見出し画像

SCRAP、新ブランド「体験する物語 project」をはじめます!

先日、SCRAPでこんな発表をさせていただきました!

まったく情報がないにも関わらず、沢山の拡散と期待の声にチーム一同びっくりしています。ありがとうございます!あくまで個人としての言葉にはなりますが、これからどんなことをやっていきたいか、野望を語らせてください。

SCRAPについて

SCRAPは「リアル脱出ゲーム」などの体験型エンターテイメントをつくっている会社です。イベントだけでなく、書籍やオンラインゲーム、お店や謎解きグッズなど幅広い"物語体験"をつくっています。

「体験する物語 project」とは

「体験する物語project」ではあなた自身が物語の登場人物の1人となって「行動すること」で、物語が変化していきます。
本当に“目の前”にいる登場人物に話しかけると返事がくる、ある食べ物を注文すると特別なカードがもらえる、演者に誘われるがままについていくと特別なストーリーが見られるなど、あなたが物語の中で起こした「行動」が、物語に影響を与え、その後の物語に変化を生む。物語をただ受け取るだけでなく、行動した人の数だけ、それぞれの物語が生まれる、それが「体験する物語project」です。

実はこれまでにもSCRAPでは "謎解き"という枠にとらわれない物語体験イベントを制作してきました。

例えば

"あなたが舞台の内側に入り込んで、演者と交流しながら体験する物語"「インサイドシアター」シリーズだったり

お客さんの行動がライブを成功に導く「リアルプロデュース体験」だったり

そしてこれからも、リアル・オンライン・フィールド問わず、どんどん新しい形式の物語体験を生み出していきたいと考えています。より深く、より自由に、よりシームレスに、実験的かつ挑戦的な作品を生み出し、届けていくために、育てていくために、このタイミングでブランド化をさせていただきました。


具体的にやっていきたいこと3つ


①空間の特性を活かして「体験する物語」

ご時世的に中止せざるを得なかったのですが、以前、取り壊し予定の大正時代から続く写真館に出会い企画制作した「銀座・有賀写真館物語」だったり

歌舞伎町の旧愛本店の空間で1人の少女と出会うことから始まり、体験する物語を作っていたりもしました。

スクリーンショット 2022-02-26 23.38.41

どちらも今は取り壊されてなくなってしまった空間なのですが、再度こういった場所の素晴らしさを活かした公演を企画したいと考えています。

また、以前開催したカフェで隣の席にいる人の会話が漏れ聞こえてきたことから物語がはじまる「のぞきみカフェ」も、カフェという空間ありきの公演でした。

NYのSleep No Moreもオープン前に閉業し廃ビルと化していたホテルが舞台として蘇ったというエピソードが好きなのですが、日常と地続きにある空間に、その場所ならではの物語を持ち込み、そこに参加者の方が訪れてくれることによって化学変化が起こる、体験フィールドが縛られないものを作っていきたいです。


②作品の世界観にそのまま没入して、何度でも「体験する物語」

"作品の世界観がそのまま再現されている実空間"が狂おしい程に好きです。逆に"実際の土地が描かれていて、聖地巡礼ができる作品"も大好きです。最近感動した事例だと、チームメイトに連れていってもらったCAFE CINNAMONです。

過去公演だと、ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボ公演は毎回「Aqoursと一緒にいる空間」やオリジナル曲を作らせてもらっていたり

スクリーンショット 2022-02-26 23.48.18

現在開催中の東京リベンジャーズとのコラボ公演でも、2005年の東京卍會のアジトで彼等と共にたたかう物語を作らせていただきました。

スクリーンショット 2022-02-26 23.52.29

時間制限があるゲームの場合、クリアという目的に向かって動くので、一丸となって熱くなれる素晴らしさがある一方、自由な楽しみ方をしてもらうのが難しいなという制作上の悩みがあります。「体験する物語 project」では、賛同してくださる作品とコラボさせていただき、お客さんがその世界観の中で自由に過ごせるような体験にもトライしていきたいです。

これに近いのが、イギリス発のsecret cinemaであり、世界中のテーマパークだったり、ディズニーさんのStar Wars: Galactic Starcruiserだったりすると思うのですが、secret cinemaで感銘を受けたのが「その作品を好きな何百〜何千規模の人が、世界観に沿ったファッションに身を包み、一同に介している」という時間でした。自身もコラボ公演を作らせていただいた際に、お客さんが"推しについて語っている""推しグッズを持って参加してくれている"様子がとても好きでひっそり現場を見に行ったりするのですが、もっともっと大規模に、そして安全に、同じ作品を好きな人が同じ世界観に入り込み、何度も訪れることができて、自由な動きができる場を作りたいです。


③知らない間に誘われて「体験する物語」

"ふとした瞬間に別の世界に落ちていく"ような体験も、もっと模索していきたいです。目の前の役者さんを追いかけていくと、秘密のBARを見つける。困っている人を助けると、特別なカードをもらえる。オンライン上の不思議なアイコンをクリックすると、突然ビデオ通話がはじまる。忘れた頃に、自分の家に登場人物からのお手紙が届く。食パンをくわえた転校生が、目の前で学生証を落としていくetc…。

これらは①②の中にひっそりと仕込まれるかもしれないですし、独立して何か作りたい気持ちもあります。世界中にこんなスポットがあるとすごく楽しくなるだろうなと思う一方、成立させるのが難しいことも身に染みているので、アイデアを出し続けます…!

画像4

画像5

「体験する物語」を切り開きたい、仲間募集中。

「体験する物語 project」は、色んな視点が入ることによって面白くなっていくと思っています。それは、人の数だけ違った体験があり、誰もが作り手になれるジャンルだからです。そして、我々まだ立ち上がったばかりのチームで、コンテンツの作り方もビジネスとして成立させる方法も模索中で未知数です。イベント業界に逆風が吹く中ですが、この先に面白い世界があると信じて、一緒に激流を面白がってくれる人に出会いたいなと思っています。

詳しい概要はこちらのフォーム よりご確認ください。(既にお知り合いの方は、直接ご連絡いただくのも大歓迎です!)


企業・団体の方へ

場所を使ってほしい/作品コラボをしたい/協賛したい/一緒に制作をしたい/といった企業・団体様も募集しています。こちらのお問合せフォームよりご連絡ください。(担当:熊崎・きだ)


最後に…なぜ、いま「体験する物語」なのか


読み飛ばしていただいて大丈夫な、個人的な話になります。

私も2011年にSCRAPに入社して以降、沢山の謎解きコンテンツをつくらせてもらいました。物語に入り込む装置として、自ら前のめりになる"謎解き"は大変素晴らしく、作り手によってまったく違った体験が生まれるのも魅力の1つだと思います。さらに「リアル脱出ゲーム」はアイデアとシステムが天才的で、小さな部屋からはじまって、遊園地、スタジアム、常設店、メディア、街中、海外にまで広がっていく様に間近で携われたことは、とても幸運でした。

SCRAPのコンテンツの魅力は「物語体験」だと思います。そして、自分が作り手として企画をする際に重視する部分も「物語体験」です。いつしか謎解きコンテンツを作りながらも、物語の方を重視するようになっていきました。

明確に「自分はそこに謎やゲームクリアの概念が存在しなくても、お客さんの1人1人の行動によって"世界でたった1つのストーリーが生まれる"ものを作りたいんだな」と思ったのがこの『忘れられた実験室からの脱出』という公演を作った時でした。

目の前に現れるアンドロイドとコミュニケーションを取りながら進めていくゲームなのですが、解答入力方法が変わっていることもあり、体験した人の数だけ違ったストーリーが生まれていきました。

アンドロイド役の素晴らしい演者がいるから成り立つことではあるのですが、一言一言の会話や、表情や、空気感が、まるで現実にあった出来事のように残っていくと良いなと思い、そこからラスベガスのようなショータイムを取り入れたり、恋愛要素のみのゲームを作ったり、お客さんの行動で展開が変わるライブ演出をやったり、声で誘われる街歩き体験を作ったり、食パン女子を街中に放ったり。空間へのアプローチとしてはアメリカで「ある幽霊船からの脱出」を開催した際、一部が映画タイタニックの撮影で使われた船を会場とし、それ専用の演出を考えたり、見つけた人だけが行けるひみつの喫茶店を作ったりetc。あまりゲームという形式や成功/失敗にはこだわらず、なるだけその人ならではの物語を生むにはどうすれば良いかをずっと考えていた気がします。

ストーリーや演出を重視するあまり、求められているリアル脱出ゲームの作り手には向いてないんじゃないかなと現在進行形で日々悩みながら、上手くいったものもいかなかったものも含め、沢山の実験を重ねてきました。

スクリーンショット 2022-02-27 15.25.59

その中で「インサイドシアター」や「リアルプロデュース系」などの"人それぞれ、好きな歩き方・楽しみ方ができる""クリアの概念がない""何度来てもOK"といったような形式がやっと受け入れてもらえるようになり、参加してくださる方も増えてきました。ただ、まだSCRAPで謎解きじゃない企画を打ち出す際に、お客さんに誤解がないよう

スクリーンショット 2022-02-27 15.47.33

という注釈を入れなければならないのは、自分の力不足だなと感じております。勢いも全然足りてない。実際、SCRAPやその周辺には素晴らしい作り手やプロデューサーがいるので、形式にとらわれずに面白いものが、今後もたくさん出ていくと思います。その時に、お客さんが安心して遊びにこれるような、土壌を作っていきたいと思うようになりました。

そんな中、世の中的に「体験すること」がハードルの高いものになっていっている現状も感じています。リアル脱出ゲームが今年で15周年というのもすごいし、世界中ぐるっと見渡すと、謎解きや参加型演劇、参加型展覧会やサウナ施設やホテルなど、他の体験型コンテンツも面白いなあと思うものがとても多く出ています。携わらせていただいている「泊まれる演劇」も最高だし、他にもこっそり追いかけている素敵な作り手さんが沢山いらっしゃいます。けれど、まだまだ何も気にせずのびのびと参加できる世界になるには時間がかかりそうです。

体験型エンターテイメントはこれからもっと面白くなっていくだろうし、歩みを止めず、面白くしていきたい。そして"あなたが物語の中で起こした「行動」が物語に影響を与え、行動した人の数だけ、物語が生まれる"という体験は、きっとその後の日常生活を面白くしていくことにも繋がっていくと思います。「体験すること」のハードルが上がっている今だからこそ、様々な切り口から企画し、出来るだけ誰でも参加しやすくなるような工夫をして、その人なりの楽しみ方をすることが歓迎されて、人生の一部のように楽しんでもらえるものを、枠に捉われずに考えていきたい。そんな気持ちを込めて、あえて広い言葉を使い「体験する物語 project」と命名しました。このプロジェクトの参加者は、私たちであり、あなたでもあります。

そして、なんと今夜。そんな「体験する物語 project」の新公演が発表される予定です!ここに書いた「やりたい3つのこと」には入るのですが、おそらくこのnoteを読んでくださった皆様からすると、びっくりナナメ方向からのお知らせになると思います。

新作がお気に召すかはその人次第だと思いますが、これからも引き続き、オリジナルストーリー、コラボ、オンライン、リアルと色々作っていきたいと思いますので、もし趣向にあえば体験好きの皆様にも、一緒につくったり、様子を見に来てもらえると嬉しいです。


きださおり

ありがとうございます。面白い体験を作ることに還元していきたいと思います。