債券という得体のしれないモノ(前編)

個人投資家とは縁が薄い債券

投資をしていると目にするのは債券という単語です。個人投資家が株式にアクセスする手段は充実してきましたが、債券にアクセスする手段はあまりありません。というのも、日本国内の債券で最もメジャーなのは日本国債なのですが、その利回りは金融緩和政策の影響で長らくほぼ0%となっており、利益が無いのに資金が長期間拘束されるという投資妙味のない商品となっています。そのうえ、ただでさえ少ない利子に税金が追い打ちをかけるので、何のために苦労して種銭をかき集めたのか自問したくなります。

ですので、国内債券は個人投資家の需要が無くアクセスする手段を揃える必要が無いのだと思います。(一番身近なのは、ゆうちょATMでの国債購入ですね)それゆえに株式やその他金融商品と比較して、国内の個人投資家には縁が薄いのだと考えられます。

また、株式のより低い流動性、債券には複数の種類がある、店頭発注が基本で市場に直接発注することはできない、株価のように派手に値動きしないので経済ニュースに取り上げられる頻度の少なさ、などもより個人投資家を遠ざけている一因なのだと思います。

ところが、直近のアメリカの金利は上昇を続け、30年物の米国債も5%を超える金利となっていました。つまり10,000$の米国債を購入すると(アメリカが破産しない限り)30年のあいだ毎年500$の不労収入が約束されるうえ、30年後には10,000$が返ってきて合計25,000$となるという、日本での投資感覚では考えられない商品となっていました。

米国債30年(SBI証券より)

債券に興味を持ってみたものの

株式投資の平均利回りが5~10%と言われ、しかも一時的な下落に見舞われることがあるなか、5%の利回りが30年間も保証されるなら検討の余地があると思い、購入できないか調べてみました。

すると、簡単に債券を購入するページが見つかりました。しかしそこには、新発債券・既発債券・円貨建債券・外貨建債券・利付債・割引債・劣後債などの単語がずらりと並んでいる。これを見ただけで買う気が失せる方も多いでしょう。これらの単語はマネックス証券が説明してくれているほか、ネット検索で解説が簡単に見つかるので、詳細はそちらを参照してもらえればと思います。

複利効果を最大限に引き出すなら割引債

利付債は毎年利子を受け取れますが、毎回税金が引かれていきます。それに対して割引債は満期に一度に税金がかかるので、受け取った利子を別の用途に使う予定が無ければ割引債に投資しておくと良いでしょう。また、割引額で購入できるので、最初に元手がかからないのが特徴です。

例えば、先に説明した30年物の米国債(利回り5%)の場合、10,000$分の利付債を購入すると、10,000$+500$×30=25,000$となります。これが、割引債の場合では、30年後に100$が返ってくる米国債が、(1.05)^30=4.32分の1の値段、つまり23.13$で購入できます。10,000$分の割引債を購入した場合は、43,219$となります。この差は非常に大きいです。しかも、利付債の利子には毎回のように税金がかかってきます。

仮に利付債の受け取った利子をそのまま再投資したとしても、(5%の利回りが30年間保証されたとして)32,400$程度にしかなりません。無論、割引債にも税金がかかりますが36,500$くらいにはなります。利子にかかった税金分の複利効果の差は、30年を経過することでこのように如実に現れます。
(長くなったので、後編に続きます。)

※割引債は当該年度で利益を確定した場合の数値



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