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20231223

 諸般の諸々から帰宅。都合で睡眠時間が45分という短さだったけれど、今日は何とか持ち堪えられるだろうと思いながら、帰宅して、1時間程仮眠を摂った。
 サニーデイ‧サービスのライブを拝見に、これから和歌山に向かうに当たって、目安でも到着時刻を知っておかねばと思い、電話の地図アプリで時間を調べた。
 経路は特に定めておらず、阪急電車と大阪の地下鉄と、それから南海電車を使うのが、JRを利用するよりも、移動する距離は短い気もするし、特急「くろしお」号を使えば特急料金が発生しそうだし、関空‧紀州路快速は日根野駅に停まると、あとは各駅停車。
 なので阪急電車から地下鉄、そして南海電車を利用する事にした。

 だいたい、この時間に出れば間に合うだろうという時間。時間の丼勘定で家を出発したのは13:00を過ぎた頃。自転車で駅に向かって、駅近くの駐輪場に自転車を駐めて、徒歩で駅に向かう。自動改札にIC乗車券を翳して、ホームに立つと程なくして電車がやって来て、それより他に選択肢も無いので、取敢えず乗って、優等列車の停車する駅まで。そこで大阪の地下鉄の天下茶屋まで向かう準急があれば、それに乗って、で、無ければ大阪梅田行きの特急に乗る事にした。
 乗っていた各駅停車を降りて、駅の案内表示を見てみると、次にやって来る準急は天下茶屋行きなので、和歌山までの乗換えの回数は一回で済む、という便利さに改めて気が付いた。関空に向かう時にも、これは便利かも知れない、という事も改めて。

乗換えの駅にて。

 暫く待って、やって来た準急電車に乗る。土曜日のお昼過ぎの準急電車は、程良く空席もあって、電車の運転席のうしろ、先頭の先頭の座席に腰を下ろす事が出来た。最近、電車の走る先を見て、ポイントが開いている方向や、鳴り出した踏切から慌てて外に出ようとしている人や車を見たり、という事が無かった気がする。混み合う特急電車でぼんやりと外を眺めるのとはまた違う、着席で最前。

 何か物を書こうかという気にはなれず、ぼんやりと、向かってくる光景の中に居た。特急電車では通過する様な駅にも停車して、昔の阪急電車では考えられなかったなと思っていると、いつの間にか上新庄駅に停車したかと思っていたら、高架化工事の進む淡路駅。到着して発車してからの光景も、かなり姿形を変えてしまうのだろうなと思いながら。

高架化工事中の淡路駅。

 地上にある淡路駅もいつまでだろうか、ここを通る度にそんな事を思って、電車は天神橋筋六丁目方面へと向かう、高架化される脚の隙間を器用に縫う様に。柴島駅は通過して、目の前には大阪の街の聳えるビル群が見えた。ゆっくりと淀川を渡り切ると電車は下り勾配で地下へと突入した。

向こうにビル群。

 見慣れた様な光景も、見ている場所や通過する時間帯で見え方が違う。電車の先頭でそんな光景を地下鉄でも見ていた。
 天神橋筋六丁目駅から淀川寄りに、堺筋線の折返し用の引込線があったり、トンネルの中の蛍光灯。地下のトンネルの中の光景にも目を凝らしながら電車に揺られる。
 カーブの先に明かりが見えて来たと思ったら、それが駅だったり、下りと上りのトンネルが別々になったり、複線の様になったり。地下の構造物。駅間の短い地下鉄でアッと言う間に天下茶屋駅。

天下茶屋駅。空は青い。

 南海電車に乗換える前に、和歌山市駅行きの特急電車の時間を調べてみると、少し時間がある様子で、ならば遅めの昼食でも摂っておこうかと、駅前の小さなショッピングモールの様な佇まいの施設の中にあった牛丼屋さんで牛丼を掻き込む様に口の中に放り込んで慌てる。ここで次の特急電車を乗り過ごしてしまうと開演の時間には間に合わないだろうという焦りもあって、南海電車のホームに向かった。
 焦ってホームに登ると、そこは難波方面に向かうホームだったので、慌てて降りて、反対側のホームに立った。頻繁にやって来る印象の南海電車の天下茶屋駅。ここでも間違えると高野山方面から来た電車に乗ってしまって、難波に向かうので、細心の注意を払って電車を待った。
 折角、和歌山市行きの特急電車に乗るのだからと、指定席券を自動券売機で購入。座席の表記は数字のみなので、指定された座席は山側なのか海側なのか、窓側か通路側か、乗ってみないと分からない。程なくやって来た特急電車に乗って、座席を探す。確か、以前に乗った時は山側だったので、今回は海側が良いなと思っていたら、今回も山側だった。

南海電車の車窓から。

 さっき乗っていた阪急電車から地下鉄堺筋線でも、書き物をしようと思う気になれなかったのに引き続いて、南海電車の中でも、なかなか書き物ををしようという気になれなかった。
 なので、窓の外をぼんやりと眺めるより他在らず。
 大和川を越えて、高架線路に上ったり、地上の線路に下りたり。東側に見える金剛山脈が冬の顔をしている様に見えて、夕暮れ時に向かって、だんだん伸びてくる電車の影が地面にハッキリ描かれる。

 電車は進んで泉佐野駅。通路を挟んで隣に居た、幼い子供とお父さんは関空に向かう様子で、降りると俄かに辺りが静かになった。

 更に進むと、走る線路が海に近くなって、急に幼い頃に淡輪に家族で来た時の事を思い出す。物心が付くか、付かないかハッキリしない頃で、それでも淡輪の記憶が残っているのは余程、印象強い出来事があったからだろうと思った。何が起こったのかは、また機会があれば。

海が見えた。

 みさき公園を過ぎて和泉山脈を越えて、電車は和歌山県。紀ノ川を渡る時に「あぁ和歌山」と思う。

 内側に折れて開くドアが開いて、ホームに下りたって、そういえばチケットの発券がまだだった事に気がついて、和歌山市駅構内のコンビニエンス‧ストアで発券出来るかどうか、行ってみると発券出来そうだったので、発見を済ませた。勿論、頭の中ではサニーデイ‧サービスの「コンビニのコーヒー」が流れていた。

南海、和歌山市駅。JRのホームもある。

 そうして改札を出て、さて。次をどうすれば良いのか思い付かない。
 初めて伺うライブハウス、和歌山GATE。何度か伺った事のある場所とはまた違う場所にある様に思えて、その方向が分からない。
 仕方ない、というか、こんな時には携帯電話の地図アプリを使うより他に方法が無くなってしまっている文明ってどうなのだろう、と思いながらも頼ってしまう。
 どこやらに向かうバスに乗って、二つ目か三つ目で降りれば良いと指南されて、恐る恐るバスに乗って揺られて、地図アプリに指定されたバス停で降りて、何やら公園の中を進んで行くらしい。公園の中は土曜日。ローラースケートで走り回る女の子は居なかったけれど、あちらこちらでお子様が寒さに負けず遊んでいる光景が目に飛び込んできてほっこりした気分になった。けれど先を急がねばならず、公園の中を素通りして大きな通りに出た。

2023年12月23日の月。

 大きな通りに出ると、大型のディスカウントのお店が見えて、あのお店は見たことがある。と思った瞬間に以前に伺った事のあるお店やスマートボールのお店と、今居る現在地が繋がった。
 通りを渡って、ひとつ筋を左に折れた先に今夜伺うライブハウス、和歌山CLUB GATEがあるらしい。そちらに向かって歩く人が多かったので、人の波に乗って行く事にして歩いていると、それらしき建物があった。

やって来ましたCLUB GATE

 まず物販をと思って中に入ってみると、ギリギリアウトで次の物販は入場後か終演後になるらしい。仕方あるまい。と思いながら、まとまった荷物をクロークに預けて開場の時間を待った。
 薄着になっているので寒い、と思いきや凍える程寒くもなく、流石、南国和歌山と思うも、大阪とはそれ程離れておらず、きっと今日は暖かい日なのだと思った。
 見る見る間にお客さんが増える、と思っている間に開場時間を迎えて、自分の番号が呼ばれて中に入った。
 扉の向こう側、左手に物販のコーナーがあって、右手にドリンクカウンター。そこにフロアが広がって、奥にステージ。良いなライブハウスと思いながら開演までの時間を楽しむ。

 開演時間を待っている。

 多くの友人連れ、サークルの様なお客さんが沢山居て、賑やかだった。
 やがて開演時間。今年サニーデイ‧サービスを拝見するのは何度目になるだろうかと。
 印象強かったのはツアー前半の米子での公演で、あの辺りの出来事を思い出しながら、一曲目は何だろうと、思っていたら「八月の息子」からだった。前半とは違うセットリストなのかなと思いながら拝見。
 軽快なリズムの「海辺のレストラン」へと続いて「江ノ島」。俄かに砂浜のある海の側へと行きたくなって、待ってましたの「心に雲を持つ少年」曽我部さんのあのギターリフが心に突き刺さって、激しく頭を左右に振りたい衝動に駆られる。何度も聴きたいと思う。何度と無く今年は拝見したからか、それぞれの場所での思い出が曲と共に蘇ってきて「スロウライダー」はやはり名曲だと思ったり、「幻の光」で最近の高速道路事情、インターチェンジの辺りで時間を待つトラックが並ぶ光景が頭に浮かんだり、電車で和歌山まで来たのに、車で遠くに出かけたくなる。
 去年の11月のリリースだったとは思えない、まだまだ新譜の様な感覚のアルバム「DOKI DOKI」からの曲が「ノー‧ペンギン」「サイダー‧ウォー」「Goo」「メキシコの花嫁」が並べられて演奏される瞬間も堪らず、先と同じ様に頭を左右に振って踊りたくなる。睡眠不足なんてどこへ行ってしまったかと思われる位に踊るって歌う。
 クリスマスも近いからという事で、演奏してもらった「Christmas of Love」も何か特別な感じがした。

 MCにて曽我部さん、和歌山について色々と話された後に、香川県に近いものがあるというのにも、妙に納得出来て、和歌山港からフェリーで徳島に渡って、そのまま香川県から愛媛県を南下して高知県に行きたい衝動に駆られた和歌山でのサニーデイ‧サービス。
 ライブのセットリスト、色々な場所で心のツボが押されて、グッと来る事が多かったけれど、宴酣のところで「コンビニのコーヒー」のリフから最後の「家を出る事の難しさ」までの畳み掛け(ライブがスタートして最後まで畳み掛けられていた様な印象もします)方が凄いなと。ふと時計を見てみると開演から2時間半以上経っていて、これまた凄いなと思うより他在らず。

 と、思っていたらアンコールの曲数も半端あらず。見事に若返った様なサニーデイ‧サービスだなと。最後のホワイトファルコンの登場で、歌って踊り狂うより他が無くなってしまって、終演後には放心状態でした。
 クリスマス前に良い夜をありがとうございました。また伺います。

終演後にパチリ。

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