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2章 デザイン原則 内容紹介(4)

2章「デザイン原則」の一部紹介、残すところ2回となりました。今回は、いよいよデザイン原則の定義を進める際の考え方について見ていきましょう。

このマガジンは、12月21日に全国書店、25日ごろにAamazonで発売になる「Design Systems − デジタルプロダクトのためのデザインシステム実践ガイド」を編集している私が、個人アカウントでこの本の断片を紹介するものです。予約ヨロシクでございます。

2章「デザイン原則」
きちんと機能するシステムは、必ず明確な原則にもとづいています。この章では、効果的なデザイン原則の特徴と、そうした原則を定義する方法をいくつか紹介します。

1.効果的なデザイン原則の特徴(その1)
2.効果的なデザイン原則の特徴(その2)
3.効果的なデザイン原則の特徴(その3) 
4.原則を定義する ※この記事で一部を紹介しています
5.原則からパターンへ

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原則を定義する

デザインアプローチを5 つの文で表現するのは容易ではありません。チームによって、原則にたどり着くまでの道筋は異なります。ワークショップを何度も行う場合もあれば、CEOやクリエイティブディレクターの意見を取り入れる場合もあります。その方法が何であれ、次のことを忘れないようにしてください。

▷目的から始める
デザイン原則は、プロダクトのより大きな目標を支え、プロダクトのエートスを表すものでなければなりません。どこから始めてよいかわからない場合は、自社の全体的な価値観やプロダクトビジョンにまず目を向けてみましょう。その後で、そうした大きなビジョンにデザイン原則がどう貢献できるかを考えます。

TEDのWebサイトの主な目的は、「なるべく遠く、広範囲にトークを広める」、と言い表せます。TEDのエートスと価値を踏まえると、この一文が意味するのは、できるだけ大勢の人々に発信すること、参加のハードルを下げること、そしてプロダクトを包括的で利用しやすくすることです。従って、派手な機能よりもパフォーマンスとアクセシビリティが、あるいは大胆で実験的なデザインよりもメッセージの明瞭さなどが優先されます。「時代を超越する」という原則には、こうした目的が包含されます。

▷共通のテーマを見つける
原則を定義しかねている場合は、何人かのチームメンバー(チームの規模によっては全員でもかまいません)に個別に原則を書き出してみてもらいましょう。彼らにとってプロダクトの優れたデザインとは? どのような5 文で説明すれば、新規メンバーにもわかりやすい原則になるのでしょうか?

まずは、プロダクトのインターフェースと対比するそれぞれの原則を、実際の例を見つけてもらいましょう。

メンバーから出された回答を比較すると、デザインアプローチに対するチームの認識がどれくらい統一しているのかわかります。共通または重複するテーマは多くありましたか? 部門間で原則が異なっていませんか? 回答はどれも興味深いと思いますが、特に面白いのは、チームに入ったばかりの人と、長年そのプロダクトに携わってきた人の違いです。これらの回答は、共通のテーマを確認し、優先順位に承認を得られ、今後の原則に関する作業の出発点となります。

▷正しい対象者に注力する
誰を対象にするのか理解していないと、デザイン原則は必ず不明瞭なものになってしまいます。企業理念のパンフレットを作っているのですか? 企業のWebサイトや採用関連のWebページでしょうか? パートナー候補と潜在顧客が対象ですか? まずは自分自身と、同僚たちのために原則を書いてみてください。同僚とは、デザイナー、開発者、コンテンツ制作者、マーケティング担当者、専門領域のスペシャリストなど、プロダクトの作成に直接関わるすべての人々です。プロダクトにとって優れたデザインとは何かについて、おおむね賛同してもらえそうな原則を考え、実用的なガイドラインを提供することを目指します。

▷検証して原則を進化させる
プロダクトの進化に合わせて、原則も進化します。原則は、大まかで抽象的な状態から始まり、徐々に明快になっていくかもしれません。あるいは、初めから明快で焦点が定まっている原則が、時間とともに曖昧になり、信頼できないものになっていく場合もあります。

デザイン原則が進化し続けるようにするには、たびたび内容を検証して、評価、改良する必要があります。このためには、原則に意識を向け、業務の中で日常的に対応していくしかありません。たとえば、デザインレビューで原則も一緒に評価するようにすると、デザインプロセスに有用な原則かどうかを定期的に検証できます。有用でないと判断されたら、改良を続けます。

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noteの機能では表現しにくい画像のキャプションや、脚注などは省略しています。あくまで、書籍の概要としてイメージしてもらえれば幸いです。全貌はぜひ書籍でお確かめください。

2章の最後となる次回は、デザイン原則が決まった上でデザインパターンとしてUI要素に落とし込む際のポイントを概観します。そして、3章と4章のデザインパターンについての説明へと進んでいきます。

では、次回をお楽しみに。


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