BALLISTIK BOYZを本格的に推そうと思う。『Back & Forth』感想

バリちゃんのことは今まで緩く見守ってきたのですが、アルバム『Back & Forth』をライブに行く前準備のつもりで聴いたら良すぎたので先々月無事にFCに入りました!というわけで遅まきながら本格的に推そうと思います。
まずは私が『Back & Forth』をどう聴いたかということについて感想を書いていこうかと。音楽の知識があるわけでもなく、ふわっとした感想ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。


●アルバム全体

このアルバムは前回アルバムから約2年ぶりのリリースですね。その間にもたくさんの楽曲を届けてくれていたので2年も間があいていたのかぁと意外な気持ちでした。アルバムに関する記事はいくつか読んでいますが、JUNON 2024年4月号にはアルバムタイトルについての言及が。利樹ちゃんは「役2年ぶりのアルバムになるので、この期間の僕たちを振り返ったときに、いちばんふさわしいと思うタイトルにしたかったんです」、加納くんは「タイで過ごした半年間も含めて、僕たちは何をしてきて、何を残せたんだろう?と考えたうえで、しっくりきた言葉だったというか」と答えていました。「行ったり来たり」という意味のBack & Forth。やはりバリちゃんにとってこの2年の間の特に大きな出来事というと2022年からのタイを拠点とした半年間の活動があると思います。このインタビューでも日本とタイでの音楽シーンの違い、言葉の壁、タイのアーティストとのコラボやこれまで経験したことのない環境でのパフォーマンスなどについて触れられていました。そうした出来事の中での苦悩だったり、ステージでのより良いパフォーマンス、あるいはアーティストとしての活動を目指す上での様々な模索。そういったものが「行ったり来たり」にこめられているようです。また、そうしていろいろなことを考えてたくさんの経験をしたうえでまた前に進んでいくということも一つのキーワードになっています。タイでの活動についてはドキュメンタリー映像があるのですがそれがめちゃくちゃ良かったです。ここで言われているような挑戦や葛藤、また素晴らしい経験が記録されています。
アルバムの1曲目、『In My Head』ですでにその「前進」というテーマが描かれていることに気づいてこれは、と思いました。バラードがリード曲となるのはバリちゃんにとって初のことでこれも一つの挑戦として挙げられており、その点もたいへん興味深いのですがこの曲単体のストーリーである「終わった恋愛が頭から離れず葛藤する」の結末部は「前進」になっています。相手の幸せを祈り、幸せな思い出を大切に思いながらも引きずる気持ちを追い出そうとする。このラブストーリーの中での「いろいろを経て前進すること」が、アルバム全体を通してみた時の大きな流れの中で反復され、またラストの『N.E.X.T』では「BALLISTIK BOYZとしての前進の物語」がより直接的な形で描かれています。
アルバム全体として各曲の雰囲気を見ていくと前半部は切なかったり、ダーティ、ダークなトーンが目立ちますが『All About U』を中間地点としてその先はより明るい、「前進」に向かうような楽曲が続き『N.E.X.T』という美しい結びがあって完結する構成になっており、この全体を通してみた時のグラデーションに物語性を感じました。ただリリース順に楽曲を並べるとかということにはなっていないし、「バリちゃんは2年間いろいろ曲を出してきたんだね、へえー良い曲ばっかりだね」という風に片付けることができない、非常によく考え抜かれた作りになっているなと感じました。ただのリリース曲の総まとめとおまけの新曲というようなものではないです。そういう物語が見える作品をほとんど既存のリリース曲で作りあげていることが本当にすごい。最近はK-POPのアルバムなどを聴いておりますが、これらの場合はアルバムにしっかりとしたコンセプトがあり、それに合わせて全て新曲が収録されていますからこういうものからはストーリーだとか作品のカラーがきちんと受け取れるようになっています。LDHの場合はシングルをリリースしていってそれらが収録されたアルバムが出るというイメージだったので、過去にGENERATIONSがリリースしたアルバム『Up & Down』はやはり自分の中でものすごく印象深いものになりましたね。まず新曲が多く、ストーリー性を持たせるためのインストが追加されていたりとこのアルバムを独自の物語を持った作品にしようという意図が随所に感じられたからです。『Back & Forth』はそれ以来の衝撃と言って良いでしょう。もともとバリちゃんたちのパフォーマンス力の高さは知っているつもりでしたが、こういうものを自分たちで考えて作れるグループだということが分かり、ますます好きになりました。そして彼らは世界を目指して活動している。それならまずは国内でもっと人気が出て欲しいし、単独でもっと大きな会場でライブをしてほしい。そんな風に思いました。本当にアルバムをちゃんと発売のタイミングで買っていて良かった……。アルバムがあまりにも良すぎたので即FCに入り、急遽当日購入でサイン会に参戦してライブ行きます宣言をしたり、チケットを東京分しか取っていなかったので慌てて静岡、名古屋、兵庫分買い足したオタクです。東京は母(流星くんファン)と行くのですが、その他は1人で遠征。各公演のレポも書けたらと思います。それくらい人を動かすアルバムでしたよ、『Back & Forth』は。

●各楽曲の好きなところやその他感想

・In My Head

リード曲にふさわしく、このアルバムにおけるテーマを提示してくれるバラード。MV300万回再生おめでとうございます!(2024.4.6現在)毎日聴きに行ってる。「もう無理だって」からの振り付けがめちゃくちゃ好き。未来、リッキー、利樹ちゃんが作詞で参加。映画やドラマ、それから自分自身の経験を元に作詞をしているという話がJaMEの記事にありました。『In My Head』の撮影裏話とか他の楽曲のこと、タイでの生活や今後の展望などいろいろなお話をしているのでオススメです。

JaME(※英語記事)
https://www.jame-world.com/en/article/165113-interview-with-ballistik-boyz.html

・God Mode

母のお気に入り曲です。王道ながらジャズっぽいテイストもあり面白いサウンド。舞台映えする派手でキラキラしたイメージですね。ライブで絶対盛り上がるやつ。パワフルで挑発的な歌詞の楽曲はこれまでもあったけれどそれらともまた違ったスタイルで新鮮でした。

・Ding Ding Dong

MV、曲調ともにめちゃくちゃ好み。天使と悪魔、オタクならみんな好きなのでは?メボ4人のうち日髙くんだけ悪魔側なの良きです。この曲は最初の凶悪な笑い声のところでもうワクワクする。ラップによる語りの面白さがつまっている感じですね。あと加納くんのキリングパート(「登る堕ちる君次第」のとこ)でよりいっそうの盛り上がりがある。

・Drop Dead

タイのアーティストTRINITYとのコラボ曲。MVはコンセプト強め、メイクばっちりでLDH産のMVとはまた違った雰囲気ですごく良い。コレオもすごい好き。タイの活動を象徴する一曲というか、世界に向けて作品を作っていることがいろいろな方向から伝わってきます。まずは言語の面で英語歌詞がメインになっていること、それからノンバーバルな面ではビジュアル、コンセプトなどで見た瞬間にかっこよさが伝わる、そんな風にアプローチしてると思う。

・ラストダンスにBYE BYE

私のイチオシ曲です。メロディーは洋楽寄りなミッドテンポ、ディスコポップな雰囲気でまさしくダンスのイメージがありながら同時に情緒的。明るい曲調なのに胸にずっしりくる切なさがきちんとベースになっているのがすごいと思います。「「無理しないで」が精一杯 唯一かけれる言葉だったんだ 「忘れてしまえ もういいんじゃない?」は僕の心で止めておく」という歌詞、すごく日本的というか。嘘はついていないけれど本当に言いたいことは言いたくても言えない、そういう優しさと諦めと、臆病さの入り混じった感じがとてつもなく刺さりました。ふだんそんなに恋愛ソング好きではないのですがこの曲に限らずバリちゃんの恋愛ソングには好きなのが多いです。

・Milk & Coffee

Jpopかつフェミニンな楽曲。宇多田ヒカルとかの雰囲気。これも歌詞が良くて「I don't wanna be another girlって訳でもない But I think about you all the time」のところの心情描写と「モノクロに映る街」、「静かに降る雨」、「曇る窓」などの情景描写、どちらも素晴らしい。重だるくて湿度の高い、良くない恋愛の歌。『Ti Amo』も好きだし当然好きなトーンの曲でした。

・Lonely

こちらも未来、リッキー、利樹ちゃん作詞曲。切なさとか寂しさがかなり直接的に歌われているけれどこの楽曲も離れてても通じ合う心と共に進んでいくことを歌っているので、全体としての前進に向かっていくものかなと思います。そしてグループとしての物語を歌ったものでもあるという。私はメンバーが感じていることを率直に歌っている曲が好きで、それはファンを励ますとかファンの力になる、上から引き上げるようなものじゃなくて良いと思っているので一緒に進んでくことを歌っていたり、不安までも素直に表現しているところがすごく良いなと感じました。

・All About U

このあたりから明るい雰囲気が増してくる。爽やかな楽曲。「全部信じちゃうよ キミのこと 向き合えば時間なんて あっという間で」のところが特に好き。バリちゃんの明るい恋愛ソングには独特の可愛さがあるような気がしますね。『Crazy for your love』とか『SUM BABY』とか聴いた時も同じように頬が緩みます。

・All I Ever Wanted

ガーフとのコラボ曲。この曲もこれまでのバリちゃんにない雰囲気でポップさがかなりある感じ。MVも可愛くてラップの雰囲気も柔らかめ。思わず口ずさみたくなるそんなメロディだと思う。これもタイ拠点期のコラボ曲なので英語の歌詞となっています。同じコラボ曲でもDrop Deadとは全く違う雰囲気なのでできないジャンルがないのでは?と思いました。このアルバム1枚だけで無限の可能性を見せてくれている気がします。楽曲のカラーは本当に多様なのにジェットコースターみたいに振り回されずに一続きの物語のようにして通しで聴けるのも魅力。

・WAVIN'

BOTの夏曲ブロックで出てきた曲。バリちゃん、夏曲とか景気の良い曲をやるのが上手すぎる。太陽ギラギラ、恋!って感じではなく歌詞も「星の海を踊るよ 君と」みたいな優しくて穏やかなお手振り曲。また夏になったら聴きたいけれど良い夏曲が多すぎてどれもセトリ落ちして欲しくないからライブ時間が頭の中で何時間も伸びていく。

・ドラマチックを残したい

『ラストダンスにBYE BYE』とタイトルの雰囲気が近いけれどこちらはめちゃくちゃ明るい曲。「次々と決める handshake」、「無我夢中が楽しくて」とかあまりにもLDHの景気の良さだなと思ったら作詞がJAY'EDさん、P-CHOさんで超納得しました。この曲は軽快で心が弾むようなサウンドが魅力的だからめちゃくちゃ生バンドで聴きたいかも。

・N.E.X.T.

歌い出しでもう泣く。ピアノがメインになってるのも……。好きな歌詞あげていくとキリがないほど美しい詩とメロディー。未来、リッキー、利樹ちゃんの作詞作曲です。天才。こんなに素晴らしい曲を作れる人たちが世界に行けないはずがないのでただ応援するだけですね。「叶えられなかったものがあるから 叶うものがある」、「何度失ったって 必ず次があるからって そう思えることが 自信に変わっていく」順風満帆ではなくても前に進んでいきたいという希望の歌。「君が照らし輝けた今だから 何も怖くない」という歌詞も好き。ファンとメンバーとの絆の曲であり、新たなステージへと前進していくグループの姿そのものを描く曲で閉じて、その物語は外(今後の活動そのもの)に向かって続いていくという構成になっているのが美しすぎる。

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