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ちゃんと導かれている

小雨のなか、駐輪場へ走る息子の背中をただ見つめていた。

***

朝8時半。
登園のため、玄関で息子に靴を履かせていた。

今日は朝から雨がパラついたので、車で送ることに。ピンクの長靴を履いた娘は、先にパパと家を出ていた。

夫は玄関先まで車を出してくれて、娘は後部座席にいて準備万端。

息子と2人、玄関に向かうと突然一言。

「ストラーダーで行く!!!」

そして、息子は1人で駐輪場に向かって走り出してしまった。

すると、夫はすぐに準備して息子を追いかける。

これは二手に分かれようってことだな・・・

無言のまま、夫の背中を見送り、私も急いで切り替え。免許証の入ったお財布を取りに、家に戻る。

運転に苦手意識がなくてよかった。

こういうときに、機動力を発揮できる自分を褒めてあげたい。

まだ小雨だけど、ずっと外にいたら濡れるだろうに。

動くワイパーを眺めながら、想いを馳せる。

息子は言いだしたら意見を変えるのは難しい。
無理に車に乗せると、「幼稚園に行かない」と癇癪を起すのを夫婦ともによくわかっている。

だから、息子の希望を尊重した。夫もどんどん柔軟になっていて、息子の意見を聞いてあげようという気持ちが強くなったように思う。

車で5分。幼稚園の駐車場に到着。
娘と2人だと、スムーズに事が進む。

そして、正門で娘を見送り。

息子と夫は近くまで来ているかな?

目線を駐車場と反対の道に向けると、ちょうど角を曲がってきた2人を見つけた。

息子の頭には、夫がかぶっていた黒のニット帽。私を見つけて、笑顔で進んできた。

そのとき、タイミングよくクラスの先生が迎えに来てくれた。

先生の黒い傘が珍しいのか

「〇〇がさすーー!!!」

と言って、私たちを振り返ることなく園内に入っていった。

夫は無言で息子のストライダーを持ち、駐車場に向かった。

「〇〇に習い事をさせようか?」

運転しながら、夫に提案した。

発達センターに来ている、いくつかのご家庭が共通した教室に通っているのだ。

というのも、前日に2人の先輩ライターさんから、息子の発達についてアドバイスをもらったのだ。

同じように成長に寄り添ったママさん視点と、専門家視点。

2つの視点を交えながら、専門家に伴走してもらった方が良さそうと伝えると、「そうだね」と静かに頷いてくれた。

運転席の私と、助手席の夫。

お互いに前方を向きながら、5分という短い間に話をした。
ここで気づく。車の座席だけでなく、夫婦としての視点も同じだということに。息子の成長を願う2人は今、同じ方向を向いている。

1番の願いは、息子が過ごしやすい状態をサポートすること。

あのまま大宮に住んでいたら…
あのまま公務員を辞めていなかったら…

私たちは、息子の気持ちを置き去りにしていただろう。

今の家は、夫の勤務先から徒歩3分。しかも、フレックス勤務だから、息子の行動に合わせられる。

夫も仕事を中抜けして、行事に参加できている。

年休と在宅ワークを駆使して、息子の支援センターの付き添いもかって出てくれている。

ありがたいな。

それにタイミングよく、先輩ライターさんから温かい言葉をもらえた。私は孤独ではないのだ。世界はこんなにも優しい。

私たちはちゃんと導かれている。

お互いに言い争いもするけれど、子育てに向き合っている。退職当時は感情的に道を選んだのではないかと思えたけど、このような伏線があったとは。

すべては決まっていたかのよう。

点と点が1本の線へ
すべての出来事が、確信に変わった日でした。

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