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この本の著者・監訳者について

12月21日に全国書店、25日ごろにAamazonで発売になる「Design Systems − デジタルプロダクトのためのデザインシステム実践ガイド(仮)」なる書籍がありまして、その編集を進めています。

「デザインシステム」なる考え方や導入・運用方法を、著者自身の経験や欧米のデザイン主導型企業へのリサーチからまとめた書籍なのですが、日ごろnoteのポストを見ていると関心を持ってもらえるがテーマなのかもしれないな…と思い、このマガジンでは、制作しつつ未整理で作りかけの断片を個人のnoteアカウントでシェアしてみようかなと思います。

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1.著者・監訳者について
2.どのような本か① − 著者自身の言葉から
3.どのような本か② − 推薦文から

1.著者・監訳者について

アラ・コルマトヴァ(Alla Kholmatova)
UXおよびインタラクションデザイナーとして、幅広いプロダクトおよび企業向けのWebサイト制作に9年間携わる。最近では、オープン教育プラットフォームのFutureLearnでシニアプロダクトデザイナーを務めた。特に関心を抱いているのは、デザインシステム、言語、コラボレーション。ここ2年間は、こうしたテーマの研究と調査に多くの時間をつぎ込み、記事、ワークショップ、プロジェクトを通じて自らの見識を紹介している。また、「A List Apart」のようなデザイン関連サイトに寄稿したり、世界各地のカンファレンスで講演している。現在は英国のグリーンエネルギーのスタートアップ企業Blubのデザイン&UXの責任者を務めている。

佐藤伸哉(さとうのぶや)
株式会社シークレットラボ 代表取締役 / エクスペリエンスデザイナー。Web黎明期よりユーザーエクスペリエンスのスペシャリストとして、海外のデジタルエージェンシーの日本での活動支援や大手企業のデジタル事業戦略のアドバイス、プロダクト開発のデザイン支援などを行っている。Razorfish時代は本書英語版レビュワーのカレンの部下でもあった。HCD-Net認定人間中心設計専門家、LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ、Google Developers Expert (Product Design) および Google認定デザインスプリントマスター。

2.どのような本か① − 著者自身の言葉から

Webが急速に変化して複雑化するなか、静的ページの観点から考えるのは不可能になってきました。私たちの多くは、よりシステマチックな方法でデザインにアプローチし始めています。

しかし、すべてのデザインシステムが同じように効果的であるわけではありません。一貫したユーザーエクスペリエンスをもたらすシステムもあれば、寄せ集めのわかりにくいデザインを作り出すシステムもあります。チームの関与を奨励するシステムもあれば、軽視されるシステムもあります。時間とともに進化して、まとまりや機能を増していくシステムもあれば、肥大化して扱いにくくなるシステムもあります。

うまく機能して長持ちするデザインシステムの主な特徴とは何でしょうか?この疑問をきっかけに、私は膨大な時間を費してデザインシステムの調査と考察を行いました。そして、それが本書の土台となっています。規模やデザインシステムへのアプローチが異なるさまざまな企業を例に挙げながら、どのような要素があれば効果的なシステムとなり、チームが優れたデジタルプロダクトを作成できるようになるかを探っていきます。本書を使って、私の日々の作業を楽にしてくれているアプローチを共有したいと思っています。みなさんの作業も楽になると幸いです。

対象読者
本書は主に、デザインシステム思考を組織の文化に組み入れることを目指している、小中規模のプロダクトチームを対象としています。プロダクトチームに属するすべての方に本書は役立てていただけると思いますが、特におすすめしたいのは、ビジュアルおよびインタラクションデザイナー、UX実務者、フロントエンド開発者です。

本書のスコープ
本書では、私のインタラクションおよびビジュアルデザイナーとしての経験に基づいてデザインシステムを語ります。情報アーキテクチャ、コンテンツストラテジー、デザインリサーチといった関連分野には言及しません。また、本書は技術書でもありません。フロントエンドの慣習に直結する内容についてはたっぷり議論しますが、サンプルコードの提示や開発ツールの詳しい分析は行いません。

本書は、何をデザインすべきかではなく、デザインそのものに関する書籍です。また、デジタルプロダクトのデザインのための包括的なガイドを作る意図もありません。よりシステムマチックにデザインプロセスにアプローチする方法を紹介することで、みなさんのデザインシステムがプロダクトの目的を達成し、チームカルチャーにフィットするよう支援することを目指しています。

3.どのような本か② − 推薦文から

イーサン・マルコッテ(Ethan Marcotte)
時間があれば、エミリー・ガーフィールド(Emily Garfield)というアーティストの作品を調べてみてください。彼女は水彩絵具を使用して、細部にわたり複雑で洗練された地図を作成しています。どれも驚くほど美しく、架空の土地が描かれています。都市のリアルな風景を描写する代わりに、絡み合った道路や曲がりくねった川、基盤目状に細かく区切られた都市など、複雑なパターンを1つ作成して、それを繰り返します。ガーフィールドは、そのパターンをイテレート(反復)して微妙に変化をつけながら、地図が完成するまで、らせん状に描き進めていきます。そうしてでき上がるのは、生成的でフラクタルのような特徴を持った作品です。パターンから作られているのは事実ですが、全体としてまとまったものの一部であるように感じられます。

実際、ガーフィールドはこう語っていました。「私は絵画を描きながら、自分のプロセスを表現しているのよ」このすばらしい本を読みながら、私は何度もそのセリフを思い出しました。みなさんもきっとそうなると思います。

近年、Webデザイナーは、モジュール型でパターン主導のデザインを取り入れ始めました。これには正当な理由があります。画面やデバイス、地域を問わず、より多くの人々に魅力的な体験を提供することが求められるようになったからです。その結果、インターフェースを再利用可能な細かいモジュールに分割し、パターンを利用することで、これまでよりも迅速にプロダクト、機能、インターフェースを構築できるようになってきています。

しかし、デザインパターンだけでは十分ではありません。パターンがより大きいプロセスの中で息づき、小さいインターフェースモジュールが一体となって連携しているように感じられる必要があります。全体の中の一部とならねばなりません。言い換えれば、デザインシステムの成功が不可欠であり、そこで本領を発揮するのが本書です。

本書の中で、アラはデジタルデザインを支えるシステムの作り方を的確に説明しています。わかりやすい説明とケーススタディ、詳細な例を通して、チーム間で共通言語を確立し、より効果的に協調する方法を紹介します。さまざまな組織がどのようにしてデザインシステムを構築し、実践しているか、そしてこうしたシステムが時間とともどう進化していくかについても論じます。

つまり、本書は単なる本ではありません。アラは明快で輝かしい地図を描き、デジタルデザインの持続的なモデルを提示してくれます。彼女が描いた道を歩めば、優れたデザインシステムを育み、より良いデザインを作成できるはずです。

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次回は、この本の構成や用語、著者自身がこの本に注いだ見識(経験)や、リサーチ対象となったデザイン主導型企業5社についてです。

お楽しみに。


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