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黴菌について

私は微生物検査技師です。

英語では『microbiological technologist』です。

どんな仕事かと言うと

からだに悪さをしているバイキンを特定して
その菌に効く薬(抗菌薬)は何かを導きだしています。

とても簡単に書きましたが、
作業行程がユニークです。

患者から採ってきた血、尿、喀痰(検体)を
菌が生えやすい栄養のある寒天(培地)に塗ります。
それを一晩温めながら寝かすと…

元々青い培地にこんなのが生えてきました。
つやっぽい、ぷっくりした粒が見えます。

なんだか地球みたいで美しいですね。
乾燥して培地、いや、海が裂けてしまいました。
モーセになった気分です。


緑色に見える丸いひと粒を1コロニーと言います。
このコロニー1つにはとんでもない量の菌がいます。

これはKlebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)です。
桿菌はかんきんと読みます。
日常では見ない漢字です。

名前の通り、肺炎の原因菌になったり泌尿器系疾患の原因にもなったりします。

今回は泌尿器系の検体からでてきました。

つまようじでコロニーを触ると伸びました。
実は同じ肺炎桿菌でも
伸びる菌や伸びない菌もいます。

人間にも一人一人違いがあるように、
菌も同じく違いがあり色々な顔があります。

からだに悪さをしている菌を扱っているのですが
培地を見ていると愛おしく感じてしまいます。

ちなみに黴菌という文字。なんだかゴツい字面をしてますが、これはばいきんと読みます。急にかわいくなりました。


世界にはこんな仕事もあるのです。

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