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歴史再現イベント『ブレダ・ナッサウの日 Nassaudag 2014』 ~ロイヤル・シティの軍学校の、年一回だけの一般公開日を狙え

※ 訪問記は2014年6月時点の情報です。それ以前にも複数回訪問歴あり。八十年戦争に関わる場所を訪れています。一般的な旅行記ではありませんのでご注意ください。

ハーグ、デルフトに次ぐ、おそらく第三位のロイヤルシティ。しかしそのどこよりもナッサウ・シティを標榜しています。街の各所に関連するものを見ることができます。



Breda Nassaustad

「ナッサウ家の街」を前面に押し出してプロモーション中のよう。訪れた2014年は 「第5回ブレダ=ナッサウの日 Breda Nassausdag」が開催されました。普段入れないブレダ城に入れるのが嬉しいイベントです。

ナッサウ・メニュー

いくつかのレストランでは「ナッサウ・メニュー」と称した特別メニューを提供中。週代わりメニューだったり、「ウィレム三世のプライド」「フレデリク=ヘンドリクの勝利」なんて名前をつけた料理があったりします。


ブレダ男爵モニュメント

駅前通りをまっすぐ来た公園入口に建っていたモニュメント。

この円柱に書かれている内容を見ると、歴代ブレダ領主の名前と在位が載っています。画像の側はエンゲルベルト一世からフレデリク=ヘンドリクまで。ナッサウ伯当主が兼任しているので名前も順番もナッサウ家当主と同じですが、八十年戦争期はちょうどブレダの領有権がスペイン⇔オランダと何度も移動している時期なので、スペイン領の時期は空位になっている期間がけっこうあります。


ブレダ城

歴代ブレダ城主の居館。若い頃のオランイェ公ウィレム一世、少年時代のマウリッツ、ブレダ男爵位を回復した後のフィリップス=ウィレムも住んでいたことがあります。現在はオランダ軍の軍事学校に使われているため、一般公開はされていません。(「ナッサウの日」を除く。後述。)

冒頭の地図では、中央最上部に描かれています。さらにその右には庭園があります。この1565年の版画の時代と、建物の大枠は変わりません。ただ、1565年はまだ周りを囲む稜堡はなく、城の防備は細い水路だけです。

スタットハウダー門

「スタットハウダー門」と呼ばれる、ブレダ市街地側から城内へ通じる門。門の上部中央にナッサウ家の紋章が掲げられています。

スペイン門

スペイン門と呼ばれる、こちらも城外から城内に水路で通じる門。「ブレダの泥炭船」のときもここから侵入したとされています。隣に停まっているいる船は、「スピノラ」という船名の船上レストランだそうです。



ブレダ博物館

現在は移転して、「ブレダ市立博物館」となっています。個別記事は下記へ。


聖母教会 Grote of O.L.Vrouwe Kerk


ナッサウ家代々の墓所のある教会です。が、ちょうど沈黙公の亡くなったときに、ブレダの街自体がスペインの支配下にあったため、沈黙公以下現在のオランダ王室の墓所はデルフトの新教会にあります。

街自体が「ナッサウの街」を推しているのと同様、「ナッサウ家墓所」であることをけっこう前面に押し出しています。内部も他の教会に比べて観光客が多く、無料のうえ写真もOK。気前良いです。

2009年当時は、教会の外には垂れ幕、入口をはいってすぐのところにはモニターがあり、蘭・英語でナッサウ家について簡単に見ることができました。

2014年は、ちょうど「ナッサウの日」関連で混み合っていたのでその辺は気づきませんでしたが、左側の隅っこに歴代オランイェ公の説明文があり、扉に詳細をプロジェクターで映し出していました。また、中でミニコンサートとバザーもしていました。

内部にある墓碑名が書かれたプレートには、

  • ナッサウ伯・ブレダ男爵ハインリヒ三世(ウィレム沈黙公の伯父にあたります)

  • ハインリヒ三世の息子で、ナッサウ系の初代オランジュ公ルネ・ド・シャロン

  • ウィレム沈黙公の最初の妻アンナ・ファン・ビューレン

の3名の紋章と名前が見られます。

エンゲルベルト二世のモニュメント

エンゲルベルト二世のモニュメントは19世紀の絵画で。今とほぼ変わりません。英軍のフランシス・ヴィアー将軍はこのモニュメントを非常に気に入り、ウェストミンスター寺院の自身の墓標にも取り入れています。


ブレダ・ナッサウの日 歴史再現イベント Nassaudag 2014

オランダのブレダ市では、「ナッサウの街 Nassaustad」を掲げ、2010年から毎年「ナッサウの日」を聖霊降臨祭の第二日(祝日の月曜日)に開催しています。日本人には馴染みの薄い休日なうえ、5月中旬から6月上旬と範囲の広い移動休日なので毎年だいぶ開催日が違っています。 2014年は第5回。

ウィキメディアでは2010年、2017年、2018年の様子が見れます。

歴史再現イベントとしては、ナッサウ伯エンゲルベルト一世の婚礼行列の再現イベント、「ブレダの泥炭船」の再現イベントなどがおこなわれます。どちらかというとこの2つのモチーフがメインで、1624-1625年や1637年の攻囲戦など、八十年戦争後半はどうでもいい感じです。 また、1年のうちこの日だけブレダ城が一般公開されます。ブレダ城は現在オランダ軍の施設(軍学校)で普段は入れないため、これ目当てにだけ行ってもいいってくらい嬉しい。

スタットハウダー門から入ります。無料で地図をもらえますが、詳しいパンフレットは€0.50でした。城本体の中身は学校な上、展示物もほぼ近代以降のものなので、個人的には若干期待外れでした。「ナッサウの間」に肖像がたくさんあったくらいでしょうか。どちらかといえば、併設してある「ウィルヘルミナパビリオン」での展示のほうが良かったです。下に挙げたジャック・カロのブレダ攻囲戦の図があったりしました。

地下壕みたいなところに入っても良いし、西側に向かうと、スペイン門の内側に出ます。門の両側の塔には、この日用に飲み物を出す店が入っていたり、礼拝堂があったりしました。

門の上では、16時半からの泥炭船イベントのため、リハーサルしている衛兵役の役者さんたちが居ます。さらに、スペイン門の内側通路には、やはりスタンバイしている小船に乗ったスペイン兵役2人組が居ました。ほかにも続々とコスプレ役者さんたちが集まってくるのが見れました。

スペイン兵のお兄さんたち。お声がけしたら手を振ってくれました。
準備中のお兄さんたち。


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