善光寺門前で聞く「それぞれの働き方」001 ヤマとカワ珈琲店 川下康太さんの話 1/4

1166バックパッカーズと同じエリアで店を営み、気づけば長く面識はあるにもかかわらず、意外とじっくり話すことがない小さな店の店主に、ちょっと真面目に(でも時に不真面目に)、「働き方」ひいては「生き方」について問うてみるインタビューのシリーズをやります。
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最初に登場するのは、「ヤマとカワ珈琲店」を営む、川下康太さん。二児の父でもある川下さんが、仕事と家族との時間のバランスについて、ありのままを話してくださいました。

全4回に分けてお楽しみください。

川下康太
1983年大阪府生まれ。
大学を卒業して7年間建築資材メーカーに勤務した後、長野市へ移住。2014年に喫茶ヤマとカワをオープン。妻と息子(3歳)と娘(2ヶ月)の4人暮らし。今の趣味は息子とのプール通い。

ヤマとカワ珈琲店
〒380-0815
長野県長野市鶴賀田町2252
TEL:080-9283-9609
HP:https://yamatokawa.com/
営業時間:13時-日没
営業日:毎週金曜・土曜・日曜・月曜


暮らしが絶対的なベース


飯室:こんにちは。今日はよろしくお願いします。さて、唐突にですが、ヤマとカワって今何年目ですっけ?

川下:5年たちました。

飯室:『喫茶ヤマとカワ』を開業したときって、独身だったよね。始めたときは。そっから結婚して、ひとり生まれて、もうひとり生まれてっていう。で、『ヤマとカワ』始めたときは喫茶店で、カレーも出してたじゃないですか。カレーと珈琲。「あれ?カレーどこいったん?」。で、気づけば『喫茶ヤマとカワ』が『ヤマとカワ珈琲店』になって、店名から”喫茶”が消えた。いろいろ店もシフトしていってるし、人生のステージもどんどん変わってるじゃないですか。それは、人生のステージが変わったことで、ヤマとカワが変化していったのか、全然別個の次元なのか。生活の部分と仕事の部分をどういう風にバランスを取っているか。仕事に集中することで家庭を犠牲にしてしまう部分もあるだろうし、家庭を大事にしたいからこそ仕事がおろそかになってしまったり...とかっていうことが、存在すると私は思っているけれども、ヤマとカワはすごく...いろいろと葛藤はきっとあるんだろうけれど、うまくシフトしていっているような気がするんですよ。

川下:まじすか!めっちゃ嬉しいー。

飯室:それはなんなんでしょう。

川下:僕はほんとに自分の家族とか暮らしがもう絶対的にベースなんですよ。そこが絶対で。わりと5年後とか10年後とかこうなりたいっていうのを考えるのを好きなタイプで、目標設定しないとあんまり動けないタイプなんですかね。なので、けっこう「こうなりたいな」、「こうしていたいな」とかっていうのを結婚して子供が一人目生まれて、すごく強くなってきた。元からそういう性格やったかもしれないけれど。だからそれがあるからこそ、こう…逆算したら「今これくらい仕事やらなきゃならないよね」っていう感じで今仕事を作ってる感じですかね。だから暮らしがあって、お店をシフトしていってるってのが大きい。でも、とはいえ...っていうのはすごくありますけど。あんまり家にたくさんいれなよね、ていうのはありますけど。

飯室:脳みそを切り替えるのが難しいなって思うんです。"仕事から家"は比較的簡単な気がして、でも"家のことから仕事"っていうのが難しい。

川下:うん、ちょうどそれ本当に思った。

飯室:今の生活の流れとしては?まず、朝起きます〜...?

川下:うん、起きます。家でご飯食べる。で息子を(長男・3歳)保育園に送っていく。だからここ(店)に着くのが朝9時くらいになるんですよ。で、朝9時から焙煎初めて、お昼いっぱいギリギリまで焙煎して、でお弁当たべて1時から開店。営業がある日はだいたいそんな感じ。

飯室:ふたりめ生まれる前はふゆちゃん(奥さん)が保育園に送ってた。そうするともっと早くに?

川下:うん、だからより、なんかこう「短時間でより稼ぐためにはどうしよう?」っていうのはやっぱ考えたりしますね。

飯室:そこに答えはでてるんですか?

川下:うーん…答えまではでてないんですけど、こういう方向かな、とは。手間がかかる仕事と手間がかからない仕事って、まぁ言うたらわかるようになってくるじゃないですか。

飯室:わかるようになってきますかね?

川下:ようは...だから、商品が何個かあったら、利益率が高い商品てあるじゃないですか。宿でいうたら...手ぬぐいがアホほど儲かるんなら手ぬぐい売ろっていうのに近い感じがする。

飯室:珈琲屋の場合は?

川下:うん、だから...卸を伸ばすのか、オンラインを伸ばすのか、小売を伸ばすのか。こういう物販を伸ばすのかっていう。

飯室:なるほど。手間がかからない仕事に力をいれていくっていうね。それもやっぱりさっき言ってた「暮らしがあって」ていうところ?

川下:家にもっといたいとか、子供と接する時間を確保したいとか思うと、短時間で稼ぐためには?っていう風になって行ってるって感じですかね。二人目うまれたら、お金もやっぱいるなって。

飯室:やっぱりそうなんですか。

川下:お金欲しいじゃないですか。ていうかね、僕家たてたいんですよ。

飯室:あぁ、家ね。

川下:自営業で家建てるためにはある程度、成績残しておかないとお金借りれなさそうじゃないですか。っていうのもあって、だからそう、息子が小学校なる前くらいに見えたらいいなって。だからあと3年なんですよ。あと3期分はこれくらいだしたいなっていうのはなんとなく。

飯室:さっき言ってた5年、10年計画だ。

川下:あ、そうそう。

飯室:いやー、なかなかこんなちっちゃい小商いでそこまで計画性を持っていないんじゃないですか、みんな。

川下:どうなんですかね。みんな…。いや、でも意外とみんな考えてるんじゃないですか。考えずにいけるひとは考えずにいけるだろうけど…なんか立場が変わるじゃないですか。それこそ子供が生まれて〜とかってなると。考えざるをえないですよね。

飯室:側から見てるとヤマとカワすごいなーって思うんですよ。変やなって。ありがちやと思うのは、まぁ、例えばお父さん働いています、例えば店やってますと。で、子供産まれました、で父ちゃん的には「うわーもっとめっちゃ働かなあかん!」ふたりめできました。「もっと働かなあかん!」で、この父ちゃんは多分仕事の時間が伸びたり、土日も働きます!みたいになっていく、そっちになっていく人が多いと思うんでうすよ。働く=もっと時間的にも拘束されるような。でも、さっき言ったみたいな、「子供できてから短時間で!」っていうところ。定休日増えるわ、朝から焙煎していたのが時間少なくなるわ、はよ帰らなあかんわって。ちゃんと家庭の方に寄りながら、でも売り上げ伸ばす方向に、で、かつ家建てようとしているとかって、けっこうめちゃくちゃに見えるけれど、ちゃんとそれが成り立っている…?

川下:成り立っているかはわからない。3年後にわかる。

飯室:うーん、でもその3年とかちょっと中長期的にみて、やってるのは凄いよね。なかなかないような気がするな、これ。

川下:でもなんかいま、息子が生まれてから営業日減らしたりとか...一見減らしているように見えるんだけれども定休日といえど今日も普通に仕事していたりするんで、あれなんですけど...まぁ思っている通りに割と進んではいたりするんです。なんかいけるな、っていう実感はある。それを「なんか不思議」って思ってもらえるのは割とメリットやなっと思っていて。なんかそう…”人と違う”じゃないけど、人として僕を気にしてくれるというか、なんか気になってくれる率が上がるっていうか。そうなればいいかなーってやってます。それをブログとかで発信しているっていのもあるんじゃないかな。織絵さんは近くでみてくれてるっていうのはあると思うんですけど。


今じゃなくてもまだ後半めっちゃ時間ある

喫茶営業していたころの店内 photo by Kota Kawashita

飯室:最近こう移住について考えることが多くって、こないだも東京で移住についてのセミナーみたいなので話をしてきたんだけれども、その時に聞きにくる人たちって、やっぱりこう暮らし自体を変えたい人たち、あの、なんて言うんだろう消費社会から抜け出したい人たちだとか、そんなに稼がなくてもいいからちゃんと家族の時間を確保したいひとたちだとか、そういうイメージを持って長野にきたいひとたちが多いんですよ。だから、なんかこのカワヤンの働き方っていうか、生き方っていのは、「わーすごいー!」っていう部分でもあり、一方で現実でそういう働きかた、生き方をしているひとがいるっていうのはけっこう、こう...自分も何かできるかもっていう…

川下:勇気を与える?

飯室:そうそうそう!

川下:あぁ、うれしー。

飯室:そんな気がする。

川下:そう思ってもらいたい。前に、一生に使うお金を計算したことがあるんですよ。家建てるとか、車これ乗りたいとか。いつ死ぬかわからないと言うのを前提として、今じゃなくてもまだ後半めっちゃ時間あるなって思ったんですよ。その、子供がある程度大きくなって、下の子も小学校とか入ったら、今みたいにべったりできないなって思ったら、(保育園の)お迎えとかする必要なくなってくるって思ったら、そっからめっちゃ時間あるなって。ていうのを思うと、今はちゃんと子供との時間をとりつつ、でもお金はこのくらい欲しいよねっていう計算をした。だから今、ずっと仕事に時間をさく必要はないっていうか。優先順位的に今は子供といた方が後々はいいかなって思った感じですかね。

珈琲じゃないとダメなわけじゃない

日課の焙煎風景 photo by Shiho Furumaya


飯室:絶対的に軸になっていてブレないのが、その「中長期的考え方」と前にカワヤンが言ってた「珈琲じゃないとダメなわけじゃない」っていうような。

川下:それ、めっちゃでかいと思ってます、ぼく。とはいえ、珈琲めっちゃ好きやからやりますけど。「珈琲に人生かけてます!」みたいな人みると、めっちゃ心配になったりします。あの、余計な心配(笑)。珈琲豆輸入できひんくなったらどうすんねやろ?とか。そんな”人生"とか言ってて大丈夫?ってすげー心配になる。

飯室:あくまでも、自分が今珈琲に集中はしてるけど、珈琲がなくても同じ感覚での暮らしは作っていけそうな?

川下:そうですね、何売ろうってなるだけかもしれないですね。だからこそなのかもしれない。

飯室:珈琲が前に前に出すぎているとちょっと違う?

川下:うん、難しいですよね。インスタは珈琲屋感をすごく出してるとか、その辺は時と場合によって変えてますけどもね。でもブログはそんな珈琲の内容ないとか。なんかそこはちょっと使い分けてるかもしれない。

(来週木曜日へ続く)

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ORIE IIMURO

2010年に長野市善光寺門前にてゲストハウス・1166バックパッカーズ https://1166bp.com をオープン。地元の人も参加できる朝ごはん会や移住について話す会なども開催し、観光客と地元民を緩やかにつなぐパイプ役を目指し運営中。最近の興味は「聞く」ということ。

長野市善光寺門前で聞く「それぞれの働き方」

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