見出し画像

20240225

 昨日の余韻がまだまだ残って、昼前まではその中で過ごした。要はぼんやりと過ごしていた雨のお昼前。
 積読の本が多い中、読み終えたく無いなと思っていた本、岸政彦さんと柴崎友香さんの共著「大阪」を読了した。最近、映画を拝見したり、読書に耽ったりしている時に、様々な場面で、この時、自分は何をして、どんな事を考えていたのかという事が頭に過って、それは自分の人生を映す鏡の様だと思ってしまう事が往々にしてある。
 お二人が「大阪」でどんな風に過ごされたかという事が描かれていて、その時に自分は何をしていたか、という事が強烈に蘇って、色々な場面が頭の中で展開されて、拝読しているこちらの記憶も掘り出されて面白かった。

 それで、読了すると本屋さんを回りたくなった。

 夕暮れ時の予定まで時間があったので、京都の本屋さんを数軒、回ってから、予定のある大阪に向かう事にした。
 昨日とは打って変わっての雨。さて、バスに乗って川を渡って、京阪電車で京都まで向かおうか、等々と考えても、結局、いつもの通りの阪急電車を使って、京都までの道程となった。

雨の中を阪急電車は走る。

 雨の中、傘をさして自転車を漕いで駅近くの駐輪場に向かって、駅まで。各駅停車で京都に向かっている間に、電車の中で書き物でもしようか、と思っていたのだけれど、何となく、気が焦ってしまって、乗ったのは特急電車。四条河原町辺りは雨でも人が沢山いるのだろうなと思いながら。
 結局、乗った電車は満員で、立席で揺られながら、ぼんやりと窓の外を眺めるより他の過ごし方は無かった。

 ぼんやりと過ごしたので、それ以外の記憶は在らず。京都河原町で阪急電車を降りて、四条大橋を渡って、京阪電車の祇園四条駅まで向かう途中は、傘の花が咲く様に、と書けば体裁は良いものの、要は観光で来ているお客さんの多さよ。その多さに、やはりゲンナリして、いつの間にか駅の名前が変わっていた祇園四条駅。阪急の京都河原町駅から京阪電車の祇園四条駅まで、近いのか遠いのか、今ひとつ理解が出来てないのは、阪急電車の地下から上がる出口の選び方かと。

雨の高瀬川。

 そんなどうでも良い事など考えながら、祇園四条駅。到着するとすぐに出町柳行きの特急電車の様な電車がやって来て、乗ると息つく暇なく、終点の出町柳駅。
 何も考えずに向かった先は、叡電の出町柳駅。この辺りまで来ると、人の多さも落ち着いた気がする。

乗って来た京阪電車。

 いつの間にか交通系ICカードも利用できる様になっていて、便利になったものだと。路面電車の様で路面電車で在らず。そんな印象を持つ叡電。今にも路上に飛び出しそうだけれど、よく見てみると、幅の広い道路を遮る踏切がそこにあって、という元田中の駅に停車して、幾つかの駅に停まると、そこが一乗寺。京都市左京区。向かう先は本屋さん、恵文社一乗寺店。

叡電、出町柳駅。五月の海。

 雨の一乗寺の雰囲気が何とも。曼殊院道を西へ少し歩くと、お店があって、入ってみると、日曜日のお昼が過ぎて、雨だと言うのに本を探す人でいっぱい。
 本選びに集中出来ない、というよりも本棚を見ていると、どの本も欲しくなって困ってしまう。これは選べないと思って、また後日、平日にでも伺う事にして、そそくさと退散。

また伺います。

 曼殊院道を東に、白川通に向けて歩いた。並ぶお店が目にも楽しい。叡電の踏切を渡って、夜に伺いたい、見覚えのあるカフェー、どうしてこんな所にと思われる家系のラーメン店。
 暫く歩くと萩書房という古書店があって、入ってみる事にした。面白そうな棚があって、またゆっくり伺いたいと思わせるお店の中。値段が丁度良くて、ヘンドリックスの本と、あと一冊、20 年ほど前に発刊された野宿者の本を買った。

萩書房さん。

 改めて、東へと向かって、白川通を目指す。暫く歩いて、右手にパチンコ屋さんが見えて、名も無さそうな用水路に掛かる橋。昔は欄干が30センチも無くて、それが良い佇まいだったのだけれど、流石にそれではマズかったのだろうか、きちんとした柵の欄干になっていて、これも時代の流れかと。
 白川通を渡って、一乗寺下り松町のバスにて京都の中心地へと向かうバスを待つ。
 やって来るバス。どれに乗っても良い訳では無さそうで、行き先に向かうバスを調べてみると、すぐにやって来る様子。
 それで白川通を南へ向かって、浄土寺のバス停まで揺られる事10分程度、バスはスムーズに走って、賑やかな三条や四条とはまた違う趣があって、大阪に、こんな場所はあるだろうかと、考えてみるも思い当たる場所は無い。 
 ラーメン屋「天下一品」の総本店の前を通る度にラーメンが食べたくなりながら、バスは進んで、次は浄土寺とのアナウンスで降車ボタンを押して、浄土寺に到着するとICカードで運賃の処理をして降りた。
 降りて、暫く南に歩いて、狭い通りを左折して少し歩くと、ホホホ座浄土寺店。こちらの品揃えも面白いと、伺う度思って、欲しいものが多過ぎて、何を買おうか迷う。
 迷いながらも、これと思う書籍やZINEを手に取って、レジへと向かって、今時の電話で決済を済ませる。反応の鈍さに電話での決済に付けられた名前とは裏腹で、店主さんの一言に少し遅れて気が付いて、それが面白かった。

また、伺います。

 また、ゆっくりと伺いたいと思う気持ちでお店を出て、バス停に向かう事再び。

 次に向かうのは、賑やかな三条や四条の賑やかな場所。
 乗ったバスは丸太町通から岡崎公園の辺りを通って、ロームシアター京都を横目に、二条通を河原町通へと向かった。
 河原町通に左折をして、京都市役所を過ぎて、御池通を渡ると、俄かに歩道が賑やかになって、バスを降りたら、こんな賑やかな中を歩かねばならないのか、考えただけでもゲンナリするので、考えない事にする。
 バスを四条河原町で降りると、歩道は芋の子を洗っている様。そんな中、そそくさと裏通りに入って、京都は磔磔まで。磔磔50周年(おめでとうございます)の期間中に開催されるチケットの店頭販売分の発売日でもあったので、買いに伺う。

看板。

 何やら今日行われるライブの段取りを店員さんがしていて、声を掛けると、すぐにチケットを用意して貰えた。
 店頭販売のチケットは発行に手数料を取られないのが良いなと。
 そうしている間に時間が経って、これから天神橋筋六丁目へと向かわねばならない。
 最初は行程を色々と考えていたのだけれど、考える余裕の無い時間となって、そのまま京都河原町駅から特急電車に乗って、淡路駅まで。外は雨。雨の日曜日も悪くないなと、車窓からの眺めをぼんやりと眺めていると、電車は淡路駅。堺筋線へと向かう電車はすぐにやって来て、乗換えて、天神橋筋六丁目駅まで。
 淀川を渡る時に、川の向こう側に見える聳えるビルの並びも、今日は曇って見えて、それもまた趣が深いと思った。
 電車が地下に潜り込んで、すぐに駅に到着。阪急電車と地下鉄の境界駅で、乗務員さんが交代する姿を横目に、エスカレーターで改札まで向かい、出て、地上に上がる。
 天五中崎通商店街のとあるバーにて、今日はとんちピクルスを拝見する運びとなっている。

「おいでやす通り」とも言うとの事。

 お店の場所を迷う事数分。迷うというのも、時間に余裕があれば楽しいと思いながら、彷徨っていると、店主さんからお店の場所を教えて貰えるメッセージが入って、それを頼りに伺う。
 地図に案内された先には、小さな入口があって、急な階段を登って、3階まで上がるとお店があった。

 17:00を15分ほど過ぎて到着。一番窓際の席に案内されて、ビールなどを頂く、アテにと用意してもらったお弁当も美味しく頂いて、少し賑やかに交わされる会話の中(伺っていても面白かったです。)開演時間を待つ。
 とんちさんは開演時間のギリギリにやって来るらしい、という完全生音ならではの醍醐味が味わえた事もラッキーだった。
 で、丁度、開演時間にとんちさんがお店に見えて、同時にライブのスタート。今日の生音ライブは五部制(!)との事で、それも新鮮な体験だった。

 「おちゃめ三度笠」からライブはスタート。生音に生声で演奏を拝聴するのも初めてで、お店の響きとも相まって、演奏に聞き入ってしまう。
 この雰囲気がなかなか良くて、お酒も進んだ。以前はipodをケーブルで繋いでPAからのトラックを流していたのも、ブルートゥースを利用して、スピーカからトラックが流れて、時代の流れも感じつつ。
 今まで拝見したライブで一番小さなライブだなと思いながら、流れる時間を堪能。先日行われた、博多にあるBar Bassicでのライブの様子も伺えて、流石、博多と思われるエピソードに関心しながら時間が進んだ。
 休憩時間に煙草を嗜みに外のベランダ部分に出ると、商店街のアーケードの屋根が見えて、そんな所を見れるのも良かった。
 そうしてライブが進んで、一番のインパクトはとんちさんと店主さんで歌う「17才」。こんな感じが良いなと思っていたら、フジロックフェスティバルの様に、ステージも別れているらしく、グリーンステージとホワイトステージ。演者さんが隣に居られて曲を楽しむ時間と言うのも、かなり貴重な時間を過ごせたかと。
 それで、進んでしまうのがお酒で、それはそれで楽しい時間の過ごし方。 
 いつもと違う様な、新鮮な夜をありがとうございました。また伺います。

アーケードの屋根。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?