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社史担当者のユウウツを解決するには

皆さんの会社では、周年記念の社史を作られたことがありますか?

会社規模や業種・業態によってそれぞれ特色があります。いずれにしても読む人のことを考えているかどうかで読まれる(読んでもらえる)社史になるかどうかが決まります。また担当する人の熱い思いも、大事な要素です。単なる作業としてつくられた社史は、一度本棚に入ったら最後、日の目を見ないものになってしまいます。そんな事態を防ぐにはどうすればよいのでしょう。

もしも担当者に指名されたらどうする?

ある日突然「わが社の周年記念事業として社史を作りたい。ついては君にやってもらうことになったから期日までに仕上げるように」と社史の担当者に指名されることがあります。部署を横断したプロジェクトの場合など、特にそうです。たいていの人は寝耳に水です。文章なんか書いたこともないし、出版や印刷の知識がないのに、どうすればよいのか途方に暮れてしまいます。

ところで社史編纂って、どこの部署の仕事なのでしょうか?

たいがいは総務部門や広報部門が担当します。大きな企業の場合は、各部署から精鋭が集められてプロジェクトを組む、社史編纂室のような部署を作る場合もあります。

任された部署の責任は重大であるにもかかわらず、本来の仕事に追加される「余計な仕事」と感じる担当者も少なくありません。ある企業のマーケティング部門の責任者は「他部署からこれはマーケティングに役立つはずだからそちらでやるべきだと押し付けられた」と憤慨していました。

社史編纂の3要素

社史編纂は、実際大がかりなプロジェクトです。多くは1年、長い場合は2年間くらいかけて作る企業もあります。

担当になると、予算管理やスケジュール管理や情報収集などの仕事が発生します。記念事業や周年パーティーのような場所で社史をお披露目する場合は、イベントの進行と歩調を合わせて制作する必要もでてきます。

ただし、全部自社内でまかなうというよりは、社史を得意とする制作プロダクションや広報エージェンシーなど、プロフェッショナルと作り上げていくケースがほとんどです。編集者やライターとコンテンツを企画する、情報を整理する、文章を作るなど、人によっては普段の仕事とはだいぶ毛色が違う仕事を任されたと感じるでしょう。

社史づくりの第一歩は、素材の発掘です。膨大な過去の資料から創業当初の書類や写真などを集めます。この資料収集は、歴史が古く規模の大きな会社ほど時間がかかります。

そして次に、いかに社内の仲間を増やしていくかが大切です。社史づくりは、会社全体の情報を集めるため、いろいろな部門の協力が必要です。部署によっては「めんどくさいな」という態度をとられることもあります。社内の協力者を増やし、当事者として協力してもらえるかどうかも、社史づくりには鍵になっていきます。

さらに、会社のビジョンが伝わるものにすることです。社史は会長や社長など経営陣への聞き取り、OBへインタビューを行い、起業した時の思いや創業時の様子を盛りこみます。これらを整理し、今につながる経営ビジョン(会社によっては、ミッション、バリュー、クレドなど)を明記することで、読んだ人の「腹に落ちる」社史になるのです。

「再編集」が大きな価値を生む

社史編纂の担当者に救いの手を差し伸べてくれる公共施設があります。神奈川県立川崎図書館です。社史資料を特別にコレクションしている全国でもまれな公共の図書館です。社史編纂の担当者が一度は訪れるという聖地のような場所です。

同図書館には、社史の類が1万9000冊ほど所蔵されています。社史は普通に販売している本と流通経路が違います。発行部数も限定的なので、そこにしかない稀少なものも数多く所蔵されています。

同図書館のサイトによれば、「こういった資料を多く所蔵している機関も、大学や専門機関が主で、利用資格等に制限が設けられている場合が少なくありません。当館では、資料は閲覧室に公開していますので、どなたでも自由に書架から手にとって閲覧できます。社史類がこれだけまとまって使いやすく提供されている例はなく、県内のみならず、県外からも多くの方が調査研究のために来館されています」とあります。

悩んだときに業界の違う他社の社史の現物を手にすることができるのは、担当者にとって大変ありがたいことです。ここでは、本当に面白い社史を見つけることができます。社史編纂の担当者であれば、一度行ってみることをお勧めします。

かつては閑職だった社史づくり

その昔、大企業の社史編纂室は閑職の代名詞のように思われていた時代があります。ドラマなどで、左遷される人の行き場が社史編纂室という場面を見た記憶があります。

しかし、今では自社のコンテンツの再発見やブランディングやマーケティングなどにも活用される、とても重責を担っている仕事です。経営資源の再整理であり、さらに再構築するという「再編集」が介在するからです。経営資源は「ヒト、モノ、カネ、情報」の4つが主な要素です。さらに、最近では独自のテクノロジーや企業文化・企業風土なども経営資源とする見方も出てきています。

メディア(今回で言う社史)の役割は、伝えたいものを伝えたい相手に的確に伝えることです。けれども、社史を編纂していくと、有益な情報が埋もれていて、どこに何があるのかわからないことも多い。企業活動において、経営資源のひとつである情報を、質の高いコンテンツとして発掘・発信するために「情報デザイン」をするのです。

何がなんだかわからないまま担当になり、突き進んでしまうと、時間はとられるし、不安ばかり募るのが社史編纂のプロジェクトです。しかし、経営資源を再編集して、次世代へつなぐ重要なメディアづくりに関わっていることを理解する。しっかりしたステップを踏んで丁寧に作り上げる。そうすると、魅力的で読まれる社史、最初は大変だったけど出来上がったらいろんな人に見せたくなるほど愛おしい社史、が完成するのです。あ、それは私か。

(オプンラボ 上野)

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画像:Michal JarmolukによるPixabayからの画像

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