「気の弱いラーメン屋」 笑話その35
気の弱いラーメン屋
店主:らっしゃ~い!
サラリーマン:8人だけどいける?
店主:は~い!もちろんです、オーダーうかがいますね?
社員A:ちょっと、早い早い、メニュー見てから
店主:あ、すんましぇ~ん
社員B:へぇ、なんでも種類ありますねぇ、塩、味噌、醤油、辛味噌、キムチ、豚骨、多くね?、
社員C:辛さ1~極辛まで17種類?も麺の固さも7種類も?すげぇっすね
店主:お客様のニーズに合わささ、せていた、いた、いたただきましゅ!
社員D:トッピングもありますよ、煮卵も味付け卵も3種類も、あ、これ凄いすね、キャベツの量とか二郎みたいっすね。
社員E:餃子だって、OLターゲット?シソ餃子とか、ニンニク無し餃子とかもありますね
社員F:ありすぎて悩むな~自分は腹減ってるだけなんで、適当でいいんだけどな
店主:はい、喜んで~3番テーブルさん!、豚骨大盛バリカタ3レベル麺、辛さ12、キャベツ、煮たまご半熟、半ライス中温、お待ち~!
客:おせぇよ、何分待たせんだよ!
店主:あい、すんましぇ~ん!はい、喜んで~
社員C:すげぇ、注文細かいな…、親父~半ライス中温ってなに?
店主:冷えたライスが良いってお客様もいらっしゃいましてぇ~中には中温の30度くらい頼まれるかたもいらっしゃいましてぇ~
社員A:手間が凄いな…みんな、そろそろ決まった?
店主:どうぞ、遠慮せず~喜んで~
社員A:いいな?じゃ端から、豚骨味噌辛さ16、固さ3レベルで、普通盛り、メンマ抜き、ネギ多め、煮たまごなしね
社員B:ジャージャー麺できる?
店主:メニューないですけどぉ、なんとかやってみまっしょう、は~い、喜んで~
社員B:ジャージャー麺普通盛り、麺は細めん固さ5、ジャージャー麺なんだけど甘口で。
社員C:豚骨ラーメン大盛、細めん固さ1、辛さ1、餃子は四川餃子、ライスなし
社員D:塩ラーメン、中盛り、太麺、固さ2、チャーシュー、炒飯セット。
社員E:野菜ラーメン特盛、キャベツなし、普通麺、固さ4、トッピングはワカメ多め、ラーメン自体、冷やしてね、猫舌なんで
店主:へい、喜んで~!冷やしですね
社員F:チャーシューと普通盛りの普通麺の普通固さ、それだけでいいや、悪いし
店長:遠慮しないでくだせい!自信あるんでぇい!
社員F:え…そ、そう?本当に良いの?大丈夫かよ、じゃ味噌バリカタ6レベル、シナチク抜き、のり多め、のつけ麺、えっと固さ言ったっけ?
社員G:言ったよ、じゃ俺は、半熟煮たまご、チャーシューだけで。あんまり腹減ってないから
社員H:親父、そばっていける?
店主:はい、カレーもそばもいけますよ
社員H:じゃきつねそばの中温ね
店主:あの、固さは?麺の太さもできたら、教えてくだせい~、はい、喜んで~
社員:そばはそばっしょ!固さも太さも普通だよ!
店主:す、す、すんましぇん!あい、すんましぇ~んそばっすね!はい、喜んで~
社員C:早くしろよ!昼休みおわっちまうからよ!
店主:あい、すんましぇ~ん
―――――50分後
店主:ラストの方~、きつねそば、中温お待ち~!
社員全員:すげぇ、親父やるなぁ、メモとってたの?
店主:いえいえ、滅相もねぇです、記憶力だけは良くてですね、一度聞いたら覚えちまうんでさぁ
社員全員:すげぇ…
~~店を出るサラリーマン一行~~
社員A:親父、凄かったなぁ、注文とってる最中も8個もある寸胴鍋火加減みて、包丁でさくさく、キャベツもその場で切ってたな
社員B:すげぇよな、ジャージャー麺メニューにないのに、バラ肉炒めて手際も良かった、なにより半熟の煮たまご誰か注文してたろ?あれ、ヤバかったなぁ
社員G:あ、それ俺っす、煮てんだから半熟なんかできるわけねぇって見てたら、やっぱり半熟卵作りからはじめて、まち針みたいなやつで醤油だれを途中で注入する手の込みように唖然としましたよ
社員C:ひっきりなしに、一切無駄な動きがないのな、記憶力だけじゃなくて、全料理を火加減みながら、同時進行させるなんて、ましてや、新メニューもありなのにすげぇ能力だよな、時間ギリギリだったけど昼休み内に間に合ったし
社員B:ただ、味は…
社員全員:クソマズ
社員F:ぱっぱぱっぱやるのはいいんだけど、水気があって水切りしてないから、すべてが…いや、固さだったり、温度も最高なんだけど、根本的に…味付けが
社員全員:ほんとうにマズい、、
社員C:俺かなりバカ舌でたいていのもんは旨く感じれるのに、本当にくそマズ…
社員E:ライス、おかゆかよって感じだったもんな、食器洗いも全部店長だから、食器もベチャベチャ…手際がよいというより、ただ早いだけ、いや、早いのは凄かった…
社員H:きつねそば、激マズでした、天才でしょ、オーダー完璧に覚えて、工程も組み立てて、でも、
社員全員:くそマズ…
社員G:なんか…なんか…悔しいっすね…もったいないって言うか…あの才能…
社員A:ホントだよな、天は二物を与えずって本当なんだな
社員B:あぁ、ちっきしょう、まったくだ…
――「完」――
ひとつよろしくお願いいたします