内容や文章表現の追求、伝わる文字のデザインの追求、色彩やキャラクターの動きがあたえる影響の追求、編集と校正、色彩設計、装丁で行うような総合作業などをしていきます。そうして、このナマケモノがぶらぶらと、コマ枠にぶらさがり、堅苦しくなく誌面を自由に動き回り、ウサギが、ぴょんぴょんと、楽しさや驚きに反応して、素直に心豊かに動く姿に、一見、灰色で難しくて地味に思われる技術の世界を、彼らの目を通して、読者の方々を、未知を発見する、楽しい探訪の旅へ連れていってくれるものとして、表現していきます。(限られた誌面のなかで、技術解説を入れ込む、難題のなかですが)

③デザインのくふう:レンガのわく

 ちなみに枠線は、温かみのある手書きのレンガにしています。
これは、宮崎駿監督が名作ナウシカを描かれる際に、コマの枠線が全て手書きだ、ということによります。
私たちは、人間の手によるものであることを、微かなヒントからも感じます。
「人間が、この社会を成り立たせている」これを、私は失いたくないと思っていて、無機質な線で囲って、無機質なものを、無機質に扱う、非個性で、のっぺらになっていく機械的な感じで作っていきたくないと思いました。
 いまの世の中は、人間やいきものであることから、離れていく、非いきもの化していくデザインが、近未来化というイメージになっている、とも感じなくありません。
 それもそれで、わかりながらも、この連載の世界観は、「機械ではない人間がそこにいる(はたらいている)こと、そうした研鑽により社会が支えられていること」を出していきたいのです。これは健介さんのセリフに熟練技術者、という言葉があるように、試験まであって、職人のような技術研鑽が発揮されていることを、健介さん(建材試験に関わる方)がお伝えしたいという思いをデザインしていくものです。レンガブロックは人間が手積みをしていったから歪みがある、火の通りで色が違う、長年の風化に耐えて形が違う、そんな風に、建材の歴史が生まれて経年変化していったことに思いを馳せて、このコマ枠を描きました。私は、横浜生まれですが、横浜の赤レンガの建物にワクワクし、東京に行けば、東京駅の赤レンガ駅舎にロマンを感じます。

 また、人類が手にした建材の歴史から、現在は高層建築として発展してきた技術に、やはりロマンを感じます(ドバイの高層建築に日本の技術があることをマンガで描きました)。誌面からワクワクを感じて頂けるように。なお、赤レンガが緑がかってみえるのは時を経て苔蒸しているからで、植物が絡んでいるのも、建築と自然の調和を表現したいと思ってのデザインと色彩です。以下は、子供のころからコンクリートに興味があって(これは多くの方がその不思議さのとりこになっていると思うのですが)、人類とコンクリートとのお付き合い、というのも大きなテーマだと思っています。


◆8.これから

 さて、大変に長くなりましたが、ここまでお読み下さった方、ありがとうございます🙇‍♀️物事をスタートする上で、設計思想、ビジョン、その分野への愛情というものは大事だと思います。上記の流れで完成を見ていくこととなります。
 ケンスケとナナウサが飛び回る『建材試験図鑑』、建材試験の世界に興味を抱く、建物や建造物が好き、そうした技術にロマンを感じる、そんな皆様に愛されるものとなるように願っています🥰🌈✨

第一回の完成に寄せて 大樹七海 拝

【おまけ】:知財の誌面講座も、建材試験情報誌に連載しています。こちらもあわせてどうぞ😊!


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