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飢餓海峡巡礼、天売、焼尻。2023/6/28

階下からの「朝ごはん!」の叫びで階段をつっつおろろんと降りる。昨日の夕飯のときの男女といっしょだ。
あとはひたすら帰り道となる。ほっとするようなさみしいような。10時過ぎ、お会計をして船客待合所へ。

1230本社ターミナル発特急はぼろ号へ連絡するバスが組み合わさっているのが1110焼尻発のフェリー。ここまでは高速船での往来だったので、はじめてのフェリー乗船となる。オロロン2号のトン数は高速船、さんらいなぁ2号とさして変わらぬものの、着席必至の高速船とは違い、桟敷がある。
波のうねりを直接受ける座席よりも、うねりに対して直角のポージングができる桟敷のほうがぜったいラクと思うのはわたしだけだろうか。所要時間の短縮よりもこちらを選びたい。
天売からの乗客のスキマに位置取りをしてとっとところがる。これが船だよ。

着席して35分の高速船より桟敷ゴロゴロ1時間のフェリーのほうが体感的にあっという間だ。行きのルートをなぞって、フェリーターミナル、沿岸バス本社ターミナルと乗り継ぐ。

本社バスターミナル待合所にあった路線図

いまの特急はぼろ号は高速経由だから、深川あたりの位置関係がちょっと違ってくる。30年前、羽幌線の跡をたどる路線として乗った際にはこのルート通りだっただろう。当時すでにJRバスによる代替でなかったと記憶している。冬場、妹と豊富温泉から乗ってきて、一般道を走るふつうの路線バスなのに羽幌でトイレ休憩があることに驚愕したものだ。インターネットは商用化されたばかり。大型時刻表の巻末からおおよその予想をつけては詳細な路線やダイヤ、そこの地方のバス会社から郵送やFAXで送ってもらっていた時代である。

それでも紙のダイヤはさっと見られるよさがある

砂川SAでの休憩、一昨日と違い帰途なので遠慮なく土産物を買う。

ウロコダンゴの謂れを読むに、これがいまではSAで売られているということに無常観ただよう

帰りの乗務員は放送が非常にていねいだ。途中のバス停でも「○名様ご乗車予定です」「これでご予約のお客様の乗車はおしまいです」などと、友連れになる乗客への心配りをみせる。
終着の札幌バスターミナルの移転についてのご案内もこのとおり。会社からの情報もあるだろうが、ご自身で実際に歩かれて確認しているものと想像される。こういった配慮のあるなしで3ヵ月後の移転の際の混乱が違ってくる。
サービス業において「お客様の立場になって」というと過剰な「おもてなし」ばかりが注目されがちだ。そうじゃない、こういう地道なご案内こそが大切なんだ、と心から思う。

今夜のフライトは新千歳発21時ジャストのスカイマークを予約してある。札幌駅でペロスケを捕獲できたら、この旅最後の夕食をいっしょにたのしもう。
岩内で握りを食べてきたから魚介でなくてお肉がいい!とペロリクエスト。

駅前で何軒かに当たってみたがどこも予約で満席だ。あたりをつけて電話してみたこの店、20時までならお席確保できます、と。

どのみち19時半くらいには札幌を出なければならないからちょうどよかった。

前菜
ズッキーニのグリルとパテ
池田牛のステーキ

ひさしぶりに都会にでてきた感がある。お肉の質にも、お店のしつらえにも満足した。

ペロスケに見送られて快速エアポートの乗客となる。
ふとスマホをチェックしていると、この旅の最後の最後に『機械工学の要点』売れたことに気づく。
車内でゆうパケットの宛名を書き、添え状にお客様のお名前を入れ、梱包する。新千歳でのポストの場所を検索して、着くやいなや直行。
購入したお客様もこの冊子が関西から北海道、ぐるりとまわってお手許に届いたとは思うまい。

スカイマークは自動チェックイン機でのチェックインがいまは必要だ。カウンターそばまでくると「遅延」とのアナウンスが。
神戸空港からの折り返しとなる機体がまだついてないらしい。45分遅れとなっている。自宅着までギリギリか?

フライト中にさらに遅れは拡大し遅延、1時間あまりになることを知る。

1タミの端から競歩のごとき足取りで京急空港駅まで向かい、到着したのが23時56分。品川行き終車は23時48分。考える間もなく23時58分発京急蒲田行きに乗る。
横浜方面なら蒲田でまだ乗り継げるのである。上り、救済便はないものかと車内放送に耳を傾けたが、そういったアナウンスはなかった。
京浜東北線の北行終車が蒲田24時17分…あるいはこれにとも考えたが、蒲田についた時点で24時10分。タクシーに乗ったとしてもたいして早くつけるわけでもない。今晩のうちの帰宅はあきらめた。

〈続〉


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