聖火リレーのように伝わっていく曲は今後生まれるか
先日の東京オリンピックのチケットの抽選結果に一喜一憂した人も多いでしょう。
聖火ランナーの一般募集も始まりました。聖火を手にして走るのはどんな気分なのか、一度は味わってみたいものです。
聖火はギリシャのオリンピア遺跡で太陽光を利用して採火され、空輸によって持ち込まれるそうです。
ソチ冬季オリンピックの聖火リレーでは、途中で火が消えてしまって、警備員があわててライターで付け直すという事件もありました。
その後、改めて種火から付け直したそうですが、どれが “聖なる火“ なのか、見分けがつかないだけに、歴史を揺るがすような大事件にはなりませんでした。
さて今回は “マッチ棒と紙ヤスリ“ の例え話です。
梅雨が明けると日本国中で花火の季節がやって来ます。子供の頃、よく手持ちの花火で遊んだことを思い出します。
花火に火をつけようとマッチを擦った瞬間、「これはアーティストとプロデューサーの関係と似ているのでは?」と感じたことがありました。
マッチ棒の頭の成分は、リンでできていると思っていたのですが、実際には塩素酸カリウム、硫黄などの混合薬品で “頭薬“ と呼ぶそうです。
また、マッチ箱の側面についているヤスリのような部分が、赤リンなどの薬品でできていて、“側薬“ と呼ぶそうです。
さて、ここからが例え話です。
火がつく前のマッチ棒は、 “ブレイク前のアーティストの卵“ です。頭薬が大きければ、軽く擦っただけでも大きく燃え盛るだろうと想像がつきます。
一方、側薬は “プロデューサー“ です。摩擦熱を起こして、作品に生命力を与えなければなりません。
頭薬と側薬がタイミング良く擦れ合うと、火は “炎“ となり、エネルギーを持ちます。これはアスリートとコーチの関係にも言えると思います。
ところが頭薬が少ないマッチ棒だったらどうでしょう。うまく擦らなければ、ただ摩擦が起こるだけで、火はなかなかつきません。
さらに頭薬がまったくない、つま楊枝だった場合はどうなるでしょう。
何回擦っても火はつかないどころか、側薬は削られてすり減り、お互いがヒリヒリと痛みを感じるだけで、絶対に花火に引火させることはできません。
逆を考えてみます。
いくら頭薬が大きなマッチ棒でも、側薬の部分が単なる厚紙でしかなかったら、火はつきません。
エンターテインメントの世界では、マッチ棒に火がつけば、真夏の夜空に大輪の花を咲かせることだって可能なのです。その瞬間を夢見ながら、アマチュアの人たちは日々研鑽を重ねています。
マッチ棒は頭薬をできるだけ豊富にすることが大事で、側薬は削られてツルツルにならないよう、どう擦れば火がつくか、常に研究を怠ってはならない。
一本のマッチ棒から移された種火が、聖火リレーのように様々な人の手に渡っていくことが、ヒット曲誕生への必要なプロセスだと思います。
オリンピックの聖火が新国立競技場に到着する日まで、あと一年と少しです。
新たな時代の “愛唱歌“ が生まれることを祈りつつ、来るべき “擦れ合う一瞬“ のために、日々準備を怠らないようにしなければと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?