将棋のリハビリとメンタル

この記事は「もしも私が20代で将棋を覚えて、その後離れて、また戻ってきたときに知りたいこと」というテーマで、具体的な将棋のリハビリ方法と、リハビリをしている間に心に浮かぶ「足を引っ張る自分」をなぎ倒していくメンタルについて書きたいと思います。

鋼のメンタルだからブランクなんぞ己の手でへし折ってやるぜ!という方より、「あぁ、もう前できなかったことができない・・・読みが遅い・・・3手詰めが分かんなくなってる・・・ああああ」となってしまう方向けです。これから将棋と再び出逢う方も、いったん距離を置く方も、読んでいただけると嬉しいです。

1、将棋から離れる

人生は長い。ご縁あって将棋を趣味に、生活の大きな部分にしていても、勉強や仕事、育児などなどより優先することが出てきたりするものです。

将棋と離れるパターンは大きく二つ。                 

①意識的に将棋から離れる

「もうすぐ受験だから、試験が終わるまで将棋を封印しよう」というようなとき。将棋から離れるのに「復帰のめど」が立っていたり、「いつからいつまで」と期間や条件が決まっていることが多いです。この場合、将棋に関するものは一旦目に見えないところにしまいこみ、優先する事項に取り組みましょう。

②気づいたら将棋から離れている

社会人の方に多いのがこのタイプ。仕事や生活が忙しく、それに追われている間にいつのまにか将棋から離れていた。時間的に余裕がなくなっていたり、精神的に余裕がなくなっていたりすると、将棋に限らずいろんなことが後回しになるものです。罪悪感を覚えたりするかもしれませんが、「気づいたら将棋から離れている」という状況は「状況ごとに一番優先すべきことに取り組んで頑張った」結果でもあるので、とりあえず自分をほめましょう。

2、将棋を再開する

将棋を再開するきっかけはなんでしょうか。①の離れ方をした人は「試験が終わった!将棋再開しよう!」②の人は「生活に余裕が出てきたし、もう一度やってみようかな?」という感じかなと思います。もしくは「まだ忙しいんだけど将棋がやりたい!!!」というパターンや、将棋ブームで長いブランクから戻ってきたり。

きっかけは何でも構いません。本当に何でもいい。純とか不純とか、動機は何でもよくて、大事なのは「将棋をまた始めた」という事実!

覚えていてほしいのは

一度はまっていたものにもう一度戻ってくるのは、何かを新しく始めることとまた違う大変さがあるということ。

一番大きいのは「新鮮味」の有無

まっさらな状態から将棋を始めたなら、「そうなんだ!」「知らなかった!」と発見していくことが多いのに対し、再開後だと「前はできてたのに・・・」という「もどかしさ」に変わっていたりします。

そのもどかしさのなぎ倒し方は後でお話しするとして、まずは具体的なリハビリ方法をご紹介します。

3、リハビリ方法

リハビリをするとき、まずは「将棋から離れる前に一番好きだった勉強法」から戻りましょう。対局が好きなら、将棋ウォーズで指してみる。詰将棋が好きなら、前解いていた本を開いてみましょう。棋譜並べが好きなら、新しい棋譜を入手(将棋世界を買ったり)して、試しに一局並べてみましょう。観戦が好きなら、ニコ生やAbemaTV、中継を見てみましょう。

そんな時に「バランスを取らなきゃ」「あんまり好きじゃないけど詰将棋しなきゃ終盤力が身につかないんじゃ・・・?」「まだ対局をするのは怖い・・・」と思ったり

もしくは拒否反応がでることもあります。(私は出ました)

まず戻すのは「棋力」じゃなく「体力」だ!

思い出してみてください。初めて将棋教室にいた日、指導対局を受けた日、詰将棋を解いた日。ものすごく疲れませんでしたか?

そこから将棋をするうちに、将棋をする体力が身についていったんです。それが休んでいる間に緩やかに減っていっていったと思って、まずは将棋に接している時間を増やしていきましょう。

◎将棋に接する時間を増やすには

ここでは一旦、真面目さを捨てましょう。真面目さというのは、将棋の勉強をするときに「質も量も」大事にしようとする姿勢です。

「質も量も」大事にする、それはとても素晴らしい姿勢です。ただ、完璧を目指すと何事も腰が重くなるもの。ここではまず「とりあえず量」という感覚で将棋に接する時間を増やすこと、将棋への拒否反応を減らしていく方法をご紹介します。

◎「ながら勉強」から始めよう

将棋を指すときは、静かな空間で真剣に考えて、局面だけに集中する必要があります。正直緊張する。

いきなりはハードルが高い!!

そう、はっきり言ってきつい。冬眠から目覚めて、いきなり戦場にはむかえない。

そこで、「将棋の勉強」というより「将棋に接する」ところから慣らしていきましょう。例えばこんな感じ。

・テレビを見ながら棋譜並べ                     

・音楽(歌詞がないもの)を聴きながら詰将棋

・作業しながらニコ生観戦(主に聞く)

将棋だけに気持ちを集中させてしまうと、あまりにも負荷が大きい。拒否反応が出やすいのはそういう状況です。もちろん複数の作業あんまり好きじゃないよ!という方もおられるかと思うので、あくまでも例です。要は「将棋をしていて、しんどく感じない状況」を作るイメージ。だらだらと将棋できる条件を探ってみてください。

海でいえば、まずは浜辺で波と戯れたり、貝殻拾っている感じ。いきなり足も付かないところまで泳ぎださないこと。徐々に水に慣れていけば大丈夫。量をこなしていたら質に転じるという話を聞いたことがあります。

将棋をするぞ!と意気込むより、ドラマを見よ~ついでにCMの時に詰将棋解くか、みたいな感じで行きましょう。

◎将棋と接するのが生活になじんできたら

一旦は0になっていた将棋時間がだんだん増えてきた。将棋が生活になじんで来たら、次の「欲」が出てくるころです。

それは「人と指してみたい」「もっと早く詰将棋を解きたい」「もっと理解したい」という、色んな「もっと」

「もっと」が出てきたらしめたもの。後さき考えずにその「もっと」をかなえてあげてください。

そこで「意味」とか「意義」とか「でも」を挟まないこと。私なんかが将棋強くなっても意味ないし・・・今更やったって周りはみんな先を行ってるし・・・そんな内なる声に耳を貸してたらいつまでも何も始まらない!

あなたがどのくらいの棋力であったとしても、それは恥じることじゃない。

だって、手が届かないくらい高みにいる棋士だって、女流棋士だって、見上げる人はだれでもあなたの棋力の時があった。

しかも、これから将棋を覚える人だってたくさんいる。そして間違いなく、あなたは将棋を始めたての時より今のほうが絶対に強い。

大丈夫だ!

そう、これくらいの熱さで行きましょう。もどかしい気持ちになったら、とりあえずこの考え方を言い聞かせること、頭の中で大丈夫と唱えて、内なる声を物理的に黙らせること、とにかく耳を貸さないことが大事です。

とことんフットワークを軽くしましょう。

「指してみよっかな?」と思ったらすぐにアプリを起動して指す。

「詰将棋解こうかな?」「もう少し難しいのとこうかな?」と思ったらAmazonで買う。

「もっと棋譜並べ頑張りたい」と思ったら、いつもより時間をかけて棋譜中継を見たり、棋譜並べのために本を買ったりしてみましょう。

すぐ行動に移すこと。将棋をすることでなにか被害をこうむることはほとんどないし、まずはやってみることです。

将棋に使うもの(盤や駒、本など)はすぐに取り出せるようにしておくのもお勧め。将棋をするのにかかるコストをひたすら抑えていきましょう!

ここで少し話はそれますが、ついでに書いておきます。

◎自分の好きな勉強ばかりしてしまう

ブランクがある人もない人も、将棋をしているなかで「自分の好きな事ばかりしてしまうけどいいのかな?」と思う瞬間は訪れると思います。ちなみに私は棋譜並べが一番好きです。

その時に思い出してほしいのが「将棋の体力」。好きな勉強ばかりしているのは不安かもしれませんが、それにずっと集中できたり、楽しめたりしているなら「将棋の体力」が育っていたり「将棋=楽しい、の体感」ができています。「これもしてみようかな?」と自然に思えるまで、好きな勉強に取り組んでいていいと思います。

そこから「強くなりたい!!」となったら、リハビリとはまた違うお話なので、この記事では扱いません。最近はいろんな方が将棋の上達の記事を挙げていらっしゃるので、ぜひ探してみてください!

今の段階で私が書ける「将棋のリハビリ方法」と「メンタルを楽にする考え方」は以上です。個人差もあり、万能の方法ではありません。あくまでも個人の意見ではありますが、何かの参考になれば幸いです。

◎追記◎
この記事を最後までお読みいただきありがとございます!私自身受験勉強で将棋を離れたり、その後も仕事が忙しかったりで将棋との向き合い方が難しかったりした過去があり、その経験を元にこの記事を書きました。

ひとつ書き忘れたことがあるので、追記という形で記します。

将棋から離れて、戻ってきたとき。もしく離れている最中、覚えておいてほしいことがあります。それは「将棋をするだけが、将棋の勉強ではない」ということです。

将棋を離れて、仕事や勉強や生活を頑張っている。もしくは将棋を離れて、これから長い人生を生きていくために休んでいる、自分を治している時。

たしかに離れている間は、将棋の新しい戦法を学んだり、詰将棋がはやくなったり、そういう効果は選べないけれど、「人」としては変化しています。

離れているあいだに学んだことが将棋に生かせたり、体力や精神力が鍛えられて、勝負に強くなってたりします。

離れること=悪いこと ではないということを、ぜひ覚えておいていただきたいです。

#将棋





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山口絵美菜

将棋

将棋についての真面目なnoteです。主に将棋を始めた方に向けて、優しい部分を確保したい気持ちで書いています。

コメント1件

いつも拝読させて頂いております。自分は、学生時代に仲間と放課後などよく指していましたが、仕事に就くといつのまにか将棋からはなれておりました。再開のきっかけは、10年位前になりますが、職場に将棋をさす人がいたこと。時々昼休みに指しています。同じ趣味の仲間が身近に居なかったから将棋から離れてしまったのかな?。今回から絵美菜さんの文章を読んで改めて考えさせられました。又、楽しみにしております。
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