Music Peeler

音楽で自己表現したい人のコーチ役。メタファー好き。王道好き。ディレクター、A&…

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音楽で自己表現したい人のコーチ役。メタファー好き。王道好き。ディレクター、A&R、プロデューサー、レーベルヘッド、代表取締役すべてを経験。現在は新人の発掘育成、プロジェクトの企画立案を担当しつつ、ミュージシャンとしても活動中。 果実の皮をきれいに剥いて、おいしく仕上げます!

最近の記事

コロナ後の時代: 武道館ライブはもはや目標ではなくなってしまうのか

とうとうというか、ようやく緊急事態宣言が出されました。今回の新型コロナウイルスに関しては、音楽の発信地であるライブハウスが震源地になったことが大きく取り上げられ、アマチュアやインディーズのアーティストたちは、活動の場がどんどん狭くなってしまい、息苦しい状態がずっと続いています。 個人的にも制作スケジュールが延期になったり、プロジェクトの足止めを食らったりしていて、影響はだんだんと大きくなっています。 3.11の後、 “音楽には何もできなかった” という自己嫌悪に陥り、しば

    • 心の中のネガティヴ・ウイルス対策を

      新型コロナウイルスが大変なことになってきました。エンターテインメント界にも大きな影響を与えています。ウイルスの存在は目に見えないだけに、自衛以外に対処法はなく、終息宣言が出るまでは警戒心を解くことはできません。 不安な日々がしばらく続くと、私たちの心の中にネガティヴ・ウイルスが巣食い始めます。 そこで今回は緊急時の “電車の車両“ と “心の中“ の例え話です。 ある休日の昼下がり、一人で電車に乗ったとしましょう。その車両には数十人の老若男女が静かに乗っています。 次

      • 卒業ソングがいつまでも愛される理由

        受験シーズンが終わり、春の足音が近づいてくると、毎年テレビやラジオ、プレイリストなどで卒業ソング特集などが組まれます。 これまで数多くの卒業ソングが発表されてきましたが、これは世界のミュージック・シーンにはない、日本独自の現象です。 そこでなぜここまで卒業ソングが愛される理由を考えてみたいと思います。 人口1億2千万人のほぼ全員が経験するイベントとは?確率論だけでいうと、日本の人口、約1億2千万人が体験するイベントから題材をピックアップすれば、ヒットする確率は高くなりま

        • 楽曲を巡る “恒星” と “惑星” の例え話

          前回、音楽がストリーミングの時代になって、ポップ・ミュージックは憑依先が見つからなくて、宙をさまよっているということを書きました。 そんな中、昨日、とても興味深いニュースを読みました。 冬の星座を代表するオリオン座の話ですが、向かって左上にある星(オリオンの右肩にあたる星)“ペテルギウス” が、昨年の秋から比べ、明るさが1/3になったそうです。 そこで今回は、楽曲を巡る “恒星” と “惑星” の例え話です。 “恒星” とは、自らのエネルギーで輝く、星雲状ではない天

        コロナ後の時代: 武道館ライブはもはや目標ではなくなってしまうのか

          これからの時代、楽曲は何に憑依すべきか?

          日本では音楽配信サブスクリプションが急速に伸びていますが、一方でCDパッケージの売り上げをこれだけ保っている国は世界中を見渡しても日本以外ありません。 今ではアイドルなどの特定ジャンルのみの話かもしれませんが、レコード会社からすると、坂道を転げ落ちるのを、ずっとサイドブレーキを引いた状態のまま下っているという状態には変わらないのです。いつまでもこのままで良いはずはありません。 これまでの音楽産業は、極端に言えば ”空気の振動” が、カセットテープ、レコード、CDにプリント

          これからの時代、楽曲は何に憑依すべきか?

          2020年、新人シンガー・ソングライターに期待すること

          2019年のJ-POP年間チャートを見ると、今年も新人シンガー・ソングライターが入り込む隙間はほとんどありませんでした。 “アイドルの時代”、“グループの時代”、“ビジュアルの時代” だからなど、後付けの言葉はたくさん出てきますが、世界に目を向ければ、ソロ・アーティストのヒット曲は今年もたくさん生まれています。 今回は “シンガー・ソングライターの楽曲” と “衛星写真” のたとえです。 Google Earthやドローンの登場によって、高いところからの景色を見ること

          2020年、新人シンガー・ソングライターに期待すること

          リスナーの “心のサウンド・トラック盤“ に選ばれるためには

          子供の頃、トランプでババ抜きをよくやりました。今でも友人たちで集まった時、たまにやるのですが、シンプルなルールですが、人数が多いほど盛り上がって、心理戦もあり、結構楽しめるのです。 先日、ババ抜きをやっていて、カードを引く時にふと気づいたことがありました。それはカードを引く行為というのは、好きな曲を探す行為と似ているのではないかということです。 アーティスト側は「お好きなものをどうぞ」と、カードを扇のように広げて曲を提供します。悲しみとか、喜びとか、怒りとか、様々な感情に

          リスナーの “心のサウンド・トラック盤“ に選ばれるためには

          最近の音楽プロジェクトから感じたこと

          この夏、個人的に新しいプロジェクトがいくつか始まったこともあり、なかなか更新ができなかったのですが、様々なジャンルの人と接していく中で、いろいろと感じたことがありました。 今回は、昨今のアーティストの音楽活動を “飛行機のフライト“ に例えてみたいと思います。 かつて100万枚のCDセールスを誇るようなメジャー・アーティストの音楽活動は、上空1万メートルの高さを飛行しているようなものでした。地上にいる人々ははるか遠くを見つめ、ただ目で追い続けるしかありませんでした。 と

          最近の音楽プロジェクトから感じたこと

          ヒット作りのために必要な串焼き屋のマスター的なセンスとは

          連日猛暑が続いています。お盆休みも近く、仕事終わりに仲間と串焼き&ビールを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。 私も懇意にしている串焼き屋があって、その店のカウンターに座っていた時、あることを感じた瞬間がありました。 それは「音楽プロデューサーの仕事は、串焼き屋のマスターの仕事に似ているのではないか」ということです。 そこで今回は “ 串焼き屋のマスター的発想 “と “ ヒット曲作り “の例え話です。 串焼きにはたくさん種類があります。定番のねぎまにはじまり

          ヒット作りのために必要な串焼き屋のマスター的なセンスとは

          ヒットのバーを跳び超えるために必要な発想とは

          いつも読んでいただいてありがとうございます。 Music Peelerとしての投稿は今回で10回目になります。たかが10回ですが、様々な世代やジャンルの人たちに伝えたいこともあり、もう少しこういった形での発信を続けたいと思っています。 さて、今回はTOKYO 2020まであと一年ということもあり、“走り高跳び “ 目線と “棒高跳び“ 目線の 例え話です。 アルバム完成直前まできて、最後の最後で行き詰まることがたまにあります。曲も出尽くした感もあり、なかなかキラー・チュ

          ヒットのバーを跳び超えるために必要な発想とは

          聖火リレーのように伝わっていく曲は今後生まれるか

          先日の東京オリンピックのチケットの抽選結果に一喜一憂した人も多いでしょう。 聖火ランナーの一般募集も始まりました。聖火を手にして走るのはどんな気分なのか、一度は味わってみたいものです。 聖火はギリシャのオリンピア遺跡で太陽光を利用して採火され、空輸によって持ち込まれるそうです。 ソチ冬季オリンピックの聖火リレーでは、途中で火が消えてしまって、警備員があわててライターで付け直すという事件もありました。 その後、改めて種火から付け直したそうですが、どれが “聖なる火“ な

          聖火リレーのように伝わっていく曲は今後生まれるか

          時代の光に照らされる “メガヒット曲“ は、どこに眠っているのか

          最近は流行のサイクルが早く、ブームが去るのもとても早くなっています。お笑い芸人の一発芸などは、瞬時に日本国中に広がったと思えば、翌月には味わい尽くされて飽きられてしまいます。 ある意味、今は大衆がこぞって “流行りモノ“ をキャッチし続けるため、発信者も受信者も “動体視力“ ならぬ “動体心力“ が試されている時代だといえます。 では、ポップ・ミュージックの世界ではどうでしょうか。 以前は「One-Hit Wonder(一発屋)」という、一曲だけメガヒットを出して、

          時代の光に照らされる “メガヒット曲“ は、どこに眠っているのか

          “ドーナツ楽曲“ と “あんパン楽曲“ の違いとは

          先日、あるシンガー・ソングライターのアルバム用のデモ音源を聴いていた時のことです。 デモ音源は割と自由なので、その人が好きで聴いてきた音楽が反映されます。目指すのは王道のJ-POPソングだったのですが、聴いた感じは逆で、どこか洋楽っぽかったのです。 “洋楽っぽい“ というのはとても曖昧な言葉です。デモ曲ではイントロから心地よいグルーヴが進んでいくのですが、ブロックが変わってもあまり展開した感じがなく、サビに突入してもメロディがあまり印象に残らず、そのまま盛り上がりに欠けて

          “ドーナツ楽曲“ と “あんパン楽曲“ の違いとは

          時代の “視力検査“ に合格する楽曲とは

          楽曲が世間に認知されていくかどうかの判断は、視力検査を受ける時の感覚と似ています。 今回は視力検査の “C“ のマーク(ランドルト環)と楽曲の例え話です。 新しいメガネを買うときや、コンタクトレンズを買い替えたりする度に眼科やメガネショップで視力検査をします。そういった時にしか検査をしませんから、裸眼の状態の時の視力についてはほとんど意識しません。 メガネやコンタクトレンズをすると、視力は一気に1.2くらいまで上がります。要するにメガネやコンタクトレンズは、世の中がぼや

          時代の “視力検査“ に合格する楽曲とは

          “ヒット曲“ ではなく “認知曲“ を目指す理由

          子供の頃、双眼鏡と星座早見盤を持って、夜空に輝く星座を探した経験が一度はあると思います。 北斗七星、オリオン座、カシオペア座などは有名で見つけやすく、大人になった今でも、見つけるとちょっと嬉しい気分になります。 一方、音楽シーンでは、星の数ほどある楽曲が、今日もあてもなく空を彷徨っています。 天体観測と違って、屋上に出て耳をすまし、空を見上げても、何も聞こえてきません。 今回は “ヒット曲“ と “認知曲” の違いについて、夜空に輝く“星“ の例えで考えてみようと思い

          “ヒット曲“ ではなく “認知曲“ を目指す理由

          音楽シーンにおける “個人戦” と “団体戦”

          J-POP、K-POPのジャンルでアイドルやダンス・グループが増えた理由として、テレビのモニター画面が4:3から横長のワイド画面の16:9に変わったことが影響していると言われたことがあります。 確かに今はヴィジュアル優先の時代です。一つのメッセージを多人数で表現した方が、ダンスや振り付けの楽しさも伝わるし、応援したいという参加意識も高まります。 どんなジャンルであれ、結局は限られた時間やスペースの中で見ている人を楽しませなければなりません。入口としてはヴィジュアル・インパ

          音楽シーンにおける “個人戦” と “団体戦”