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紡ロジック完走しました(全編・特ストネタバレ有)

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こんばんはぁ。
もうほぼ間髪入れずに全部終わらせてきましたよーーーって言うと語弊がありますが、TRUE ENDを12章まで終わらせてきました。それと、蒼星の好感度が知らない間にMAXになってたので、続きとしてそっちも見てきました。

堪え性がありませんね。もう少しゆっくりじっくり読むとかできないものですかね……できません!!楽しみは後にとっておけない即物的な人間なんです、わたしは。

ということでめっちゃネタバレしちゃうんで、またまたご自衛くださいね。
特ストの話も普通にしてます。
ただ今回はすごく頭が悪い感想しか書けないと思います。(いつものこと)






殺害トリック

これは、11章やらないとほぼ分かりませんでした。何から何までサリーの日傘の中から出てくると思いませんでした。四次元ポケットか何かかな…?
思ったよりは簡単な、トリックとも言えないトリックは穴だらけで、琴子は本当にちょっと頭が……頭がアレだなと思いました。ワイヤーを落とすんじゃないよ…。偶然に助けられすぎている。洋服の裏返しも…タグというものをご存じで…ない……?金具だけの問題じゃない、どういうことなんだ…。
いま考えてるから待って!!じゃないよ。蒼星に「勉強もしてない紡が入れる程度の高校での才女」って言われててウーン一理ある!ってなってしまったのもご愛敬というべきでしょうか。色んな意味で琴子が可哀そうです。

特に語る事はありません。文句ばかり言ってますが、概ね納得しています。管理人小屋とコテージ走りまくってた琴子の無尽蔵な体力とか、え、身長は?身長は??旬はダメで琴子はいけるの!?って思った部分があった気がするんですけど、もう蛇足でしかないので良いです。トリックは重要じゃなかったんだ。大事なのは群像劇なんだ。


サリー

勿論、TRUE END回収後にサリーを真っ先に救いに行きました。
サリーが溺死してしまったスチルと、そのサリーを抱きしめる紡のスチルでは大泣きしました。たぶん本編で一番胸を打たれたシーンだと思います。
琴線に触れた。この後が、第一章の最後につながってましたね。
紡、水飲むから喋んない方がいいよってずっと思いながら、蒼星たちが助けに来てくれるのを待ってました。

サリーは最後まで紡の心配をしてくれてましたね。正義感の強いサリーが本当になりたかったのは誰かのピンチに駆けつけてくれるヒーローのような人間で、それこそ紡のような人間になりたかったのだと。
彼女が犠牲にしたのは自分の夢であり、アイデンティティであり、イジメられていた過去から逃げるために顔や名前を変えたなんていうレベルのものじゃなかった。
変化には痛みを伴うものという言葉の重みがグンと増した。美麗に昔の自分を重ねていたのだろうけど、サリーだってルビーの靴を履いていたんだ。
本当に、本当にもっと早くありのままの自分を肯定してくれた友人たちに出会えていたのなら。あんなにも正義感に溢れて、格好良かった彼女が自分を捨てる必要などなかったのに。

今のサリーも可愛くて大好きだけど!!!どっちのサリーでもいいよ、サリーがサリーでいてくれるなら。

特スト1話の二人の女、良かったですね。インスタントな共犯関係を結んだけれど二人の思惑はまるで違った。琴子に協力するとみせかけて、紡を守ると決めたサリーの決意はカッコ良かったです。サリーは確かに人を殺したけれど、同時に紡を救おうともしていた。覚悟がカッコ良かった。誰かに自分の罪を赦してもらおうとも、思っていなかった。どんな理由があろうと、所詮は人殺し。琴子との決定的な差はそこです。だから琴子を憐れんでその罪すら被ろうとした。ここまで憐れまれた琴子、相当不憫ですけどね。

あと彼女の素顔。紡と斗真のこと一番心配していたね。お母さんもいい人だったね。サリーは高校時代、たしかに辛い目に遭ったかもしれないけれど、ちゃんと大切なものを理解してた。両親にも感謝してた。本当に、本当に素敵な子だった。語彙力ください。涙しか出てこないの。


傍観という卑劣

やはり、傍観者というのは性質が悪いものですね。予想以上に卑劣で人間の心が無い男だったと思います。アキラが野崎を研究対象として見ていたのも、イジメと裏サーのことをワープロに書き連ねていたのも、サリーに気づいていたのも前の記事で書いた想像の通りではありましたが、まさか小説を書こうとしているなんて思いませんでした。
小説はエンターテインメントですよね。今を生きている人の人生を、悲劇を、許可も無くエンターテインメントにするなんてそんな権利は誰にも無いのに。
傍観者という神様気取りか。今作で一番虫唾が走るキャラだったと思います。

けれど現実世界には、傍観しているだけで手を汚していないつもりの人間はきっとたくさんいると思います。
それが、紡の言っていた人間の秘めたる嗜虐性のうちの一つです。分かりやすく誰かを傷つけることだけが嗜虐じゃありません。見て見ぬふりをすること、人の尊厳を心の中で踏みにじること、すべてが嗜虐に値する。
同族嫌悪かもしれませんね。この言いようの無い憎しみのようなものは。

自分の経験をネタとして書こうとするのは、何かを表現したい人なら心当たりがあるかもしれません。当たり障りのない内容や、誰かを幸せにできる内容ならそれでもいいのかもしれない。けれど、悲劇のノンフィクションをエンターテインメントに昇華させたいのなら、「ネタとして面白い」以外の動機が無くてはならないと思う。だって、その裏側には現在進行形で人生があるのだから。物語は、人を傷つけるためのものじゃないとわたしは思う。

大門先輩の「いつか書くいつか書くと言う奴は大概いつまでたっても書かない」というセリフが刺さりまくって瀕死になりました。


傲慢な妹

琴子が紡の部屋に遺書を仕込んでいたことも、日本でまた会えるよと言っていたのも、やっぱり優ちゃんとはあの世で会えという意味だったので、純粋に震えてます。ただ、なんだろう。これはわたしの感性の問題かもしれないのですけれど、不思議な点がちょっとある。
琴子はお兄ちゃんが大好きだったんですよね。汚れを知らない純真無垢だと思い込んでいた。けれど本当の優ちゃんは授業をたまにサボってバイクに乗せてもらっては奇声を上げるし、紡曰くやんちゃな性格で、きっと紡といる時だけが抑圧から解き放たれていたのでしょう。

琴子にとっては無垢で大好きだったお兄ちゃんを堕落させたのは紡です。そんな相手と、大好きなお兄ちゃんをあの世ででも会わせたいですか?私なら会わせたくない。お兄ちゃんとは違う地獄に落ちろって思う。
けど、琴子はあの世でお兄ちゃんに会ってあげてよね、と言っていた。琴子も心の奥では薄っすら気づいてたんじゃないかなと思います。優ちゃんを掬いあげていたのが、本当は紡であったことを。

大好きだったのに、お兄ちゃんの世界で自分は枷でありノイズでしかなかった。だからこそ、お兄ちゃんの人生の主役という特別になり得た紡を憎んでいた。理不尽な逆恨みです。サリーにそれが分かってしまう程度に。
お兄ちゃん、なんで死んじゃったのと泣き喚く琴子にだけは共感できました。それ以外は共感できないのでわたしは選択肢で琴子のことは赦しませんでした。赦すED回収もしないし好感度も上げません。なにが悪いやつをやっつけたかっただけ、だ。殺人を起こし、紡を陥れ、サリーを見殺しにしたにも関わらずに赦してもらえるのが当たり前だと言うような甘えた考え方、そして真実から目を背けて、兄の本心を知ろうとすらしなかった彼女の幼稚さにどうしても嫌悪してしまう。

人の人生をコントロールしようとする行為は傲慢です。そういう意味では、琴子もふみ先輩も大差ない。間違いなく優ちゃんにとっては加害者なんです。

自分の思い通りにならなかった兄。
汚れてしまって天国に行けなかった(と琴子は思い込んでいる)兄。
可愛さ余って憎さ百倍、その恨みは優ちゃん自身にもきっと向いてたんじゃないでしょうか。
本来だったら快活な性格でみんなの人気者、それなりに何でもできる女の子だったんだと思います。歪んだ愛で兄を縛り付けさえしなければ。
これは元を正せば、生まれながらの琴子の傲慢さが生んだ悲劇です。

まあお兄ちゃんを直接汚したかもしれないのは小池ふみですけどね。これに関してはわたしも結構ショックです。


搾取される兄

優ちゃんは優ちゃんのままだったよ!!って紡と一緒に喜んでいたんですけど、葬る人を読んで項垂れました。2つの反抗を読んで、一回不貞寝しました。なにがなんだか分からない。知ってたけど、わたし本当に頭が悪いバカなのかもしれない。
斗真がサリーからもらったUSBメモリ(アキラの小説)に書いてあったという詳細な描写。紡はやっぱり読まない方が良かったということは、斗真の中で優ちゃんはシロではなくクロだったという事なんでしょう。でもふみ先輩は、優ちゃんをカレシにしたいから共有はさせていなかっただろうと旬は言っていた。
そして優ちゃんが死んだのは、酩酊させて小池ふみがお持ち帰りをしようとしていた日だということ。そうならば、優ちゃんは裏サーないし小池ふみの毒牙にかかる前に死んだことになる。つまりどういうことですか。

三度読み直してようやく思い至ったのは、「どれだけ奥野マサルが精密な描写で活躍していたか」という言い方をしていることから、優ちゃんはテニサーメンバーないし、被害者の勧誘をしていた可能性に思い当たりました。それならば優ちゃん自身がキレイとか汚れたとかそんなことは矛盾になりません。これだから腐女子は!すぐにアッチ方面で考える!すいません!
優ちゃん自身に裏サーへの関与の自覚があったのかもわかりません。
結局、優ちゃんに関して分かった事は「優ちゃんが選んだ物語の主人公は紡だった」ということだけ。

結局のところ、琴子も紡も、優ちゃんの一面しか見ていなくて、その一面を正しい優ちゃんであると思い込もうとしていたのかもしれません。
かくいう、わたしも。

自分の人生という物語の主役を、他人に求めた優ちゃん。自分の人生の主役は自分自身だと胸を張って言えるのは、搾取される立場じゃない人間だけなのです。大門先輩は、そこを誤ってしまった。けれど、優ちゃんが死んだのは大門先輩のせいでもなく、優ちゃん自身が選んだ人生の結末でもある。
つまり優ちゃんが主役の物語の結末なのです。
それを否定することは、優ちゃんの人生を否定するということにつながるのかもしれないなあ、と思ったら、もう何も言えなくなっちゃった。
優ちゃん…。


諸戸宮兄弟

特ストで急に双子の入れ替わりとかいうミステリの定番トリック盛り込んでくることある????バカなの???って思わず声に出た。
これだけで1つのシナリオ書けるぐらいの材料なのにね、いやもう古典手法か。あくまで本編は瀧紡の物語だから、特ストにしたのかもしれない。
うーんこういう感性好きです。ベノマ玲さんってごめんなさい、正直あんまり存じ上げなくて、SEECゲーでやたら女子供に残酷な描写をしてくる人っていう印象が強いのだけど、こういう奇の衒い方は純粋に好きかもです。
紡は思う存分、いまの「諸戸宮蒼星」をハグしてやってください。
それはもう死ぬぐらいハグしてやってください。
蒼星と紅陽はいままでおそらく互いに依存しあって来た双子だと思うんですけど、まあとくに紅陽が。この物語を経て、紅陽と蒼星の秘密を知り、かつそれを否定もせずに受け入れて本当の彼らを見つけてくれた紡と出会えたわけですよね。紡にとっても二人は斗真とは違うベクトルの友達だと思うし。
二人の関係もまた新たなものになりそうですね。紡やっぱりコミュニケーションツールになってるよ、大丈夫?

蒼星は、あと紡のことめっちゃ好きですよね。紡に洗濯もの畳ませたり部屋の片づけさせたりしてさあ……蒼星がそれだけ気を許した紡を、紅陽がどう思っているのか、今後がすごく気になります。


林くん

いいですね、彼と紡の関係。いじめっこの竜胆くーん!って大声上げる紡の底意地の悪さが出ててとてもいいと思います。紡に倣って龍麒くんと呼ぶことにしよう。彼はあれだね、誰ソ彼ホテルの大外さんにちょっと似てるね。
大外さんは度し難いクズだけどそれよりはマイルド寄りだし、いじめっ子だけど、クズだけど、なんか憎めないのは彼の境遇のせいでしょうか。サリーも龍麒くんのことは憎んでませんでしたよね。大体そもそも野崎が頭悪い発言してたのだって悪い。
だからといってイジメは許されないですが、この場合の野崎にはそれだけのことをされる理由があった。野崎も龍麒くんに対して加害者だったんですよ。
この場合問題なのは、こぞって野崎やサリーをイジメた外野だと思います。
なんかちょっとアレを思い出しました。なんだっけ。あ、ミスミソウだ。
あれの妙ちゃんみたいな印象を受けました。なお映画しか見てません。
当事者同士の問題に外野が絡むとロクなことにならない。


葬る人

特ストではこの話が一番好きでした。紡ではなく、斗真にアキラの小説を託したサリーの選択が好きだったからです。
そして、サリーの想いにあの答えを出した斗真のことも。
アキラの小説をサリーが手に入れた経緯はやっぱり杜撰だなと思うのですが、このストーリーに置いてはトリックもきっかけも些細な事なんだと思うわけです。要は、それを知ったキャラクターがどう動くか、が大事なんでしょうから。
だからまあ無粋なツッコミはやめて、キャラクターの感情に没入したい。
それが一番できたのが、この葬る人だったんです。
どこまでも善良で、友達思いで、頼りになる斗真。だって無人島で、きっと誰も斗真のことは疑わなかったよね。疑う余地が無かったから。
どこまでも紡とサリーの味方なんですよ、斗真は。USBをへし折ったのも、優ちゃんの動画にはしゃぐ紡に真実を伝えなかったのも、斗真の思いやり。
国籍がオーストラリアっていうのも、日本人のともすれば鬱屈とした考え方にとらわれない、フルフラットな考え方を持つキャラクターとしてとても良かった。家庭環境もちょっと特殊なのも。それでいて浮世離れは全くしていなくて、シビアに物事を考えるクレバーさも持っている。
蒼星はどちらかといえば先生のような立ち位置で紡を導いてくれましたけど、斗真は同じ目線で物を見てどこまでも対等に一緒に歩いてくれた感じ。
ありがとうって言いたい。


感想終わり

何書けばいいのかわからなくなってきたのでそろそろ終わろうと思います。
紡ロジックに関しては、まだ設定資料集という楽しみが残っているので、まあここに書いた感想もお門違いなものもあるかもしれません。
ふみ先輩は結局金のためにビジネスしてただけなんですかね。考察し損でした!なんなら深読みしすぎてちょっと恥ずかしいまであります。辛い。

けど、感想の統括としてはすごくおもしろかったです。キャラクターそれぞれに良くも悪くも個性と魅力があって。

SEECさんのゲームは今までえーと…アリスの精神裁判と、四ツ目神と、監獄少年と、誰ソ彼ホテルとウーユリーフの処方箋、そしてこの紡ロジックをやりました。6作品ですね。
紡ロジック、一番ゲームとしては好きかもしれないです。

人間は、極論ではありますが搾取する側と搾取される側に分けることができます。その事実を知り、己の中に必ずある嗜虐性を知り、その上で何者になりたいかを常に考えて行動しなければどこかで道を踏み外すこともあるでしょう。思考を止めたらその時点で、無条件に搾取されるだけの存在になってしまうんです。
境遇を嘆いても、環境を憎んでも、何も変わりません。自分が変わる事を放棄して誰かのせいにするということ、すなわちそれこそが思考の放棄なんだとわたしは思う。

だから思考を止めるな、考え続けろと蒼星は紡に言い続けた。
少なくとも思考を止めなければ、どんな形であれ進むことはできるし、無条件に搾取されるだけの人間にはならなくて済む確率が上がる。
絶対とは言わない。けれど、足掻くことができる。

そんなことが言いたかったゲームなのかはわかりませんが、「思考を止めるな」は昔からわたしの座右の銘でもあるのです。
考えることは人類に等しく与えられた権利ですからね。
お金もかからないし、わたしにとっては一番の趣味なんですよ。