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20240224

 諸般の諸々を終えて帰宅、全く足りていない睡眠時間を鑑みれば、今日は本当に体力の温存をせねばならないと思って、押し入れから掛け布団だけ取って、カーテンを閉めて部屋を暗くして睡眠を取った。
 結果、2時間程休むことが出来て良かったと。

 今日はソウル‧フラワー‧ユニオンの中川さんのライブ「音曲渡世ひとり旅2024<奈良篇>を拝見に伺う段取りとなっていて、出来るだけ体力のある体調でライブを拝見したい。
 何度か奈良に伺っているのだけれど、伺う度に大阪から回ろうか、京都から回ろうか、それとも枚方から回ろうかと、数多ある行程に悩むのだけれど、体力の温存に時間を掛けてしまったせいで(その割にはあまり回復しないのは、やはり年齢のせいだろうか)ゆっくりと他所を回って奈良に向かう余裕はなさそう。
 なので、行程を調べるのに時間も掛けられず、例によって、使う度に便利な世の中になったなと思う反面、時刻表や何やらを用いて調べる手間や暇と共に失われた物や事は果たしてと、度々考えてしまう。すぐに忘れてしまうのだけれど。
 今日の場合は、大阪は難波経由で向かうのが早いと地図アプリに教えて貰って、実のところ、京都から回った方が早いのでは無いかという実感もありつつ、地図アプリがそう言うのならと、難波回りで奈良に向かう事にした。

 自宅にて、ゆっくり過ごす暇なく、睡眠を取った後に、歯を磨いて、出掛ける段取りを済ませて、自転車を漕いで、駅の近くの駐輪場まで向かい、自転車を停めて駅まで歩いた。
 歩いている途中に、なるべく早く、今居る場所から、距離を稼いで移動する事が出来る公共の交通機関(この場合は電車、余程の速度に差が無い限り)に飛び付いた方が目的地へ早く到着出来るのではないか、という様な事が頭の中を過って、歩いてすぐの駅に向かった。

 そこから地図アプリの指南の通り、特急電車に乗換えて、淡路駅で天神橋筋六丁目方面に向かう電車に乗換えて、という風に。
 街は土曜日。電車の中も土曜日。7日に一度のそんな雰囲気の、よく晴れた土曜日。
 淡路駅で乗換えた電車は、淀川を渡って地下に潜った。

淡路駅、高架化工事中の断面。

 ぼんやりと過ごしている間に地下鉄は日本橋駅。銀行に寄らねば財布の中が少し、どころかかなり寂しい様子だったので、地上に出たすぐの場所にあったATMに寄って財布の中を都合して、地下に潜る事再び。

日本一(日本橋一丁目)の街角。

 地下鉄から近鉄電車に乗換える。機会があれば観光特急「あをによし」に乗ってみたかったけれど、生憎、大阪難波駅から発車するのは午前中の一便のみとなっていて、その他の時間帯は京都駅と近鉄奈良駅を往復して、最終便で大阪難波駅に戻ってくるという運行で、ならば京都駅から近鉄電車を利用するべきだったと後悔は先には立たない。で無くとも、特急電車に乗りたかったのだけれど、待っている時間も無かったので急行電車で向かう事にした。しかし、特急電車は日本橋駅には停車しない様。これは考えても無駄だと思い直して、次にやって来る急行電車で奈良に向かう事にする。

通過する近鉄特急、賢島行き。

 近鉄奈良線。大阪難波駅から近鉄奈良駅までを走る。JRは京都駅から奈良駅までを結ぶ線が奈良線なのに、近鉄電車は大阪難波駅から。同じ奈良線を名乗るのにややこしい。しかし、近鉄奈良線、途中の瓢箪山駅から生駒の山を登る途中の眺めの絶景加減が堪らない。今日もその生駒山を登る時に大阪の街のパノラマを見る事が出来る楽しみが待っている。
 日本橋を通過して行く特急列車に乗って、どこか遠くへ行きたい気持ちに。
 そうしてやってきた急行電車に乗って、奈良方面へと向かう。街は土曜日。次に停車した上本町駅でも人を乗せて、電車は地下から高架線路となって、その次に停車した鶴橋駅でも人を乗せて。

今里辺り。

 布施駅に到着する頃には、大阪線と奈良線の複々線が高架線路の上段と下段に別れて、奈良線は長めの良い上段のホームに到着した。
 降りて行くお客さんと、乗って来るお客さんが同じ位。
 高架線路を走る間、進行方向左側のドアの際に立って、外を眺める。以前にもここに書いた事を思い出しながら、この先、すっと北に向かうと自宅があるのが不思議な眺めの中で、遠回りでは無いかと疑問も持ちながらの、土曜日の大阪平野、北半分が車窓に広がっている様な気持ちになる。
 瓢箪山駅を過ぎる前からか、過ぎてからか、走る線路はゆっくりと勾配を登って、視界が開けてくる。
 時折、家並みが目に入ってきて、ここで暮らす人々は、大阪平野の眺めをどんな気持ちで眺めているのだろうと思いながら。

眺め。

 色々な気持ちが交差している間に、電車は石切駅から生駒駅に停車。切れた息を整える様にも見えた。架線の無い線路が見えたと思ったら、第三軌条で大阪の地下鉄に乗り入れている、近鉄けいはんな線の線路だった。そう言えば、さっき大阪市内の東西を繋ぐ、中央大通りも見えて、そこから続いているのかと思うと、どうしてだか労いの気持ちが湧いてきた。
 そうして奈良県。乗った電車はさっきまでの勾配の払い戻しの様に、勢いを付けた様に下る。
 そうして学園前に停車して、近頃、この駅の名前をよく耳にする様になったのはどうしてだろうと考えた。
 学園前を出て、菖蒲池を通過する時、今は無き、あやめ池遊園地に思いを馳せる。
 そうしている間に、大和西大寺から新大宮に停まると終点の近鉄奈良駅。

近鉄奈良駅、構内の案内看板。

 来る度に、もう少し時間に余裕を持って来れば良かったと思う。よし、次こそはと思っていても、なかなか。ライブはライブに集中する為、他の行程は考えない方が良いのかも知れないと思った。
 そうして、地下の近鉄奈良駅から地上に上がって、東向北商店街を北へ。

東向北商店街。

 夕暮れ前の路地の光景。インバウンドのお客さんも増えて、コロナ禍の事を思うと人が倍増して、奈良も京都も賑やかさは変わらないと思った。
 暫く歩いて、奈良のライブハウス「ビバリーヒルズ」に到着。入場の列が出来ていたので最後尾に並ぶ。開場の時間まで少し時間があって、ぼんやりと佇んでいると、海外からのお客さん、家族連れに見えて、なにやらお店を探している様子。コロナ禍では見る事が出来なかった光景が、あちらこちらで繰り広げられる。

 そうして佇んでいる間に、開場。ソウル‧フラワー‧ユニオンの中川さんのライブ「音曲渡世ひとり旅2024<奈良篇>を奈良ビバリーヒルズにて拝見。

奈良ビバリーヒルズ。

 入ってみると、テーブルや椅子のレイアウトが以前に伺った時と変わっていて、少し戸惑うも、一瞬、座る場所に戸惑いを覚えるも、適当な場所を見つけて腰を掛けた。一息ついて、落ち着いて、さて煙草でもと思って外に出て、ポケットの中を探ってみると、見事にタバコを切らしている事に気が付いて、近鉄奈良駅近くのコンビニエンスストアまで走って、煙草を買って戻った。

街灯に灯り。

 夕暮れ時に吹く風と煙草を堪能して、お店に戻って、ビールとポテトフライなど頼んで、開演時間を待つ。伺う度にライブハウスに居るのだなと思う。

 開演時間の18:00を迎えて、出囃子はポーグスの「A Pair of Brown Eyes」。
 からの一曲目は「バルカンルートの星屑」深いリバーブがライブハウスならではだなと思いながら堪能。良いな、良いなと何度も心の中で。MCでリクオさんと回った4日間の九州の話をされて、伺いたかったなと思った。少し奈良ならではの奈良スペシャル。
 2曲目がリクエスト。「アクア‧ヴィテ」で泣けて来る。自分も年齢を重ねてしまって、ふとした事で思いがけない誰かを思い出したりする事があって、そんな時に心のBGMでこの曲が流れて、実際に目の前で中川さんがアコースティックギター一本で弾きながら、歌っているという事が夢のようで、また、誰かを思いだしたりする。曲が終わりに近づいた時のギターのストロークに更にグッと来た。あおによし。
 から、終演後によく拝聴している「夜を使い果たそう」。3曲目に演奏されるのが新鮮で、全力で夜を使い果たしたくなった。
 そして新曲の「川から海まで」。パレスチナを思いながら、インターネットに流れてくる画像を思い出しながら、拝聴すると、現状に胸が痛くなる。から最近演奏しているというカバー曲。ポーグスのシェーンさんのエピソードがあって、セカンドアルバムに収録されている「A Pair of Brown Eyes」、酔っ払ってパブで戦場の話を聞くとどんな気持ちになるだろうかと思いながら、しかし切ない物語の歌だなと、中川さんの訳詞で、拝聴する度に思う。
 それから、最近、耳にも馴染んできた新曲、サビへと展開する場面が趣深い「千の丘の足跡」と続いた。どんな風に曲がアレンジされて、レコードになるのか楽しみな曲。
 そして48トラックの卓を2台駆使してレコーディングされた、湾岸戦争の時に出来た曲との事で、まさかの「ひとり善がりの風」拝聴しているだけでも頭の中が忙しくなる。コードの展開に付いて行くのが精一杯だった。

 まさかの展開で一部が終了して、換気タイムとなって、外に出て煙草などを嗜んで、ハイボールのおかわりなどをしている間に時間が過ぎて、二部の幕開け。

 ソウル‧フラワー‧アコースティックパルチザンのエピソードから、二階堂和美さんの動画がきっかけで、中川さんの弾き語りが始まった事などのエピソードから「女はつらいよ」のカバーで、中川さんが弾き語りを始めた頃の事などが頭の中に過って、懐かしくなった。
 それから、ニューエスト‧モデルとソウル‧フラワー‧ユニオンのトリビュートアルバムで二階堂和美さんがカバーした「満月の夕」パレスチナ難民キャンプでのエピソードに胸を打たれた。曲の途中でも、そのエピソードを思い浮かべると、曲の味わいが増した。
 会場に可愛らしいお子様が居て、お子様が居るだけで、ライブハウスが開かれた場所に思えて、というか実際にそうだろうと思う。お子様が元気なのは良い。ステージの中川さんとお子様のお喋りが微笑しかった。
 そしてボクサーのアンチェイン梶さんが主人公になった、豊田利晃監督の映画「アンチェイン」からレイ、チャールズのカバー「アンチェイン‧マイ‧ハート」。どんどんとライブで初演奏という曲が続いて、ちょっとしたお得感。今日、くる事が出来てラッキーと思いながら、思っていると、まさかのニーナ‧シモンには驚いた。「Ain't Got No/I Got Life」凄く好きな曲で、まさかの展開。運を使い果たしてしまってはいないだろうか、そんな事を思った。アコースティック‧ギターの響き、単純なコード進行「私には生命がある」と訳された歌詞に乗って、感涙。
 次に「栄光は少年を知らない」少しアレンジが変わって、それが凄く新鮮。サビの部分を聴いていると、やはり胸が締め付けられる。
 そして奈良で過ごした若い頃の中川さんのカセットテープの話で、カセットデッキにテープを入れる時のカシャカシャという音を思い出した。スーパーマーケットの名前が出て、家の近所にあった、ダイエーや長崎屋も思い出して、懐かしくなる。
 興味深い話からキンクスのカバー「ウォータールー‧サンセット」ほっこりとした夕暮れ時を過ごしている様な感覚になって、まさか、そんな風に展開するとは。ちあきなおみさんの「喝采」深いリバーブ。「いつもの様に幕が開」いて、サビの部分のギターのストロークが少し切なく聞こえる気もして、二部の幕が降りた。

 幕間に進むのはお酒。奈良の夜にも酔っている間に第三部。

 第三部では更に驚く展開が待っていて、中川さんが子供の頃に好きだった曲で、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」が演奏される。イントロのギター数小節後にコードが変わる所にグッと来て、思わず共に唄ってしまう。
 あぁ、やはり名曲だなと思いながら。
 リクエストが続いて、中川さんの曲もさる事ながら、リクエストする人のセンスも絶妙と思いながらMCを拝聴。それで演奏されたのが「路地の鬼火」。中上健次さんの小節がモデルになったという曲で、何故だか山から海へと続く急な勾配、森の様な場面を想像しながら拝聴。踊りながら。
 そして「石畳の下には砂浜がある」でしみじみして、いつだったかの品川駅を思い出して、宵越しの思いを想像してみたりする。アルバム「夜汽車を貫通するメロディヤ」から拝聴していると、色々な人の顔が浮かんでくる「生命の落書きで壁を包囲しよう」。で本編が終了。求めるのはアンコール。
 告知から初まる。次の予定が伺えるのは、人生が続い行く様で嬉しい。
 それから、またまたリクエスト曲「死ぬまで生きろ」が次の予定の告知の後に演奏されるセンスが堪らないと思う。
 からイントロのギターとコード進行に拝聴する度に、いつもグッと来ている「戦火のかなた」美しいメロディーラインを今日も一緒に口ずさむ。あのメロディーらいんを口ずさんでいると、遠い場所の知らない夜を思うのはどうしてだろうと、そんな事もふと思う。少し切なくなる様なため息を吐いて。からソロで演奏されるのは稀という印象の「荒地にて」がリクエストで。冒頭の中川さんの歌唱で、ソウル‧フラワー‧ユニオンの演奏が頭の中で引き出される。
 勿論、唄って、乾杯もした。そして大団円を迎えて、中川さんが最後に「また近々会いましょう」と言ってくれるのが嬉しい。また、ライブを楽しめる夜があると思うと、生きる糧の様なものだと。

 今日も奈良ならではの、良い夜をありがとうございました。また伺います。

良い夜をありがとうございました。


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