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アンビグラムまるわかりノート!!②

 こんにちは。オルドビス紀と申します。普段は主にX(Twitter)上でアンビグラムを投稿しています。

 本記事は『アンビグラムまるわかりノート!!①』の続きです。前回の記事をまだ読んでいない方は、こちらのリンクから該当記事へどうぞ!

 …と言いましたがなにぶん長い記事でしたので、この場でも軽くおさらいしましょう。

前回のおさらい

  • アンビグラムの基本原理は図形の一致認識の切り替えである。

  • この2原理に基づき振動/回転/鏡像型図地反転型敷詰型敷詰図地反転型を紹介した。

  • これらをまとめて単一型と呼ぶ。


 前回の内容はアンビグラムのメカニズムに関する幾何学的な話でしたが、今回はアンビグラムのもう一つの要素――構成とでも言いましょうか。アンビグラム作品の見せ方に関するお話です。
 前回の終わりに名前を出した単一型に加え、複合型混合型を説明していきます。それではどうぞ!



単一型

 

 前回紹介した型を総称して単一型と呼びます。見方を変えても読める文字という条件を満たす、基本にして純粋なアンビグラムです。
 単一型は図形変換前後のグリフが同じか違うかによって同一型・共存型に分けられます(前回お話しした内容です)。

『遊』180°回転同一型

複合型


 複合型は、(1種類の)単一型アンビグラムの組を並べて一つの語句を表現したものです。
「1種類の」ということはつまり、登場する図形が1種類ということです。
共存関係にある文字の同時見せで語句を作る、とも言えますね。


左から
『幻灯』振動式複合型
『聖別』回転式複合型
『存外』鏡像式複合型
『芸当』図地反転(振動)式複合型

 「〇〇式」は"○○共存型に基づく"というニュアンスです。
複合型、特に回転式複合型のことを旋回型(英語圏の"spinonym"に対応)と呼ぶこともあります。
 同時に3つ以上並べた作品も考えられます。

『トイレ』複合型
それぞれが回転共存の関係になっています。


 「見せ方に関する話」と先ほど言いましたが、実は構成名は必ずしも一つに定まらず、アンビグラム作成者の「こう見せたい」という考えが反映され得る余地があります。
 こちらをご覧ください。

『騒然』/軸鏡像式複合型

 私は以前この作品を/軸鏡像関係の2字からなる鏡像式複合型として投稿したのですが、この画像を丸ごと/軸で鏡映してみると、、、?

『騒然』縦書き

縦書きの『騒然』になっていますね!つまりこの作品は『騒然(横書き/縦書き)』の鏡像共存型と言うこともできるのです。

『蹄鉄』180°回転同一型

 こちらの同一型も、蹄/鉄の回転共存の組を並べた回転式複合型と呼べなくもないですが…そのような捉え方をしたことはないですね。

混合型


 最後は混合型です。
 単一型アンビグラムの組を複数種類用意し、それらを並べて一つの語句を表現したもの混合型と呼ばれます。

『企業秘ミツ』混合型
企/ミツが180°回転共存、業/秘が90°回転共存になっています。

 混合型は複数種類の単一型を用いて構成するので、作成にあたっての自由度はかなり高いです。しかしその一方で「向きを変えても読める」アンビグラムとしての忠実性は低くなります(「企業秘ミツ」の画像をどの向きから見ても、別のまとまった読み方は出来ませんよね)。

 混合型はそもそも制作例が少なく、この名称もアンビグラムを体系的にまとめる際に考案されたばかりのものです。提唱前の仮称であった「3次アンビ」で検索したほうが、より多くの情報に引っ掛かるかもしれません。



まとめ

 今回はアンビグラムの”見せ方・構成”と称して単一型複合型混合型を見ていきました。同じ図形配置でもどう見せたいかによって名称が変わる場合も見ましたね。

物質の分類と似てたり…似てなかったり…


 次回は重畳型交換型について見ていく予定です。アンビグラムの原則とは違う方向から定義された不思議な分類型。その正体や如何に!?楽しみにしていてくださると幸いです。

以上、オルドビス紀でした。


5/8:
「○○式同一型」「○○式共存型」の表記を「○○同一型」「○○共存型」に修正


指摘や感想、是非ともお待ちしております。

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