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00年代の肯定[天気の子_感想解説_後半ネタバレ]

【前半ネタバレ無し】

デート映画じゃないけど、個人的に超刺さった。

「天気の子」、個人的に超刺さって、好きな映画になりました。
ただ「君の名は」はデート映画と言えるくらい鑑賞後のカップルの雰囲気が良くなる映画だったけど、天気の子はそこまで雰囲気は良くならないかなと思うので彼女未満の人を誘って良い雰囲気にしようと思う人は要注意。(逆にお一人様でも全然気にならない良い映画だとも言える)

俺に超刺さった理由は、00年代エロゲを遊んで生まれたあの感動が蘇ったから。鑑賞中に青春が蘇って、止まっていたエロゲ熱が再び動き出す、そんなカタルシスが生じたから。
この作品は00年代エロゲの文法に沿って作られていて、かつアンサーが込められている。以下ネタバレしながら説明する。

【以下ネタバレ注意】









理由無きファンタジー搭載の可愛いヒロイン、可愛いヒロインを救う為主人公が愛を叫ぶ。

エロゲ特有の文法がある。以下俺が思うエロゲ特有の文法。異論は認める。
1.説得力を補強しようとしない世界観。
2.理由なきファンタジー。
3.ヒロインからの好感度が会った瞬間から高い主人公。
4.とにかくヒロインが超可愛い。
5.ヒロインの余命宣告。
6.曲が良い。

5つの文法に天気の子がどれだけ当てはまるか書いていこうと思う。

①世界観の補強はしないのがエロゲの通例。(型月世界は例外)
エロゲにおいて主人公は親と同居していると何かと不都合が生じる。冒険や無茶をしようにもまず親が障壁となるからだ。だから親は長期海外出張や事故死で不在である。帆高の家出の理由は多くを語らないが、それでいい。親元を離れている環境という大前提が必要なんだ。

②理由が無いファンタジー
エロゲにおいて1000年続く呪い、助けた猫が人になる、他人の夢を強制的に見せられる力、といった冷静に考えると粗があるファンタジー設定がエロゲにはある。陽菜の””晴れ女”、劇中で一日中強く願って世界と繋がったと言及されているけど、ぶっちゃけ説得力は弱いがどうでもいい。陽菜が超可愛いくて晴れ女。それで良いのだ。

③ヒロインからの好感度が会った瞬間から高い主人公。
エロゲにおいて大抵の場合主人公は理由なくモテる。説得力をもたせようとすると冗長だからだ。ヒロインは会った瞬間から主人公に好意を持つ。
陽菜が帆高にハンバーガーを渡した理由の違和感はあんまり無いが、流石に雑居ビルで立ち去ったあとに戻ってくるのは理由が弱くて違和感がある。でもそれで良い。帆高に対して陽菜が色々してくれるのは必然。エロゲではヒロインは絶対主人公に気があるのだ。

④とにかくヒロインが超可愛い。
行動、口癖、外見。とにかく可愛い。視聴者がヒロインに惚れれば、主人公も惚れる。だから帆高が陽菜に即惚れるのも必然。不自然でも何でもない。エロゲではこれ常識。

⑤ヒロインの余命宣告。
麻枝 准から始まる余命持ちヒロイン。エロゲのヒロインには死の匂いが付き纏う。ヒロインを救うために奔走し、主人公は愛を叫ぶ。これぞ00年代セカイ系エロゲ。帆貴は陽菜を救うため奔走し、愛を叫ぶ。ぶっちゃけそれは物語の途中で気づいてた。でもそれで良い。それがエロゲだから。

⑥曲が良い。
エロゲはサウンドノベル。名作は曲が良い。
思い入れがあるエロゲは得てしてグッとくる名曲が多い。シーンと曲がマッチしていることが多いからだと思っている。
天気の子も映像と曲がシンクロしていて流石新海誠。
シンクロする瞬間はまさにサウンドノベルという感じで、紛れもなくエロゲだった。

エロゲを否定した終盤。肯定したラスト。

陽菜を救うまで完全にエロゲだった天気の子。
しかし世界を犠牲にして救った3年後、幾多の人に否定される事から始まる。犠牲をした罪悪感は拭えたが、果たして主人公の覚悟は勘違いした空回りのようなものだったのだろうか。
エロゲのシナリオは空回りしたファンタジー感動系だったのだろうか。
帆高は高らかに肯定してくれた。世界を変えてしまったのは本当で、だからこそ、どんなことがあっても大丈夫。と。
エロゲの物語は本当、と言ってくれてありがとう帆高。ありがとう新海誠。
次回作もぜひこの路線でお願いします。ちょっと懐かしエロゲやろうかな。

おまけ

帆高が実弾入りの銃を拾ったのは砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないのオマージュかなと思った。砂糖菓子の弾丸で戦ってる陽菜達を実弾を持った帆高が助ける構図。しかし実弾(物理)じゃないと撃ち抜けないってのもなかなかダークなメッセージだな。


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