レイモンド・カーヴァーの世界

リーディングシアター「レイモンド・カーヴァーの世界」を見てきましたー!!

さてさて、私は女流王位戦の仕事のため、今朝まで福岡にいた訳です。そして新幹線に乗る。するとですね、あら不思議!座ってるだけで東京に着いちゃうんですねー

だって!だってさ!5月はほんとに盆と正月が一度に来たみたいな(使い方間違ってるけど)仕事の詰まりようで!!師走か!!5月、おまえは実は師走だろう!!私にはわかるぞ!!な!改元ですべて許されると思うなよ!!

と言わんばかりだったんです!ほんと!だから!そんな5月をヘルシーにハッピーにランナウェイした私に、推しの劇を見るというご褒美があったってバチは当たらないぜ!!!

&兵庫県での開催の方は仕事とかぶって行けなかったのさ...

そういうわけです。矢崎広さんこと、私の推しの俳優さんを見るためにこのおかしなスケジュールを実行しました。しかも夜行バスで帰る。ごめんね、背骨。こんにちはバキバキの体よ...

やたら前置きが長いな!ちなみに矢崎広さんのファンになってまだ間もないですが、ファンクラブにも入ったし毎週水曜日のあさステ!は会員です。推しは推せるタイミングで各自推せるだけ推そうな!山口との約束だぞ!

はい。一旦落ち着こうか。最近大学で非常勤講師をしてる私ですが、生徒にTwitterのツイートを逐一読み上げられる案件が発生したりしなかったりしてるので、品行方正な言葉選びを心がけたいものです。

以下、私の五感をフル活用した記憶を元にレポートとさせていただきます。ネタバレや「それ思ってるのお主だけやで」的なsomethingを大いに含むであろうことを理解した上でお読みくださいませ。

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会場は六本木トリコロールシアター。六本木!?私服で歩いていいの?一張羅じゃなきゃダメなんじゃない?っていう感じのおしゃれタウンなイメージ。怖いな。六本木トリコロールシアターは出来てまだ日が浅い劇場で、外観がオシャレ!

1階はカフェなのだろうか?会場は2階。

19時開演。私の席は割と後方だったけど、それでも演者さんの瞬きがわかるくらいの距離。しかし私は目が悪いので、倍率5倍の(前回10倍だったけど新しく買った 2個持って行った)双眼鏡を装備してちょうどいい感じ。視力が5.0にならんかな!!!

ステージ右端に置かれているのはピアノ。ゆっくりと演奏者の阿部篤志さんが登場し、しっとりと演奏...ステージには空港(だった気がするけど断言はできない)の映像が滲むように映し出され、そして矢崎広さんが登場。

椅子に腰掛け、本を開く。まず朗読するお話は「菓子袋」

ある青年が、旅先でふと、父親に会おうと思って電報を打つ。両親が離婚してから、一度も会っていない。父親と落ち合い、バーでぎこちない話をする。父親は「みんなに」とジェリービーンズの菓子袋を渡す。そして、離婚の原因になったであろう、過去の過ち(女性関係)について赤裸々に語り出すー

というのがあらすじ。息子サイドからすれば絶対やだよ!そんな話聞きたくないよ!!ってトピック。「わかってほしい」父親と「出来ればそんな話聞きたくないよ」と思ってる息子の温度差。

朗読劇なので、どうキャラクターを演じ分けるのかなと思ってる見ていました。普段の劇だと、1人何役かの時は衣装が変わるけど、朗読劇はそうじゃない。

「菓子袋」での矢崎さんの演じ分け方は落語的で、(矢崎さんから見て)左をむく時は息子、右をむく時は父を、正面をむく時(この場合はたぶん固定されてなかったけど)父の浮気相手となる女を、と言った具合。

息子はあまり口を挟まず、話を掘り下げるでも遮るでもなく(見かねた時はちょっと言うけど)淡々と話を聞く。それが優しさというより、愛とは対極にある無関心さというか、諦めっていう感じがしました。一定の距離を保って接してる感じ。

父は浮気のことをつらつらと語りながら、「お前にはわかるだろう?」と訴える。父サイドで演じてる時の矢崎さん、息子を演じてる時と年齢がぐっと違う気がしたんですよ!!なんかこう...表情筋がすべて使われていて、本当に顔にシワが刻まれているようにさえ感じる。

あーもうなんで私の目にはスクリーンショット機能がないの!!iPhoneならスクショできるのに肉眼だと脳にダイレクトに刻むしかないじゃないか!!!!全部覚えていたくてほとんど息してなかった。

レイモンド・カーヴァーの作品は今日初めて触れました。不思議な、着陸しないタイプの物語で、余韻を楽しむでもなく、「現実的ながら摩訶不思議な世界に惹き込まれたものの、帰り道は用意されてなかった」困惑、途方に暮れる感じが心に残る。

「うわー!これめちゃ面白いからオススメだよ!!」というより、「好きだけど理由わかんない...けど好き...」的な心の掴み方。

父から浮気の顛末を聞かされ、そして別れ、飛行機に乗り込む息子。そこでふと、お土産で貰った「菓子袋」を忘れたことに気づく...

でも、後悔するわけでも、父に悪いなと思うわけでもなく、「まぁいいか、うちじゃ誰も食べないし」的な反応をする息子。

ドライって言うわけじゃなくて、ただただ関心がないというか、憎んでもいないし好きでもないし、ほんとに無関心という感じ...もう二度と父には会わないんだろうな。

父が畳み掛けるシーンで若干のコミカルさというか、熱さを帯びるピアノの演奏、時間の経過をさりげなく教えてくれる映像の投影も良かったです。(良かったとか素敵に変わる表現の語彙力が欲しい)小道具らしいものは何も無い中で、朗読用の台本(縦書き)をガッと掴んだり、端をつまみ上げるようにして持ったりして、灰皿や話中にでてくるものに見立てたりしているシーンも印象的。

舞台は暗転、雨が降る。続いての物語は「収集」。

雨が降っている。気だるげにソファーに寝っ転がっている男は無職。だけれども、遠くから仕事の頼りがあるかもしれない。耳を澄ませ、郵便屋が来ていないか確認する。

矢崎さんの雰囲気ががらっと変わるんですよ!!あー矢崎さんのファンの同士が欲しい!!小一時間ほど語り合いたい!!友達が欲しい!!

矢崎さんはアニメの声もされていたり、声による演じ分けが本当にすごいのですよ...あと大河ドラマ「いだてん」にも出てたの...(さりげなく推しをアドバタイズする作戦)

「菓子袋」は落語的な演じ分けだったのだけれど、「収集」は声や身振り手振りによる演じ分けという印象。

無職の男がソファーでうだうだしていると、外で足音が。これは郵便屋じゃないな...ノックの音が1回、2回、3回...だんだん強くなる。扉を開けるとそこには小柄で(たぶん小柄だったはずだ)太った男(オーブリー・ベル)がいた。「おめでとうございます!当選されましたよ!」

いかにも怪しいよー!!絶対お家にあげちゃダメだよー!!怪しい物売りとは接しちゃダメ!!!(※私の心の声です)

警戒心の塊の主人公(名前が覚えられなかった)は少しだけ扉を開けて接する。けれどもなんだかんだでベルの口車に乗せられてしまい、家の中へ。

当選しました!!というのはカーペットのクリーニングで、ベルは掃除機を組み立てて掃除を始める。そしてだんだんとベルに場を支配され、、、

ベル、めちゃくちゃ好きなんだろうな矢崎さん。という作り込みですよ。ベル愛されキャラなのでは??よくモノマネされちゃう(けど人気はない)癖のある学校の先生的なね。

「僕」の心を見透かしてるような、でもハッキリとはそこに触れないベルがどんどん部屋を掃除していくのがずっと不穏で、怪しくて、絡め取られてしまいそうな感じ。

レイモンド・カーヴァーの物語はまだよく分からないから、三編触れた印象だけど、設定はとても現実的なのに、不穏だし歪んでいるし、摩訶不思議。腑に落ちないとはまた違うんだよなぁ、、、

結局ベルは掃除をして帰るんだけど、最後に玄関口にたって「あのう...掃除機はいりませんか?」というところはいい意味でゾッとしました...矢崎さんが演じてるんじゃないんですよ...そこにベルが見えたよ...怖い...

矢崎広さんの出演作全部見るぞ...という心意気と労働意欲が高まりましたね...

そこで15分休憩。六本木トリコロールシアターは1階に御手洗がありますが、個室もそんなに多くないので大変かもしれない。

続いて平田満さん。平田さんの演技見るの初めて!公演日ごとに誰が出るかは違っていて、ほかの日だと仲村トオルさんや手塚とおるさんが出演されます。演目も違う!

平田さんが朗読するのは「愛について語るときに我々の語ること」

医者の「メル」とその妻テリーの家にやってきた僕と僕の妻。日の高いうちに飲み始め、愛について語る。

異常な愛というか、愛を受けてた本人が「それは愛だった」と言うけど、傍から見ると愛じゃないよね、みたいなことを語り合う、飲みの場の熱い議論というか

それぞれ今は夫婦だけど、その前に結婚歴もあるし、その結婚以前にも愛していた人はいたでしょう?もしどちらかが先だったら、この先も誰かを愛するでしょう?

メルがどんどん飲むからどんどん酔って、ほら、酔っ払う人がめちゃくちゃ熱く語る雰囲気あるじゃないですか、あの感じです。

平田さんの演じ方は例え方が難しくて、それぞれ口ぶりや話し方は違うんだけど、とてもナチュラル。メルが熱く語ったかと思えばテリーがそれをジョークにすることで諌めて、そのスイッチの切り替えがすごい...聞いている時はスイッチが切り替わってる!と思う隙はなく、ただただその4人の会話の傍聴者でした。

語弊があるとは思うけど、この話自体はうっすらとグロテスク。村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ時に似てる、心臓の裏の方がぞわぞわする感じ。

4人が語るうちに日が暮れ、窓から差し込む光は一筋もなくなり、だけど誰も灯りをともそうとしない。真っ暗な中で、4人の心臓の音が聞こえるー

このシーンは本当に真っ暗になって終わるのですが、アフタートークで演出の谷賢一さんが「会場も静まり返って、客席も物語の一部になっている」といった話をされていて、本当にそうだなぁと思いました。

驚いたのは、ピアノの演奏は大体の方向性は決まっていても、このタイミングで何を弾くというのは決まってない、毎回異なるということ。すごい...各回聞きたいなぁ。

と、言うわけで朧気なところもありますが見に行ってよかった!!

#朗読劇 #舞台 #矢崎広 #ピアノ #カーヴァー



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どうする?みたらす?
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山口絵美菜

ミュージカル初心者の語彙力が溶けた観劇録

4月に「ロミオ&ジュリエット」を見たことをきっかけに、あっという間にミュージカル沼にはまった私の観劇録です。擬音、感嘆多め。あくまでも己の記憶頼りの個人の感想です。好きなのは矢崎広さん。
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