雑感~中国関係を知るおすすめの本

中国関係のニュースを最近はテレビ、本で多く見かける。中国に関しては賛否両論あるだろう。異文化を知るにはまず相手の国がどんな国かを知る事から始まる。これは中国だけでなく、韓国にも言える事。新書は安いが専門書は高い。新書に限って反中ナショナリズム本ばかり。政治宣伝的な本も多い。その新書で今の中国を知る上で、最適な本を読んでぜひおすすめの本を紹介したい。

朝日新書で山崎雅弘氏が中国共産党と人民解放軍の題で書店で販売している。ぜひ今の中国を知る上でおすすめの一冊である。

山崎氏は戦史、紛争史研究家。軍事面だけでなく、政治・民族・文化・宗教など様々な角度から過去の戦争や紛争史に光を当てて分析・概説する記事・雑誌連載をされている。山崎氏の著書はどの本も面白くぜひおすすめしたいが、山崎氏があの中国共産党・人民解放軍をどう見ているのか。なかなか興味深い。中国の軍事力を知る上で、中国共産党がどのようにして誕生したか、過去にいかなる戦争・紛争を経験したか、組織の内部がどんな行動原理が支配しているかをテーマに理解しているか山崎氏らしい分析で中国共産党、人民解放軍、そして現在の中国人民解放軍の実像を分析している。

中国共産党誕生から国共内戦、日中戦争、中台紛争に関しては様々な本も出ており、よく知っている方も多いのでここでは省く。個人的に興味深かったのは1950年以降である。

中国が人民義勇軍として参加した朝鮮戦争、中国とソ連(今のロシア)、中国とインドとの国境紛争の内情、中国人民解放軍によるウイグル、チベット侵攻作戦、文化大革命による中国軍部との政争、中越戦争、そして現在の中国人民解放軍の戦力と戦略を山崎氏は、先入観、偏見を廃して分析している。中国の現代史を知る上で大変分かりやすい内容だった。特に中ソ国境紛争、ウイグル、チベット侵攻、中越戦争は私も知らなかった事ばかりで大変本著は勉強になった。今の中国のニュースを見ながらぜひ本著を読み返すとなるほどと納得する一冊。ぜひ、おすすめします。

今年で戦後76年目。日本人はあの戦争から何を学んだか。当時と同じ状況に陥らないためにもまず、相手の国の実像を知り、先入観、偏見を廃して今後の国際情勢での中国事情を知ると国際ニュースを興味深く観る事ができる。中台情勢は今後試金石となりそうだが。

最後に、本著でも山崎氏は触れられているが、1923年、毛沢東と朱徳は中国共産党の当面の軍事戦略として漢字十六字に集約される方針をまとめている。訳語と漢字は次のとおり。

敵が進めば我は退き、敵が休めば我は錯乱し、敵が疲れれば我は打ち、敵が退ければ我は進む

敵進我退

敵駐我攪

敵疲我打

敵退我追

今の中国の外交、軍事はあくまでも個人的な印象ですが、このパターンに似ていると感じている気がしてならない。

本日も拙い文章ながらお読みいただきどうも有難うございました。

#朝日選書 #山崎雅弘 #中国共産党と人民解放軍