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今を精一杯生きる人

緊張についての相談

私は以前からあがり症というか、対人緊張とか色々なことを気にしすぎてしまう、いわゆるHSP(繊細な人)で、あまり人にも相談できずに悩んでいた。

ある日、オペラ歌手として沢山のステージを経験している知人のAさんに『ステージに上がる時、緊張しませんか?』という質問をしてみた。

Aさんは、ステージ前はもちろん緊張するし、心配や不安で眠れない時もあると言っていた。対策としてはとにかく沢山練習して、シミュレーションをして、ステージ前には散歩をして体をほぐし、本番直前まで発声練習をして、出来る限りのことは全てやるようにしていると言っていた。

水泳やエクササイズで体をしっかり作る、睡眠や食事に気を付ける、イメージトレーニングをする、など当たり前のことではあるけれど、話を聞いていると、歌手ってまるでアスリートのようだとも思った。

私が日々苦手だと思っている会社でのプレゼンや、人前で話すことはある程度テクニックやごまかしが効くのかもしれない。しかし歌手はもろに緊張やその時の心と体のコンディションが歌に出てしまう。

よく言われる話だが、『ステージには魔物が住んでいる』ようなこともあって、やってみないとどうなるか分からないから、更に不安にもなるだろう。そして1回のステージで全てが評価されるというプレッシャーもあると思う。

緊張感やプレッシャーと向き合う

私はAさんに何気なく質問してしまったけれど、私が思う以上の緊張感やプレッシャーと日々戦っているというか、常に向き合って生きているということを知った。

Aさん主役の『情熱大陸』や『プロフェッショナル仕事の流儀』みたいなドキュメンタリー番組が、彼女の話を聞きながら、私の頭の中で走馬灯のように出来上がってしまっていた。

その後しばらくは何故だか心がそわそわするような、眠っていた何かが蠢くような、うまく説明できない気持ちがずっと引っかかって気になっていた。

Aさんの話を聞いて、彼女は今を精一杯生きているというか、魂を燃やして生きている人という感じがして、そういう生き方って人に感動とか勇気とか、生きる力を与えられるんだと思った。そして彼女自身が納得する生き方を貫いているような気がした。

例えばそれが歌手とか芸術家とか、何か特別な仕事に限ったことではなくて、たまたま昨日近所で見かけたヤクルトレディーの人が、沢山のヤクルトを自転車に積んで元気よく走り回っている光景を見た時にも何故だか同じように感動し、励まされたような気持ちになった。

老いも若きも

先日会社に行く途中、介護施設の前に石碑が立っているのを見つけた。そこには『若者も老人も今日一日を精一杯生きよう』と書いてあった。

若者には沢山の未来と可能性を試す時間がたっぷりある。そしてお年寄りには未来への時間は残り少ないのかもしれないが、沢山の経験が蓄積されている。この二人を単純に比べることはできないけれど、二人に共通することは、今日一日、今この時に生かされている、ということなのかもしれない。

今この瞬間においては老いも若きも関係なく、対等で可能性のある存在だと思った。

頑張りすぎずに精一杯生きる

『精一杯生きる』と言うと、何か苦しいことも歯を食いしばって頑張らないといけないような気にもなるけれど、それだけでは苦しくなるので、『楽しく生きよう』とか『快適に』とか『穏やかに』、『気持ちよく』みたいな解釈もしてみたいと思った。

日々湧いてくる感情に逃げずに向き合ってみるというか、ひとつひとつを味わうように生きてみたら、充実した自分らしい生き方になるのかもしれない。

そして逃れられない苦しみや悲しみがやってきた時には、『今私は精一杯生きているぞ、よしよし、いいぞ。』と苦しみの嵐の中でも、いつも全力で逃げてしまいがちなヘタレな自分に、優しく声をかけて立ち向かえるように応援してあげたいと思った。











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