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純度の高い沈黙

こ6月29日、東海高等学校中学校のサタデープログラムで講演をさせていただくのですが、先日その事前取材を受けてきました。

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聞いた話によると、こちらの学校はとっても偏差値が高い男子校で、生徒の自主運営で生徒が呼びたい人を講師とした講座を開催、一般開放もしているそうです。

私のところにオファーをくれたのは高校2年生の男の子。最初はDMをくれたのですが、こんな内容で(伏せてあるのはゲームのネタバレになる部分)

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『異性のいる青春を感じてくれたという感想はさいっっっこうに嬉しいけど、もしかしてとんでもないことをしてしまったのでは…?責任を取る必要があるのでは…?!』という気持ちでお受けすることにしました。

当日のプログラムについての打ち合わせと取材をさせていただきたいと連絡がきて、ちょうど出張のタイミングと重なったので、名古屋駅で待ち合わせをしました。その日の名古屋は雨で、駅構内のカフェはどこも満席。高島屋の中にあった比較的落ち着いたケーキ屋が空いていたので、ここなら取材がしやすいかなと思い、先に入って待ちました。

やってきたのは、とても真っ直ぐそうで、少し照れ屋に見える少年。この子が、自分が作った世界のヒロインの願いを叶えるために奔走してくれたのかと思うと込み上げてくる嬉しさがありました。

その子は、震えながら一生懸命質問をしてくれました。今まで中学生や高校生に向かってお話をさせていただいたことは何度もあったけれど、講義という形だったので1:1でここまでじっくり掘り下げられるのは初めて。ipadで録音しながらノートも広げて、彼の中で大事だと思われた言葉がポツリポツリと書き留められていきます。なるほど、こういうことを知りたかったのだな、とメモを見ながら私も話の濃度を深めていきました。自分から興味を持って連絡をくれただけあって、魂からの質問を受けている感じがしました。

きっととても緊張していたのだと思うのですが、向き合っていた時間の半分ぐらいが沈黙でした。それはとても心地よい沈黙で、この子が聞きたいことを一生懸命頭の中で整理している音が聞こえてくるような時間でした。

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用意していた時間はすぐ過ぎてしまったので、新幹線で東京に帰るギリギリの時間まで話そうと決めて、場所を移動しました。一生懸命絞り出された質問は、これからも尽きることはないのだろうなと思います。きっと次から次へと知りたいことが出てくるんだろう。そしてそれを世の中にぶつけて、自分なりの答えを得るんだろう。あまりにまっすぐぶつけてくるので、こちらも言葉を選ばずにまっすぐ答える。特に質問が、私の作る「青春体験」に寄ったものが多く、それは主人公(プレイヤー)が高校生になる設定で作っているものなので、リアル高校生の視点で心が動く部分というのが、公演の核になっている部分でもあり、答えていくうちに、新しく作りたいものが見えてくるという不思議な現象でした。

自分が高校生の頃は、田舎に住んでいたこともあり、SNSでフランクに連絡を取るということも出来なかったりで、自分が好きなものを作っている人は幻想の世界の中の人のように感じていました。故に、ここまで自分で噛み砕いてその世界を知ろうとも思えていなかったので、きっと生徒達にとってとても良い経験になるプログラム何だろうなあ、良い学校だなあと思いました。講師の一覧を見ても、誰かに用意された職業選択ではなく、自分たちで知りたいものを選らんだろうなという感じ。現代の職業選択の自由が体言化されていて、なんなら受けてみたい講義が沢山ある。

プログラム一覧はこちら

こちらのフォーム から予約が出来るみたいです。きだの講義は34番!

というわけで、魂からぶつかってきてくれた彼に応えるためにも、ただのお仕事紹介で終わらないような、自分とっての「作る」という行為の本質と向き合い、皆様に伝えられる時間にしたいと思っているので、東海地区の人はぜひのぞきにきてください。東海地区での制作の予定もあったりするので、中学生・高校生に限定しなくとも何か作っている人や作りたいと思っている人にもお会いできると嬉しいです。今は青春体験よりも作りたいものがあったので、今年はそっちを頑張ろうと思っていたのですが、真っ直ぐな取材を受けた翌日、空にマジックアワーが広がっていて、トワイライト流れてきて、いつの間にか満月の夜の下に立っていたら、青春体験も作りたくなっちゃいましたよね。もう何かの病気かと思うほどに。そんな新しく作りたいものの話も出来たらと思います。

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(帰りの新幹線の切符、これに見えたよね。それでは〜)

ありがとうございます。面白い体験を作ることに還元していきたいと思います。