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小さな王冠という名前の僕たちの城

#はじめて借りたあの部屋


僕がはじめて借りたあの部屋は

「僕たちが」はじめて借りたあの部屋。である。


偶然にも同じ時期に同じ物件を契約したのが当時同じクラスメイトの

通称ダイソン。

ダイソンは専門学校に入学した時に僕の出席番号の次の番号115番。

初めて入学した学校で初めてのクラス。

同じ班の隣にいたのが彼だ。



話は急に飛ぶが、

卒業まであと約1ヶ月。原宿が勤務先。

自転車で通えるエリアで部屋を探していた僕は偶然にも同じ不動産屋でダイソンと鉢合わせた時のことをよく覚えている。

次の日物件を契約した話を彼にした。



そう。それがまさに同じ物件。

しかもお向かいさん。



それを聞いたもう1人のクラスメイトがいた。

通称イケメン。(スナ)


おそらくその日か次の日にスナもこの物件を契約。

おれもそこ契約したから!ってイキイキと言われた記憶の隅に行動早すぎだろうと思った記憶がある。



卒業1ヶ月前から3人で同じ物件の違う部屋に入居。

これはもうワクワクで毎日意味もなくピンポンして誰かの部屋に集合して下らない話をしていた。


この部屋っていうのがロフトのある部屋で天井がそこそこ高いから狭いけど圧迫感がなくてよかった。


各々に仕事で忙しいけど会おうと思えばいつでも会える距離にいる彼等がいたのは当時心の支えだったような気がしている。


時に鍋パーティーしたり、ゲームしたり、仕事の愚痴をこぼしたり、将来の夢を語ったり。

彼女出来たら何故かみんな紹介しあって、

別れた時もすぐシェア。笑

クリスマスとか誕生日も何かと集まってワイワイ。



生活のリズムと住んでる場所が同じとか近いって結構面白くて、

家の近くのコンビニではまぁよく遭遇するし、街歩いてても奴らと遭遇するわけ。


なんでここで会うのがお前なんだよ!って

それぞれが口にしてたっけな。



個性のバラバラな僕たちは同じ間取りの別の空間に各々別の世界を作っていた。


1人は古着屋開けるんじゃないかと思うほどとにかく服が多くて1度も着てない服あるよとか言い出す部屋。


1人は断捨離して卒アルまで捨てちゃうほどにめっちゃスッキリしてるけどギターとベースが4本くらいあるって言う生活感謎な部屋。


1人は冷蔵庫無くてテレビも無くて音欲しい時はラジオつけるとか、ここもまた生活感謎な部屋。

(一人暮らしのいいところは自分の好きな空間。部屋を作ることができて、誰にも文句を言われないって所。生活で不安なことは意外とどうにでもなるからメリットの方が多い。)




就職1年目の時。

僕ははとにかく遅刻を恐れて大音量目覚まし時計を2個と携帯で3つ同時のアラーム。

向かいのダイソンは僕の持っていた大音量目覚まし時計のさらに上をいく爆音目覚まし時計と携帯。


そして、これも驚きなんだけど、当時

たまたま僕の上の階に住んでいたのがダイソンの同期で、、、。

(ダイソンが入社した後に発覚)

彼女も早朝にテレビを爆音でつけるわけ。


朝一斉に全ての目覚ましが鳴る&爆音のテレビ。




ある日僕の部屋のドアの隣に張り紙。


早朝の目覚まし、テレビ、ラジオがうるさい。って書いた人の気持ちが文字の筆跡にビシッと示された張り紙が現れた。

今思えば本当に申し訳ない...。


当時はとにかく必死だったから見て見ぬふりで、なんなら僕の部屋のドアの隣の壁は

ダイソンの部屋のドアを開けた真っ正面の壁だから

これおれじゃなくてお前じゃん?とか

いや、確実にお前だろ、とか。


思い出す。



何度も集まって、近況報告していたけど時代ってのはすごくて

近くにいるのに今なにしてるのかとか今日1日の過ごし方とか、入居してから時間が経つにつれてSNSやネットで知ることの方が早かったりすることもあったけど顔を合わせて話をして3人で集まるなんでもない時間が充実で楽しかった。


そんなアパートが最初の部屋。


一人抜けまた一人。

最終的に僕が一番長いことそこに住んでいたんだ。

ダイソンとスナの抜けた後に入ってきた人たちを僕は知っているけれど、

その彼らはここにきた頃の僕たちと同じくらいの歳で、たまにその友達とかが来てたりすると気持ち良く挨拶してくれる。

その姿に数年前の自分たちを思い出す。



少し特別な状況での初めての一人暮らし。

書ききれないほどたくさんの思い出と物語。




これが「僕たちが」#はじめて借りたあの部屋 。


日本語で 小さな王冠 の意味を持つアパート。

当時の僕たちの城。



END





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