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雷に打たれたら土に埋めろ〜カンボジアに行ってみた

11月にカンボジアに行ってきました。それもふらっと。目的は友人の日本人医師に会うこと。医療ボランティアで一年間、しんちゃん(進谷憲亮)がカンボジアに滞在しています。10月の初旬「11月の連休にしんちゃんのところに行くから、利恵子さんも来ない?」という、同じ名前の(前田)利恵子の誘いに乗ったのでした。

「三連休で行けるならいっか。それくらいならオプンラボのメンバー アヤコにも迷惑かけないな。知り合いがいる時に行きたいし」

しかし、よくよく聞くと連休2泊3日だけではありませんでした。私がちゃんと話を聞いていなかったり、知らないうちに1日伸びていたりして、最終的に5泊7日、と、アヤコが半泣きになるくらいの期間、留守にすることになりました。でも、医療やリゾート、ゴミ山、食、景色など、その日数行くだけの価値があるものとなりました。

しんちゃんは九州大学の医学部を卒業。多くの卒業生はそのまま附属の大学病院へ行くのですが、そのレールにのらず、東京に飛び出してきたお医者さんです。

東京では多摩エリアの大規模病院「東京都立多摩総合医療センター」に勤めます。31歳の春にそこを辞め、NPOジャパンハートが運営するカンボジアの病院で医療ボランティアスタッフとして2019年3月まで働く予定です。

しんちゃんは、将来的には日本で川上から健康をサポートする地域医療を実現したいと言います。カンボジアに渡ったのは、今までと全く異なる環境での医療を若いうちに見たいと考えたからでした。

自分が主催するmeetupで川上からの医療の大切さを語るしんちゃん

そして期待をうらぎらず、カンボジアの医療現場は日本では想像もできないようなことばかりの様子。

例えば、現地ならではの民間療法。落雷にあったという患者さんが、泥だらけで運び込まれてきました。理由を聞くと、カンボジアでは雷にあたると、その人の中に電気がたまっているから、放電するため一度土に埋めるからだとか(そもそも雷に当たって生きている、というのが不思議ですが)。ある日、待合室でふと目をやるとお母さんが赤ちゃんの目に母乳をかけていて、あわてて止めさせたそうです。母乳をかけるとまつ毛が長くなり、美人な顔になると言われているからです。これで結膜炎がいつまでも治らないという子もいるそうです。

カンボジアに住んでいる人は、病院をあまり信頼していません。ちゃんと治療してもらえると思っていないのです。これは、政治的な背景も起因しています。ポルポト政権時代、都市部を中心に知識者層が大量に虐殺されました。医師もその中に含まれます。その結果、医学部を卒業した医師が大学卒業後、知識も経験も浅いまま医療の現場に入るという状況になったのです。

滞在中、現地で仲良くなった日本人女性pokoさんがいます。カンボジアの大学で教鞭をとります。彼女は、娘が熱を出したので病院へ連れて行くと、氷水を浴びせられたといいます。あわてて引き上げ、他の日本人が運営している病院で診てもらうとインフルエンザだとわかり、薬を飲んで落ち着きました。

薬局

一方、町のいたるところに薬局があります。行ってすぐに薬をもらえるという手軽さから、具合が悪くなると薬局に行きます。薬剤師(たまに資格を持っていないことも)が症状をきいて薬を渡します。でも、果たしてどれだけ効いているのか、としんちゃん。実は、多くの患者側は何の薬がでているのか知りません。他の薬局に客(患者)をとられないよう、情報を明かさないのです。

ジャパンハートの建物

ジャパンハートで働く医師

ジャパンハートでは、ガンの手術といった高度な治療も行う一方、手洗いなど衛生面の啓蒙もあわせておこなっています。日本で病院にいると川下、つまり病気が悪化してから来る人が多いけれど、カンボジアは日本以上にそもそも衛生に関する知識が普及していません。子供が楽しく手洗いできるしかけを考えるなど、1年という限られた期間の中で小さな試み、大きな挑戦を繰り返している様子を垣間見たカンボジア訪問でした。

美味しいものや、素敵な宿泊場所についてはまた別の機会に。。


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