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ゆっくり学んだ高校時代に学びのおもしろさを知る〜森川大地

近未来ハイスクールの先生インタビュー、第四弾は小学校・中学校、定時制高校を経て、現在埼玉県立浦和高校で国語を教える森川大地さんです。

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近未来ハイスクール 小林(以下、近未来 小林) 森川さんにとって、高校の先生という仕事の醍醐味はなんですか。

森川 高校生という年代の、変化を見ることですね。私は小学校、中学校、高校それぞれで教えた経験があります。成長を見るのはどの年代にも共通する面白さですから、先生という職業の面白さであるかもしれません。

高校生は考え方や体格が大人とほぼ同じです。大人との違いは、多少の経験の差、くらいでしょうか。柔軟に多くのものを吸収する姿を見ているとむしろこちらが刺激を受けます。

近未来 小林 そうなんですよね。近未来ハイスクールでもそこがキモだと思っています。高校生は大人と子どものはざまにいます。大人にとって彼らとの対話は刺激的ですし、高校生という柔軟な時期に今を楽しむ変人(変わり続ける人、エッジのたったプロ)たちをつなげると未来がワクワクしたものになる。

森川 卒業後しばらくして、ふとした瞬間に二十代になった彼らと会ったときの変化を見るのも楽しいです。

近未来 小林 逸見さんも卒業生と会う時の話をしていましたが、教師という仕事ならではの楽しみですね。(第二弾 逸見さんの記事参照)。

ゆっくり、先生や同級生と学んだ経験が財産に

近未来 小林 先生になったのはどのような理由からなんですか。

森川 自分はもともと学校にフィットしないタイプの子どもでした。じっとしていることができず、座って学習することが苦痛でした。

近未来 小林 いまの落ち着いた雰囲気からは想像できないですね。

森川 そうなんです。うまくいかないことが多くて試行錯誤してきた結果、今のようになっています。問題が表面化したのは小学校五年生の時です。担任の先生と衝突し、朝は学校へ行くものの、勉強せずに図書館で本を読んでいたり、外へ出て行って町を散歩したり。ぶらぶら学校の中外限らず遊んでいました。給食の時は教室に戻って来るといった生活をしていました。授業を聞いていないので算数がわからず、小数点の計算、分数の計算は全くわからない状態でした。

近未来 小林 本人にとってもしんどいですね。森川さんに対して親御さんはどのように接していたのですか。

森川 親は「学校は勉強したい人が行くところだから、行きたくないなら行く必要はない」という感じでした。意志を持って行かないならそれでいいという感じです。今考えれば、それによって自分はだいぶ助けられていましたね。

近未来 小林 見守っていたんですね。


森川 はい。中学校へ入ってからは授業を受けないことはなくなりましたが、気が向かないと休みがちでした。そのときは自覚していませんでしたが、今の教員になった視点で考えると不登校に近い状態だったと思います。不登校という実感がないのは親のおかげかもしれませんね。

近未来 小林 中学生になってなにか変わったことはありましたか。

森川 学校の授業は嫌いで、いつも「自分ならこんな授業しないのになぁ」「こんな授業をしたいな」ということばかり考えていました。

近未来 小林  子どものころ「自分ならもっといい授業ができるのに」と思うのは、高校の変人先生の条件のように思えてきました(第二弾 逸見さんの記事参照)。


森川 わかります。自分ならこうするのになと思っていた人は、変化することに躊躇がないというか。そんな中でも数学は面白かったです。算数から数学になった瞬間にわからなかった分数が一気に理解できて、好きな科目へと変わっていきました。

近未来 小林 ひとつでも好きな教科ができると、学校へ行く気力も出てきますね。

森川 ただ、その他の英国社の成績は振るわず、近くの進路多様校へ進学しました。すると行った高校が、自分にとてもしっくりくる環境だったんです。基本を丁寧に教えてもらいました。特に数学は先生が公式の証明をじっくり解説してくれたので非常に面白く、基礎的な力がつきました。

近未来 小林 うらやましい。私は高校でつまづいた科目のなんと多かったことか。

森川 化学や物理も実験を中心とした授業を行い、座学はほとんどありませんでした。理系に進んだのが13人と少人数だったため、先生たちも落ち着いていろいろな話をしてくれました。いまでも良い思い出です。

近未来 小林 自身のペースに合う学校だったんですね。

森川 授業中の生徒の活動にも割と寛容で、教え合ったり、雑談したりしていました。これが、今の授業スタイルに影響していると思います。その後、同様の雰囲気のクラスはほとんどできなかったと聞いています。運がよかった。この頃に学ぶことの楽しさ、考えることの楽しさに気づきました。

近未来 小林 講義形式の授業が一般的だった時代に、理数系で対話型の授業をすでに受けていた。

ん、ちょっと待ってください森川さん、いま国語の先生ですよね。

森川 はい。国語は単純に点数が取れたんです。ただ教師になりたかっただけで、教科は何でもよかったんですよね。理科や英語での受験も考えていましたし、他の科目の免許も取れれば取りたかったです。

近未来 小林 特に高校の先生を目指した理由はなんだったのでしょう。

森川 高校時代、『弁証法・認識論への道』(南郷継正著・三一書房)に大きな影響を受けました。副題に「一流の人生を志す人に」とあり、偏差値を基準とした受験型秀才ではなく、そこから外れた人の方が学問としての道を歩める可能性があるという記述がありました。

偏差値軸で挫折し、人生こんなものだと諦めていた自分に気づいた瞬間でもありました。学問と勉強とは違うということ、本質に迫ろうとすることの大切さをこの本で学びました。これが大学進学を目指すきっかけにもなりました。

近未来 小林 いまマーケティング業界で大活躍し、大学院に通う近未来ハイスクールの変人の一人、奥谷孝司さんは、大学を卒業して周りが学ばなくなってからが学ぶとぐっと差がつくというようなことをいっていました。

森川 大学・大学院と進む中で学ぶことの楽しさを知り、この面白さを、進路を決める段階にいる多くの高校生に知ってほしいと思ったことが高校教員をやっている最大の理由かもしれません。

人と接して高校時代の視野をもっと広げてほしい

近未来 小林  高校の先生として大切に思っていることはなんでしょう。

森川 生徒の持つ世界を広げることを大事にしています。どんな人でも自分が関わる人の範囲で世界を認識しています。本やテレビでも世界は広がる可能性はありますが、やはり生身の人間と関わるほど、実感をもって世界を知ることができます。

高校生がもっといろんな人に会うこと、話を聞くこと、実際に行ってみること、そういうことができるようになるといいなぁと思っています。

近未来 小林 直接会うからこそわかること、伝わることってありますよね。

どこを見て何のために行動するのか

近未来 小林 高校の現場で課題に感じていることはありますか?

森川 教育現場では何を意識しなければいけないか。教員自身がそのことに無自覚であることが問題です。

近未来 小林 もう少し詳しく聞かせていただけますか。

森川 いまの教員は同僚の評価、保護者や生徒からの評価を必要以上に気にしているようにみえます。その結果、受験自体が目標になり、部活が厳しくなり、校則も厳しくなる。どれも根は同じところから起こっていると感じています。

「そもそも何のためにこれをやるんだっけ」という目的を問い直すことが少なくなっています。それがさまざまな問題を生んでいきます。

近未来 小林  前例主義で自動的に続けるのではなく、これって必要だっけ?と考える。

”小中高で教える”を通じて見えてくること

近未来 小林  中高連携もしくは高大連携で意識していることはありますか。

森川 学ぶことを嫌いにさせないこと、嫌いなことをフラットな状態に戻すことですね。そういう意味では余計なことをしないということを一番意識しています。

近未来 小林  余計なこと、というのは無理やり何かをさせるということでしょうか。

森川 「その場の行動」を変えようとしないという感じですね。先生と生徒お互いが意地になっちゃってこじれた結果、生徒の方がどうしてもいうことを聞かざるを得なくなる。その積み重ねは「もともとやりたくねーし」とか「もともときらいだし」という方向に転嫁されやすいと感じてます。小・中・高での勤務経験があることは今にとても生かされています。それぞれの校種の先生が何を意識しながら児童・生徒に向き合っているかを、なんとなく理解することができます。だから、どのような経緯で今の生徒ができあがったのかも推測することができます。

近未来 小林  一人小中高連携ですね。それは強い。校種を超えた情報共有や交流はもっとあったほうが先生がたが教えやすくなりそうですね。

時代に合わせた変化が子どもたちにおこっている

近未来 小林  最近の子どもたちをみていて、何か気になることはありますか。

森川 特にありません。時代の変化が最も影響を与える世代で、その時代に合わせた変化が子どもたちに起こっているのだと考えています。

自分たちの頃との違いという意味では、今の子たちは忙しいと思います。習い事や塾もそうですが、SNSやゲーム、可処分時間を取り合うようなサービスが普及し、選択肢が多様にある中で「暇」がほとんどないように思います。

近未来 小林  公立高校は特に忙しい印象がありますね。

森川さんが将来やりたいことは何かありますか?

森川 今、ほとんど手を付けておらず、これからやりたいことが二つあります。一つは海外の大学院への留学です。教育というよりは地域やコミュニティ・組織形成といった内容に興味があります。

近未来 小林  コミュニティに関心がいくのは自然な感じがします。地域医療が進むと人はより健康になると語る進谷憲亮さんというお医者さんがいます。コミュニティなどの人とのつながりのありようで、教育もより豊かになっていくように思います。

森川 もう一つは、「若年母子家庭への能力開発・子育て支援」に興味があります。前任の定時制高校での勤務経験から「子どもの貧困」へ何らかの形でアプローチしたいと思っているからです。

近未来 小林 定時制高校の子どもたちには限界のない可能性を感じます。近未来ハイスクールで変人の話を聞き、目の輝きの変化がもっとも大きいと感じるのは彼ら、彼女たちです。

最後に今回のイベントへの期待を教えていただけますか。

森川 自分自身の世界を広げるいい機会です。いろいろな方と話をしてみたいですね。

近未来 小林 有意義な対話ができるよう、逸見さんと念入りに準備を進めていきますね。

(オプンラボ 小林利恵子)

森川大地さん 埼玉県立浦和高等学校教諭(国語科)

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埼玉県高校教諭。小学校、中学校、普通科高校、定時制高校を経て現任校。グロービス経営大学院経営学修士(MBA)修了。貧困問題、学校外教育にも取り組む。一般社団法人HALOMY監事。NPO法人春日部育英キャリアサポート理事。現在の趣味は「子育て」。

(オプンラボ 小林利恵子)

■近未来ハイスクール https://www.kinmirai.co/
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10月13日(日)に先生と語る近未来ハイスクール
先生と語る近未来ハイスクール 「保幼小中高そして社会との“接続”というよりむしろ“ゆるくつながろう” 主体的な学びの支援と外部連携」

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