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トゥアレグ族のシルバーアクセサリー

USメイドのスニーカーを売ったら結構な金額になったので、少し物欲を解放してみた。

サハラ砂漠に暮らすトゥアレグ族のシルバーアクセサリーは、確か90年代だったと思うがエルメスが取り上げて以来知られることになった。
エルメスが手がけたものはもはやジュエリーと言って差し支えないかもしれない。

僕はネィティブ・アメリカンのジュエリーにはずっと苦手意識があった。

ターコイズを使ったものなど確かにカッコいいんだけどそれ自体に主役級の存在感があり、気軽にどんなものとも合わせられるとはならない。

また部族ごとに特徴があり、それぞれに意味がある。
農耕部族だったか、狩猟を主としていたかだけでも、ジュエリーに込められた意図は当然異なる。
知れば知るほどそれぞれに深い意味があり、また彼らへの敬意なくしては使えないと僕は感じてきた。

クリスチャンではないが、キリスト教に近いところにいるという自覚が、よりそうした思いを強くさせる。

勝手にやってきて自らの土地だと宣言し、ネィティブ・アメリカンの人たちを追いやり差別してきたのは、ヨーロッパから来た白人のキリスト教徒たちだ。

僕の感覚では申し訳ないとしかならない。

ただ、スノボの好きな女の子が単純にデザインに惹かれて控えめなデザインのバングルを愛用しているのを見ていて、如何にも土産品のような雰囲気のそれはそれでアリかもしれないとも感じ、よく似た雰囲気のお土産物らしさがぷんぷんするシルバー・バングルをたまたま比較的安価て見つけたこともあって、しばらく使っていたことがあった。

しかし所詮は安物だったということなのかもしれないが、幾つかあったうちの数個の石が脱落してしまい、修理の相談もしてみたがおそろしく高い見積もりになった。
とはいえ捨てるのもどうかと感じて今もその時のままで保管している。

そんな中で発表されたのが、エルメスのトゥアレグ・シリーズで、目のつけどころもよく真剣に購入も考えたが、個人的な感覚ではややゴツい印象があって、これもまた避けて通っていくことになった。

同じ頃に日本の職人が始めた市松というシルバー・アクセサリーの方にむしろ魅力を感じたというのもある。
セレクトショップに置かれたそれらは買えない値段ではなかったが、そのうち購入しようと思っているうちに今や限られた店舗でしか扱っていないものになり、どこでも簡単に買えるものではなくなってしまった。
今も諦めてはいるわけではないんだけれど、残念ながらこれまではご縁がなかったとしか言えない…。

ネットを眺めていると、トゥアレグのシルバー・アクセサリーの新作がそこそこ出ている。
エルメスの時のような掘りの深さは無さそうだが、本物のトゥアレグが比較的リーズナブルに買えるとなったなら手を出したくなる気持ちはなかなか抑えられない。

というわけで購入したリングやバングルが届いた。

バングルと交差したデザインのリングは掘りが深く、エルメスが手がけたものと比べたら華奢なつくりだけど主役級の雰囲気がある。

男性のアクセサリーやジュエリーは腕時計が中心になっており、あくまで主役はそこにあるとした方がいいことはわかっている。

しかし腕時計は実はこれもこれで結構難しいものだ。
その世界を知れば知るほど難しいとくる。
評価が確定したものや単に値段の高いものを買えば、なんでもいいとは決してならない。

ロレックスが人気なのは、その点であまり考えなくても使える、「実用性」を打ち出したブランドだからなのだけど、知名度が高いから実にいろんな人がつけている。

仕事上であれ目上の人よりも値段が張るものを堂々とつけるのはつまらないこととはいえ躊躇われる。
少し前までは普通に買える値段だったヴィンテージ級のものも、やはり繊細な機械なのだから結構気を使う。
近年値段が高騰しているが、実際に使ってみてその値付けに見合う値打ちはないとも知った。

そんなわけで僕は持っていた二本を手放して、機械や仕上げには定評があっても格付けランキングでは下位に位置するブランドで、しかし個性の際立つシリーズのものを結構考えて選び買い直した。

セイコー・アルピニストとか、ティソのPRX、シンプルでモダンなシチズンのACT LINEあたりが結論で、それらで充分満足して使えている。

あとは好みでミリタリー由来のものを幾つか。
このジャンルでは日本の独立系ブランドが頑張っていて、絶妙に使いやすくて値段以上の仕上げのものをリリースしている。

資産価値がついてくるものではないが、その時の服装や気分で使い分けるならこんな感じでちょうどいい。

で、それらに似合うアクセサリーはシンプルであればあるほどいい…。

そういうことにした矢先にトゥアレグとまた出会ってしまった。

時計に過剰な価値や意味がない分、トゥアレグ・シルバーを主役して他を極力シンプルに徹したならそれもそれで結構イケるというのが、ちょっとだけ使ってみての感想。

寄り道もしたが、長く愛せるものや気軽に使えるものという基準が僕の中でできた。

先日の記事で書いてみたシンプルなアクセサリーやジュエリー使いの一辺倒では飽きる可能性があるから、そんな時に個性の強いトゥアレグがガラリと気分を変えてくれることだろう。

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