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さすらいのギャンブラー

●文さんの「さすらいのギャンブラー」

 2023年春の「たのしい授業フェスティバル(東京)」で,中村文さん(福岡・小学校)の「小学校5年生ガイダンス」を受けました。
 その中で「さすらいのギャンブラー」を体験つきで紹介してくれたのですが,これ,ぼくの中ではとても新鮮でした。
 基本ルールはぼくがやっているのと変わらないものの,「気をつけていることが違うだけで,こんなに安心感のあるゲームになるのかぁ」と感心したのです。
 ぼくのルールだと,資本主義の弱肉強食感を醸し出しすぎていたなぁと反省した次第です(笑)。

 ここで,「さすらいのギャンブラー」を知らない人のために,簡単にルールを説明しましょう。
 詳しく知りたい方は,『教室の定番ゲーム2』(仮説社)の,岩瀬直樹「さすらいのギャンブラー/人間の本質(?!)をついたお手軽ゲーム」をご参照ください。


●「さすらいのギャンブラー」のルール

・チーム(会社)に,同じ金額のお金が与えられる。
・会社の社員は,その会社のお金を分け与えられ,それを持って,立ち歩きながら,他の会社の社員とジャンケンをし,勝ったら相手のお金がもらえる。負けたら,自分のお金をとられる。
・ジャンケンするときに,「お金をいくら賭けるか」を,お互いの相談で決められる。だから,「さすらいのギャンブラー」。このネーミングセンス,つけた人は天才だと思う。その商談で「3枚がけ」が決まったら,お互いに3枚ずつお金を出し,じゃんけんして勝った方がその6枚を全てゲットできる。
・時間がきたら,会社に戻って,その会社のお金の総額が,増えたか減ったかを確認。何回かやって,最終的に一番もうけた会社が優勝!


 さて,文さんのやり方で何に感心したのかと言えば,子どもたちがトラブルにならないようにする「心配り」のルールです。
 例えば,会社のお金をちゃんと人数で等分できる金額に設定したり,ジャンケンするときに「何枚賭ける?」の相談で,「金額が異なったときは,少ない方の枚数に合わせる」など,もめないための配慮が設定されていました。

 ぼくは,各会社の最初の資金は,「それぞれの会社が同じ金額ならいいや」と思って,どーんと50万ずつとか渡して,「社長が信頼できる社員に分けろ」っていうやり方でやってました(^^;) 
 そうすると,どうなるかというと,「先生,社長がぼくを信頼してくれなくて,5万しかあずけてくれません(涙)」なんて訴えてくることがあるんですよね。
 でも,ぼくは「会社ってのは,そんなもんだ。世知辛いよな。その金で稼いで,信頼を取り戻せ。それがこの世を生きていく術(すべ)だぞ」とかなんとか言って,子どもに任せていました。

 その点,文さんのクラスのルールは,ちゃんと同じ数で割れる金額を最初に設定しているので,社員も最初から同じ金額をあずかって働けます。とても社会主義的なルールです(笑)

 文さんは,これを「出会いのころ」からやったり,「席替えをする度」に,近くの席の人と班を作ってやるんだそうです。気軽にできるたのしみごととして,いいなぁと思いました。

 ぼくは,学活の時間の盛り上がりゲームとしてしかやってなかったので,もっと人に優しいルールで,気軽にやってあげようかな,と思いました。

●クラスにお金があると…

 文さんは,100円ショップなどで売っている「おもちゃの紙幣」をたくさん持っていましたが,ぼくは,自分でデザインしたお金を大量印刷してあります(笑)

クラスにおいてあるお金(もどき)

 クラスが終わるときに「記念にほしい」という子にプレゼントしたりもするので,だんだん減っていくのですが,なくなったらまた印刷すればいいと思いながら,もうかれこれ10年以上使っています。

 これが教室にあると,なにか盛り上げようと思ったときにすぐに使えていいです。先日は,ドロケイのお宝として,これを牢屋に置いておきました(笑)
 盗み出せたら,そのお金を賄賂にして,つかまっている泥棒を助け出せるというルールをつくったり。

「…先生って,基本的に発想が悪だよね」って子どもに言われましたが(笑)

 その他にも,学活で人気をはくしている「戦闘中」でも大活躍。プレーヤーは「お金」を持ち,相手を撃破すると,その相手がもっているお金が手に入ったり,そのお金で,武器やしのびをゲットできたりもするゲームです。


●その人らしさがおもしろい

 とにかく,ゲームのテンションを上げるときには,「お金」がいいですね(笑)。今年の4月から,お給料もデジタルマネーになるくらい,新しい信頼の形が始まっていますが,まだまだ,お札のお金の持つ力はすごいです。

 生きる上で,切り離せないもの,「お金」。とても大事なことなのに,ちゃんと教わることがありません。その恐ろしさ,便利さ,有効性など,「お金とのつきあい方」みたいなものを,わかりやすく教えられたらいいなぁなんて思いながら,いまはただ,「お金」で遊びながら,ぼんやりと考えている程度です。

 でもまぁ,「さすらいのギャンブラー」は,キラクに遊べるレクにぴったりですし,その子の人間性も出て(堅実な子,ギャンブラーな子,社長肌の子などがわかって)おもしろいですよ(笑)

 保護者会などでも,はじめの方にリラックスしてたのしい雰囲気を出すためにやることもあります。「こんなことを子どもたちとも楽しんでいるんですよ~」というと,おうちの人はおもしろがったり,安心してくれたりします。オススメです。
 

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