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アナログゲーム遊んだり作ったりする事がデジタルゲームの制作に役に立つよという話

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2018 6日目の投稿になります。

凄く長くなってしまいましたので、凄く暇な時にでも読んで頂けると幸いです・・・

自己紹介&概要

大体の方はじめまして、Twitterとかではオークマネコ(@ookumaneko_XD)という名前でやってます。他にブログもやっているのですが、ボードゲーム関連の話は別の所でやろうと思い今回試しにここに書いてみてます。

今回は記事のタイトル通り、アナログゲームを遊んだり制作するのはデジゲー制作にも役に立つと思いますよーという話です。

[*注]ここではラブレター等のカードゲームってボードゲームなの??って人にも向けているので、アナログゲームって表記にしています

自分は元々は仕事としてゲーム関連の会社でプログラマーとしてゲーム機向けのゲームを制作した後、数年N.E.E.Tを挟んで現在はVRゲームの制作等をしています。

平行してプライベートではデジタル、アナログ、VR問わず色々な全然売れないしょっぱいゲームを作ったり、作るふりをして寝てたりします。アナログ系で言えばアニュビスの仮面ウルタールの化け猫ワールドループトリガー等の制作とかをしていました(アナログとは?)。

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(ファミ通さんのウルタールの化け猫よろしく!)

という感じなのですが、ゲームを作っているとはいえしょっぱい事が多い、ゲームデザイン力はまだまだ全然無い自分みたいな人や、これからデジタルゲームのゲームデザイン覚えたい!って人にはアナログゲームを遊んだり作ったりする所から初めてみるのも良いのではないかという話をしていきます。

ちなみに人からの受け売りも入ってるので、聞いたことある話が入ってたら「そだねー」って温かい目で見て頂けると助かります。

何故アナログゲーム?

アナログゲームは【ルールが体験を生み出す】プロセスを余分なレイヤーを介さずに味わう事が出来ます。

え、どゆこと??ってなるかも知れませんが、デジタルゲームにはまず遊びのルールの前に、その世界を構築しているルールが結構あります。

ゲームによるとは思いますが、某最後なファンタジーとか、世界がフォールアウトしてるゲームや、運命が/崇高な勅命する様なゲームの場合、プログラムとかで組まれた:当たり判定を含んだ物理、地形、キャラの動き、ガチャ、AIの挙動、ガチャ、移動経路探索、ガチャ、ガチャ、etcetc...

と遊びのルールの前に、各々が体験に影響を与えてしまう世界のルールが様々にあります。デジタルゲームでそれらの内部処理を1個1個紐解いて行くのは結構難しい事です(ガチャは単体で遊びだよ!というツッコミがあってもスルーして行く方向で)。

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(色々と謎いゲームもあるしね)

これらの要因の為、遊ぶプレイヤーの立場からでは体験を生み出している遊びのルールは結構曖昧になってしまいます。その影響でルールの分析が凄く難しく、理解も模範も難しいです。最初にこれらの分析から始めるのは難易度が上がります(自分も未だにあまり上手く出来ない・・・)。

対してアナログゲーム、特にボードゲームの場合は基本的にはプレイヤーから分析出来ない所で何か処理が起こる事はあまり無いため、純粋にルールの組み合わせによって生まれる体験を解体しやすいです。そのため、ゲームの分析を始めるのに非常に向いています。

アナログゲームを遊ぶと何が良い?

アナログゲームは一部例外を除いてはゲームのアクションやプレイヤーの行動への誘導はルールが記載された説明書をベースに行われます。そのため、ゲームデザインを分析し、学ぶのにアナログゲームの説明書は結構役に立ちます。

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また下記に記載しますが、アナログゲームは基本物理のコンポーネントとルール/指示で構成されているため、分析の為のルール変更をしての検証が容易でこれも学習の為には凄く役に立ちます。

説明書

デジタルゲームはチュートリアルが有ったり、そもそもプレイヤーの行動に制限を掛ける事で、想定外の行動を強制的にさせない様に出来ます。

対してアナログゲームは説明書で理解して思い通りの体験をして貰う必要があり、それが上手く行かなかった場合全く想定外のゲーム体験をして微妙な時間になってしまう事があります(あります(本当にありますorz

[*注]今回は勉強用途前提での解説の為、人に説明して貰った時の事はスルーしてます。

その為、説明書から学べる事は良い例も悪い例も沢山あります。一例として、ゲームを遊ぶ前に説明書を読んでこういう検証や妄想をして様々な疑問に答えてみても良いのでは?という項目をリストアップしてみます。遊んだ後同じ事やるのも全然ありだと思います:

 1. ゲーム体験がどの様になるか想像してみる

遊んだプレイヤーはどんな体験をする?

どんな気持ちになる?

どんな事で迷う?

どこで喜ぶ?

どこでイラつく?

どこで盛り上がる?

最後は盛り上がる?

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(ルールとして「にゃーにゃー」叫ぶのはどんな体験になる?)

2. 何が最適な行動かを考えてみる

プレイヤーは何が最適だと思って行動する?

どのカードを切るのが最適?

どの資源を獲得するのが一番得?

プレイヤーは皆同じ行動する?

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(皆同じタイミングで同じカード出す?)

3. ルールを一部変えてみたらどう変化するか考えてみる

プレイヤーの行動にどの様な影響を及ぼす?

ちゃんと成立する?

破綻するとしたら何処がする?

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例えばカタンでバーストが無かったらどうなる?等。

4. 何故ゲームデザイナーはこのルールをつけたか考えてみる

各々のルールがどの様に絡み合って1個の体験に繋がるかを紐解いてみる。

個別のルールが有ることで上記で考えた体験にどう影響を与える?

どのルールが体験を生み出している?

他のルールと絡まる事でどうなる?

5. 例外処理や、明らかに浮いているルールは何故存在するか考えてみる

無くなった場合は何が破綻する?

この例外処理は何時考えられたと思う?

他が出来た後に修正当てる感じで考えられたのか、それが有ることでゲームが成立するのか?

それとも例外処理とか変なルールだと思ったら体験の向上になってたりしない?

とまあ、色々偉そうにリストアップしましたが、自分自身説明書読むの下手で、ゲームの理解を良く間違ったり時間かかったりします orz。そういう時にどうすればもっと分かりやすくなるのか?そうならなかったのは物理スペース等の何かしらの制限が原因なのか、を考えても良いかも知れません。

アナログゲームはどう遊べば良い?

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(この手にサイコロ乗っけるの良いですよねー)

説明書の段階で盛り込み過ぎた感はありますが、実際にゲームを遊ぶ時の話をしていきましょう。

まず何をするかと言えば、ゲームを楽しみましょう!ボドゲ、たーのしー!

楽しむの、ダイジ。

さて、楽しむのは大切ですが、それと同時にこれらを試してみたり、考えて分析しながら遊ぶのも良いかも知れません:

1. 説明書の項目との答え合わせ

読んで試した方が居るか分かりませんが、そこで考えてイメージしてみた遊びや体験と、実際に遊んでみた時に感じた体験を比べてどれくらい合っているのか?違うとしたら何故違うのか?

更に、自身が説明書の段階で考えた最適解が本当に最適だったのか、また他のプレイヤーはどう考え、何を最適と思って行動したのか?そもそも最適解を目指したのか?等を考えたり、注目してみるとゲームが最適解に対してどの様なアプローチを取っているのか?戦術はどれくらい初見のプレイヤーに伝わるのか?等の参考になると思います。

2. 説明書がどの様にプレイヤーとコミュニケーションを取っているか見てみる

説明書や各コンポーネントがどの様にプレイヤーに遊んで欲しいやり方でゲームを遊んで貰える様にコミュニケーション(ここで言うのは文字や画像を使用しての意思伝達という意味です)しているかを見て、学ぶ事でどうすれば効果的にプレイヤーにゲームで物事を伝えられるかの参考になります。

3. ルールを変えて遊んで見る

これも説明書の項目で記載しましたが、ルールを変えて遊んでみるとどう体験がどう変わるか考え、試してみるとルールがどの様な体験に繋がるか実際に感じる事が出来るかも知れません。試せる環境が有れば試してみると良い経験になると思いうので是非試してみて下さい。

ただし、先に何を帰るとどう体験が変わるか考えてから答え合わせで遊んだ方が良い練習になると思います。

ここもデジタルゲームに対しての大きなアドバンテージで、自分達で手軽にルールの追加や変更が出来るので、分析や実験に非常に便利です。

4. どうやってごっこ遊び感を出しているか注目してみる

ゲームからの複数の指示やルールを組み合わせ、コンポーネントを使用してそれらを実行する事がどうやってプレイヤーに疑似体験(戦争してる感、開拓してる感、金儲けうはうは感、等)をさせているかを注目してみるのも参考になると思います。

アナログゲームは何かを疑似体験させようとデザインされているゲームが結構有るため、どの様なルールをどの様に組み合わせて生まれたプレイヤーの行動がその疑似体験に繋がるのを分析出来ると、実際にゲームを作る時にプレイヤーに体験して欲しい事を生むのに近づける・・・かも知れません!

5. 遊び(体験)と分析を両立させる練習をする

さて遊びながら分析をする事を前提とした紹介をして来ましたが、これはそもそも技術が必要な行為です(素で出来ている人もいますが、そこはスルー)。

デジタルゲームを分析する時にも必要な技術ですので、まずアナログゲームで遊びながら純粋なルールの組み合わせの分析を身につけるのも長期的には非常に役に立つ技術だと思います。自分がちゃんと出来ているかは棚に上げつつ・・・

注目点:プレイヤー同士の絡み

多くのアナログゲームが結構注力している点の一つとして、プレイヤー同士の対面でのコミュニケーションの誘発や争いへの発展です(争いは最近減って来てはいますが・・・)。

人狼やカタンの開拓等を遊んでみると、ゲームがいかにプレイヤー同士の絡みを生み出し、促進させているかを見る事が出来ます。

どの様にゲームを設計する事で半場強制的に争いやコミュニケーションを取らせる様にしてるか、例を上げると人狼はこの様な物があります:

 - 役職がある

 - だけど役職は非公開

 - 非公開役職によるチーム戦

 - だが時間が来たら投票する必要がある

 - つまり、プレイヤーは自分としてもチームとしても勝つためには方向性を決めるか誘導する必要がある

 - それをやる為に議論が生まれる

一部端折りましたが、人狼におけるコミュニケーションを促すルールの組み合わせの一部です。

この様にどうやってルールの組み合わせでコミュニケーションや争いを生み出しているかを考えてみましょう。デジタルゲームを作る上でもプレイヤー同士に絡みを作りたい時などに参考になる・・・はずです!(桃鉄・・・

アナログゲームを作ると何が良い?

遊びと分析について触れて来ましたが、今度は実際に制作してみる事によるメリットを触れていきます。

まず、大きいのは紙ペンで作る試作レベルなら作るのが圧倒的に楽!

デジタルゲームも作るのが昔より楽になったとは言え、ここはまだアナログゲームの大きなアドバンテージです。実際にデジタルゲームを作る時も紙ペンでプロトタイプを作ってみて、体験をイメージして計算する事があるので、経験としては役に立つ・・・時もあります!

という訳で是非実際に自分で試作を作ってみましょう!

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(アニュビスの仮面の試作第2段の時)

試作を作る際、出来るならば是非説明書も作ってみましょう。この記事でも説明書の項目に大分尺を使いましたが、それぐらい学べる事は多いです。

試作を作ったらプレイテストしよう!

さて試作は作って楽しいし満足出来ますが、ゲームは実際に遊んで貰う事で得られる事が沢山あります。

という訳で誰かに自分が作ったゲームを遊んで貰いましょう!そしてそれを内容を何も説明せずに説明書を渡して自分たちでプレイテストして貰いましょう。

プレイテストの仕方自体は色々1記事分語れそうな内容なのであまり触れませんが、プレイヤーが遊んでいた時にまず説明書をどの様に読み進め、その結果どの様にゲームを遊んだかを観察してみましょう。

それが実際に自分の考えたゲームとどれくらい近かったのか、また途中で何を聞かれたのかをメモし、何も答えずに最後まで遊んで貰うことで自身が制作したゲームと説明書がプレイヤーどの様に伝わるかを体験出来ます。

このプロセスはゲームデザイン、コミュニケーション両方の面でとても役に立ちます。ゲームはデジタル・アナログ問わず最終的には体験して貰いたいことを自分がその場にいない状況で遊べる様にするべきなので、それを実現する為の1歩になります。

アナログゲームのダメな所

ここまではプラスの良いことを解説して来ましたが、ここでは逆にマイナスの要素を上げます。

一言に要約すると

ぼっちでは遊べない!

orz

最後に

色々と書いて来ましたし、一部デジタルゲーム開発と関係無かったかも知れませんが、締めに入ります。

ここまでの解説でアナログゲームを遊んだり作ったりしてみる事に興味を持ってくれたら良いなーって内容でした。

そして興味があるけど仕事とかで時間が無い貴方。そう貴方です!

この記事に書いてある事を良い感じに解説し、これを言い訳に使う事でボドゲを遊ぶ事も勉強だとかインプットだとか言い張って仕事とか忘れてボドゲを遊びましょう!

あとついでに自分は基本ぼっちなので、ボドゲ遊んでくれる方募集中!

以上、長文駄文でしたがどもでした m_ _m

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