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東京オリンピック ボランティアドライバー体験記43

閉会式翌日8月9日月曜日、山の日の振替休日。この日私は最後のボランティアの予定が入っていた。前日届いたこの日のオファーは、16時から21時で、乗車アサインがあると書いてあった(最近のメールには、アサインがあるかどうかまで記されるようになっていた)。

この日、私の頭を悩ませていたことがあった。PCR検査である。

PCR検査といえば、今回の五輪はバブル方式で行うと言われていて、ボランティア活動の初日にPCR検査をやると書いてあった。でもいざ選手村に行ってみると、PCR検査についてはひとことも言われなかったので、やらないんだ、とは思ったがスルーした。

活動も中盤になったころ、選手村のチェックインカウンター付近に、大量のPCR検査キットが置かれていることに気付いた。持って帰って検体を提出するようにと書いてあった。でもそれだってやりたい人はやってね、的な本人任せ的な風情が漂っていて、別段提出してもしなくてもよさそうだった。でもまあ面白そうだから私は検体(唾液)を提出したものの、結果が通知されない。結果通知方法について受付で尋ねてみたが、受付の人も知らなかったため、本部に問い合わせてくれた。その結果、陽性であった場合のみ、48時間以内に本人に連絡するのだそうだ。連絡がなかったということは、元気だということですよ、と私は受付の人に言われた。元気なのはまあ当然である。

感染症下でオリンピックのボランティアをやるとなった時、コロナを全然恐れていない私でさえ真っ先に気になったのは、感染リスクだ。はじめはボランティア用のワクチンの確保はなされていないという当局の発表だったが、そのうちワクチン確保の目処がたったらしく、ボランティアも希望者はワクチン接種して大会に臨むことが可能になった。大会直前に二転三転したこともあり、私はワクチンを受けなかった。だからきっとコロナにかかるんだろうな、くらいに思っていた。車には、タクシーにあるような飛沫防止シートが、運転席と後部座席の間に設置されていたし、運転中はできる限り窓を開けて走るように、とどこかに書いてあり、一通りの感染対策はしてあった。しかし五輪期間中は暑かったため、窓を開けて走っているドライバーは居なかったし、私もやったことはない。

だけど私はコロナには感染しなかった。恐らく、ステークホルダー側も連日PCR検査をしているのだろうから、感染者が紛れ込むような事態が生じていなかったのだろう。感染者がどこに紛れ込んでいるかがわからないから、コロナが厄介なのであって、本来感染者がいないとわかっていれば、マスクを外そうが濃厚接触しようが関係ないのだ。だから本来は、マスクをしていない人が電車で隣に座ったからと言って、怖がる感覚はおかしい。もっとも今では常識が変わってしまったので、怖がる人の方が一般的だろうし、さすがの私も電車でマスクを着用せず、周囲と摩擦を起こすような素っ頓狂なことはしないが。それどころかマスクを着用しない人が隣に座ったら、やっぱりちょっと嫌だが。でも一部にあるらしい(幸い実際に目にしたことはないが)、コロナに感染した人を差別したりする風潮には大反対だ。多様性を認めないのはオリンピックの精神に反する。

話が逸れた。そんなわけで、私はコロナにかかっていないはずなのだが、今回私にPCR検査を受けることを求めて来ているのは、勤務先だった。

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