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2022 manga of the year

2022年に読んだ漫画から特に面白かったやつを選んで紹介させていただきます。
今年は53作品読んだのでその中から13個選びました!!本当は10個弱に絞りたかったけど今年はマジで豊作だったので13個!!
毒にはなっても薬にはならない前置きはこの辺にして早速書いてくよ!



よつばと!

2022年最も癒された漫画だと思う。
外国で拾ってきた少女よつばを在宅勤務の中年男性がご近所さんや友人と一緒に育てていくみたいな話。


普段エグい漫画ばっか読んでるし、そういう毒のようなものがないと面白くないとすら思っている人間にとって衝撃的な漫画だった。
エグい要素なしでこんなに漫画って面白く出来るのかよ…ってね。

読んでるとふとした瞬間に自分の人生の一コマを思い出してノスタルジーに浸っちゃうんだよな。
あぁ俺もこんな風に周りの大人に育てられて成長したのかなぁって思うと感慨深くなる。


1番好きなシーン
こんなん泣いちゃうよ
俺もうとーちゃんの方が歳近いんだよ



スピリットサークル

主人公の男の子が転校生の女の子に自分の前世、来世が原因で命を狙われ、自分の過去や未来に何があったのか知る為時間を旅する話。

旅すると言っても基本的には自分の過去や未来、つまり顔は似てるが自分とは全く違う人間の人生を見ているだけなのだが、この人生がまぁ面白い!!
主人公の生きる現代とは違う時代の話になるので
騎士とか武士とか科学者とか女の子とかになるのだが、それぞれの人生の終わり方が切なかったりやるせなかったりして、本当にそこだけ切り取っても面白いのに、それぞれの話が現代の主人公にちょっとずつ絡んでいって最後に結ばれる結末はマジで素晴らしいの一言。

全6巻で完結なのだが短く纏まってて面白い漫画ある?に対する答えの漫画だと思う。
多分今後の人生で5巻くらいで面白い漫画ない?って聞かれたら毎回これを勧める。



1番好きなシーン
この2ページ前くらいからが本当に良い。
あぁ色々あったけど良かったね…ってなる。


エンバンメイズ

地下ダーツ賭博界で「迷路の悪魔」と呼ばれる主人公が次々と現れる強敵をダーツギャンブルで倒しながら自分の過去の秘密に迫っていく…みたいな話。

作中の全ての対決がダーツで行われるがこの漫画はダーツ漫画ではなくギャンブル漫画である。
ダーツの中の種目の1つ、カウントアップでは
(この漫画はこの種目以外登場しない)1回の手番で最大180点を得ることが出来るがこの漫画のキャラはほぼ全員が全ての手番で180点を獲ってくる。
他のゲームに例えると絶対9球ずつで終わるストラックアウトを見せられてる感じである。

ではどこで差がつくのかというと各ゲームごとに設定された特殊なルールである。
得た得点によって相手に毒ガスを送り込めたり、
自分の手に矢で穴を開けないと得点が出来なかったりと色々な種類のルールが出てくるが、そういう状況下ではダーツの腕に加えブラフで敵を騙したりといった心理的駆け引きの方が重要になってくる。
つまり正直に言うと、
別にゲームがダーツである必要はない。

それだけ書くとそこへのツッコミしか見所がないのかと言われてしまいかねないので、
たくさんあるこの漫画の魅力をしいて1つ挙げるとするなら敵のキャラの立て方が素晴らしい。
主人公の異名は「迷路の悪魔」なのだが
敵にもそれぞれ異名があり、それがキャラ立てに一役かっている要素だと思う。
敵が出てきた時点で見た目、短いエピソード、異名と読者に分かりやすく要素が提示されるので
あぁこの敵はこういう奴なんだなと飲み込んでからバトルを見れるのが数ある魅力の一つなのだ。


1番好きなシーン
種明かしの時になるほど…ってなるギャンブル漫画は名作である。


BEASTARS

動物達が皆二本足で立って、人間の言葉を喋る世界観の中で、肉食と草食の衝突や別の種の動物同士の子供に対する世間の目などの問題に立ち向かうキャラクター達の姿を描く…みたいな話。

肉食と草食の対立や衝突が普遍的なテーマとして描かれているが描き方が少年漫画と思えないほどエグい。
普段は仲良く接しているキャラクター達が
肉食は本能に身を任せれば簡単に草食を食べてしまう自分たちの在り方に、
草食はそんな肉食の対する恐怖を簡単には表に出してはいけない世間の雰囲気に、
それぞれ裏で悩んでいるのが妙にリアルなのだ。

安直な考えではあるが、この世界における草食肉食は人間の世界の男女になぞらえて描かれているのかなと思ってしまった。
理性を無くした男が女に対してどのような振る舞いをするか、それを理解する女は男をどう思いながら生きていかなくてはいけないのか、
というのが裏テーマとして描かれているのではないのかなと個人的には思う。


1番好きなシーン
この2人の緩い関係性が好き



忍者と極道

1957年江戸は大火に包まれた!!
死者10万人超日本最大の大火災の真相は
日本の裏社会に棲まう 二つの闇の眷属共
その300年以上に渡る殺し合いの火蓋
決めようか 忍者と極道
何方が生存る(いきる)か死滅る(くたばる)か!!!

まんま1話の冒頭の引用だがこれが1番魅力が伝わる説明な気がする。
多分この漫画は頭悪く紹介すればするほど面白さが理解る(わかる)漫画だと思う。

冒頭で江戸って言ってるが舞台は現代
主人公の高校生、多仲忍者(たなかしのは)は街中で
エリートサラリーマン輝村極道(きむらきわみ)と出会い共通の趣味で意気投合し年の差を超え友人になる。
しかし忍者(しのは)は江戸より続く正義をもって
極道を殲滅し(みなごろし)にする忍者であり、
極道(きわみ)は日本中の極道を一手に束ねる極道の頭領だった!!
300年続く忍者と極道の戦いの熱が現代で最高潮(マックスボルテージ)に達する!!!みたいな話。

忍者と極道、しのはときわみが文字での紹介(プレゼン)殺しすぎる。

本当に語りたい魅力が多すぎるんだけど
ここはキャラとかパロディとかギャグとかルビ芸とかではなく、敢えて王道バトル漫画としての忍者と極道の魅力を伝聞(アピール)したい。

この漫画の一般的なバトル漫画と違う点は
忍者と極道の全面対決にあたりお互いが武器にするものが、忍者は持って生まれた資質(炎や電気をを出せる、腕が伸びる等)なのに対して
敵である極道は化学技術の結晶の麻薬(ヤク)を使ったドーピングアイテムである地獄の回数券(ヘルズクーポン)や自分自身の特技を限界まで磨いた極道技巧(ごくどうスキル)なのが
チートスキル(味方)VS化学と努力の結晶(敵)
となっていってそこが本当に読んでて面白い。
(テンション昇天り((アガり))過ぎて固有名詞多すぎて謝罪ねェ((スマねェ)) )
極道といっても街を守る良いヤクザみたいな感じではなく、強盗恐喝売春臓器売買なんでもやる感じの最悪の反社なのに気づいたら極道の方を応援してる自分がいる。

そんな設定だけではなく物語(ストーリー)も本当に面白い。
忍者(しのは)と極道(きわみ)だけでなく敵同士の過去が絡み合った因縁やそこから起こる衝突が話全体に立体感を与えてる所が本気(マジ)で驚愕ェ(すげェ)漫画だと思う。 

エグいネタバレを含む画像を貼るので忍者と極道未読者は見ないようにサッとスワイプしてくれ


1番好きなシーン
漫画史上に残るレベルの美しいタイトル回収



スタンドUPスタート

資本主義の社会の中で個人の人としての価値とは
どのように測るべきなのか、起業するのに必要な事は何か、立ち上げた会社を成長させる要素衰退させる要素とは…など、
これから働く人、今働いてる人つまりはほとんどの人間に向けて社会の中で生きていくとは?という事を考えさせてくれるような漫画

主人公の三星太陽は投資家である。
投資するものは株でも金でも不動産でもなく
     "人"に投資する
人間投資家である彼は様々な人間の可能性を見出し投資をするが、その対象は必ずしも誰から見ても優秀と言えるような人間ばかりではない。

"元"本社勤めが唯一の自慢の定年間近の銀行員
成人間近の娘を持つ一度も働いたことがない主婦
プライドだけが高く、就活の波の中で自分が何者でもないことに気づきつつある就活生 

一見起業はおろか新しい場所で働くことすら難しそうな人に対し、主人公は可能性を見出し強みを活かせる場所を見つけ出し、そこに案内をする。
重要なのは彼はそこに連れていくだけで、そこからの成功はあくまでそれぞれの人物の努力として描かれているのがまさに人間讃歌でありこの漫画の魅力の一つだと思う。

これを読んでる君たちの時間をこの漫画に投資してくれ!


1番好きなシーン
この後の夫婦の会話も泣ける



アオアシ

愛媛の中学校の弱小サッカー部のエースだった、
主人公・青井葦人は自身の中学サッカーの引退試合をたまたま見ていた東京のプロサッカーチーム
東京シティ・エスペリオンFCの監督にユースチームのセレクションを受けてみないか?と打診される。
地方の狭い世界で幼少期からサッカーをしてきた主人公が、東京のユースチームという同年代の中では最先端のサッカーが出来る環境で
人生の中でサッカーをする日々からサッカーをする人生に自分自身の未来を変えていく…みたいな話。

この漫画の最大の特徴は劇的ではないことだ。
主人公は最初からチームの中で圧倒的な天才ではなく、ものすごく因縁のある敵チームがいるわけでなく、急に二軍チームが一軍に勝ったりはせず、試合前日に編み出した必殺技が決定打で試合に勝ったりはしない。
そんなところがこの漫画の魅力だと思う。

良くも悪くもリアルだなぁと感じる所が多々あって、主人公が試合でまともに活躍するのにこんなに時間がかかるスポーツ漫画も中々ないと思う。
最初はパスを受けたボールを自分の足元にピタッと止める所から始まり、攻めの基本のトライアングルや相手の視点から考えるパスの出し方など、とにかく地味な所から少しずつサッカーというものを学んでいくので主人公と読者の歩幅があった状態で読めるのもこの漫画が人気の理由かもしれない。

1番好きなシーン
阿久津っっっ!!お前っ……!!!!ってなる
セレクションの時の最悪な出会いから約20巻越しでシーンが繋がったのがヤバかった
この2人名シーン製造機だよな



僕のヒーローアカデミア

人間それぞれに炎が出せる、高速で動けるなどの個性が発現するようになり、それを悪用する悪役
(ヴィラン)が手を組み力をつけ始めた世界で、
個性を持たない主人公が最強最高のヒーローから力を受け継ぎヒーローになっていく…みたいな話


今回紹介する作品の中で1番有名な漫画な気がする
俺は漫画に限らずエンタメというものには多少毒というかエグい要素が入ってた方が面白いと思ってしまう人間なので、高校生の時に読まなくなって以来数年ジャンプを読んでいなかったのだが
最近考えが変わって毎週ジャンプを読んでいる。
エグい要素が入っていた方が〜の考え方は変わっていないがジャンプにそういう漫画が載ってないというのが間違っていた。
ジャンプ意外とエグい漫画載ってる。

最初の数巻は結構よくある王道学園バトル漫画って感じでほーんって感じだったのだが、
死柄木弔という敵キャラが初登場する回から作品の温度が良い意味で下がり緊張感が出てきて面白くなってくる。
主人公の名前より先に敵キャラの名前が出てきてしまったが、この漫画敵キャラの話がめちゃくちゃ面白いのだ。
ヒーローという絶対的な正義に対する悪である
ヴィラン達はそれぞれがその立場に追いやられた過去がありそれが行動原理になっている事も多い。
個性という概念を抜きにすれば結構現実でもありそうな話が多いので、読んでいてヒーローではなくヴィラン側に感情を込めて読んでしまう人も
たくさんいると思う。
人間同士の繋がりが必要不可欠な世の中でなんとなく場に馴染めずにコミュニティから弾かれてしまう…みたいな経験がある人間は尚更だと思う。

現在ジャンプで連載中の本作品は最終章の最終決戦に入っておりまさに今が1番熱い!!という所である。
ヴィランとヒーローの行く末を是非見届けてほしい。


1番好きなシーン
とにかく良いシーンとしか言いようがない。
解放戦線との戦いからのこれだからめちゃくちゃ心揺さぶられてしまう。



無限の住人

不死の侍である主人公万次が、復讐に生きる少女凛と出会い共に旅をする…みたいな話。


…あらすじが2行で終わってしまった。
これにはもちろん理由があってこの漫画の魅力であり特徴は群像劇という所なのだ。
主人公の万次やヒロイン?である凛にももちろんストーリーがあるのだが、同じかそれ以上に出会う人々にそれぞれストーリーやバックボーンがあるので正確にあらすじを語ろうとすると全てのキャラの過去の話とかに触れる事になってしまう。

ただこれは意図的に書かれている所もあると思っていて、不死である万次にとって凛と共に旅した
いわゆる漫画本編のストーリーは長き人生にとっての1ページでしかないという事を描いていると
個人的には感じた。
万次はあくまで歴史の目撃者であり主役となるのは凛やその時代に生きた人々という事なのかもしれない。

漫画のテーマとしてよく用いられがちな
「復讐」だがこの漫画の復讐に対するケリのつけ方は他の作品では見た事がない気がする。


1番好きなシーン
この時の凛の目が好き
目で語る漫画は名作


ハイパーインフレーション

ヴィクトニア帝国の奴隷狩りによって両親を失い
迫害を受けていたガブール人である主人公ルークがガブール人の神によって生殖能力と引き換えに
無限に体から紙幣を生み出す能力を得る。
これによりヴィクトニア帝国そのものを買いガブール人の人権と帝国に囚われた姉を取り戻そうとするが、ルークが生み出す紙幣には札番号が全て同じという欠陥があった。
奴隷商人やその部下、野生児、偽札職人などと手を組み帝国を崩壊させる為のマネーゲームが今始まる!…みたいな話。


高度な心理戦と恐ろしく頭の悪いギャグが折り重なっているカオスな漫画。
デスノートとボーボボを交互に読んでる感じ。
この漫画の魅力はなんといっても密度である。
これを書いている現在話数は53話既刊5巻まで展開されているが読み終わったら恐らくこの数字に驚くと思う。
展開が二転三転して各々のキャラの行動に対する説明解説も丁寧なので、体感だと280話25巻くらいに感じるくらい濃度が濃い物語なのだ。
それでいて説明口調という訳ではなく、合間合間に挟まる本編になんの影響もないギャグが良いアクセントとなっていって読んでいて全く飽きることがない。
辛いものを食べたら甘いものを食べたくなり、甘いものを食べたら…(略)といった人間の舌を自在に満たしてくる漫画と言える。

タイトルにもなっているハイパーインフレーションという通貨が大量に出回ることによる経済の崩壊や偽札を作る過程での紙幣を製造する技術の話
など普通にためになるようなエピソードも多く、
一粒で何度でも美味しい作品である。


1番好きなシーン
諦めないやつ大好き!



ドロヘドロ

魔法使いに顔をワニに変えられてしまい、過去を忘れた主人公カイマンが友達の餃子屋の店主
ニカイドウと共に自分の顔を変えた魔法使いを探し自分の過去を探っていく…みたいな話

魔法使いなんて言葉が出てくるからファンシーなファンタジーを想像させるかもしれないがファンタジーはファンタジーでもこの漫画は汚ねぇファンタジーである。
出てくる街並みや人々の服装が一部の上流階級を除いてみんな小汚く、読んでいると良い意味で重油とかゴミの匂いがしてくる気がするのだ。

じゃあこの漫画の世界は醜いかと言われればそんな事はない、寧ろこの漫画最大の魅力はデザインの美しさだと俺は思う。
登場するキャラクターの服や装飾品、住んでいる家などは薄汚れている事が多いけれど全て美しい造形をしている。
そういう意味ではこの漫画はデザイナーやアニメーターなどクリエイティブな職業の人に読んでほしい作品といえるかもしれない。

もう一つこの漫画の特徴を挙げるとすれば独特の死生観がそれにあたるかもしれない。
登場するキャラクターがあまり殺すことにも殺される事にも頓着がなく命が結構軽々しく扱われるのは読んでいて違和感を感じた。
最後まで読むとそれにも理由があるのがなんとなく分かるのだが、その伏線としてこれらを描いていたとしたらこの漫画は凄まじい漫画だと言わざるを得ない。
登場人物全体の倫理観が伏線なんて中々なくない?


1番好きなシーン
全然名シーンでもなんでもない、読んだ人ですら覚えてなさそうなシーンだが
ホウキにまたがってばかまるだし。
ってセリフがめっちゃ好きなのだ
2022年流行語of the year かもしれない


ベアゲルター

日本ドイツ中国それぞれの国の女が故郷を巨悪によって侵され、それに対抗する…やつもいればいないやつもいるみたいな話。

上でもちょっと書いたが、俺はエンタメには多少毒が入ってた方が面白いという考えを持っているのだが………この漫画はヤバい
ちょっと毒が入ってるとかではなく毒そのものとしか言いようがない、毒をくらわば皿までというがこの漫画は箸まで毒みたいな感じである。

あらすじで巨悪が〜とか書いたがこの漫画巨悪がマジで悪過ぎる。
いっても色々な漫画を読んできたので、ちょっと人が殺されたり拷問されたりくらいでは基本ふーん…みたいな感じで読み進めるのだがこの漫画を読んだ時はと(ええ…)とか(めっちゃひどいことするやん…)って何回もなった。
具体的な話は避けるが、最新刊まで読んでどちらかといえば数的には少ないが男の登場人物もいるのに表紙が全員登場人物の"女"であることに気づいた時に軽く引いた…と言えばなんとなく伝わるだろうか。
伝わったか伝わってないかは分からないが多分想像よりエグい事が起きてるので、是非自分の目で確かめてくれ。
普通にそういうのに耐性がないやつは読まないでくれ、いやマジで。

余談だが、作者の沙村広明先生は現在この漫画と同時にアフタヌーンにて波よ聞いてくれという漫画を連載しているのだが(これもめっちゃ面白い)
その漫画に対するコメントで「人が死なない、血が出ない漫画を描こうと思った」みたいな事を言っていて実際その作品にはそういうシーンは出てこないのだが…
皺寄せが全部こっちにきてる気がする………。


1番好きなシーン
本編と落差があるほのぼの感じが好き
ロケーションがちょっとアレなシーンだけども
1番好きなシーンがおまけ漫画って珍しいかもだけど、ここ好きな人多いと思うんだよな


ゴールデンカムイ

日露戦争帰りの軍人である主人公杉本佐一がアイヌの少女アシリパと共に、網走刑務所に収監されている顔のない男のっぺらぼうがどこかに隠したアイヌの集めた金塊を追う…みたいな話。

既読者が読んだら端折り過ぎだろとツッコまれそうなあらすじである。
でも杉本は訳あって生き別れた幼馴染の梅子の為に金が必要とかアシリパはのっぺらぼうの娘だとか金塊を追う為には網走刑務所から脱獄した24人の脱獄囚に彫られた刺青のヒントが必要とか陸軍最強と言われる第七師団と脱獄囚の中に戊辰戦争で死んだはずの土方歳三がいて脱獄後に仲間を集めて出来た土方一派とが両方とも金塊を追い始めて杉本達と三つ巴の金塊争奪戦になるとか…
そんなこと全部書いてたらそれだけで終わっちまうよ!!!

長文を一息で書いたがこれ全部序盤の3巻くらいまでの話なのだ。伝わらないかもだけど凄くない?
この漫画本当に無駄がないのだ。

エンターテイメントとして面白さを維持しつつも文化や風俗など知識として為になることも描き
無駄なことを面白おかしく書くこと、
そんな矛盾が完璧に詰まった完璧な漫画がこの
作品だと思う。


この漫画で描かれる文化といえばやはりアイヌの文化だろう。
アイヌの服装や狩猟方法、食事や信仰する神に対する考え方など、今を生きる現代人が普通に生きているだけでは絶対に知らない世界をこの作品を通して知る事が出来る。
特にキャッチャーかつ人気なのがアイヌの料理が出てくるシーンである。
杉本とアシリパが旅をする過程で動物を捕らえ、それを杉本に教える形で料理するというのがよくあるパターンなのだがこの料理が本当に美味そうなのだ。

鮭を生で叩いたチタタプという料理
マキリと呼ばれるナイフを使って料理することもある

もちろんそういったある種お堅い内容ばかりではなく(読んでてそんなふうに感じることは全くないが)漫画としてのストーリーの熱さもこの作品には存分に含まれている。
登場するキャラクターそれぞれに過去の物語があり時にはそれが交わり合う、物語が進むごとに
キャラクター達に深みが出てくる。
闘争の物語なので道中で退場してしまうキャラクターももちろんいるのだが、その死に様が生きていた時を象徴するようなものが多くとても印象に残るのだ。

まだ語りたいことは沢山あるのだが、この漫画が本当に好きで面白いと思っているからこそ、
これから読む人にはなるべく先入観を持たずに読んで欲しい、だからとにかく…読んでくれ。


好きなシーンが多過ぎて選べない
これを書いたらまた読みたくなったな
読もう



来年も素晴らしい漫画に出会いますように!!










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