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ライナーノーツ「denki-bran」その4

■ミニアルバム「denki-bran」セルフライナーノーツその4

 【denki-bran(part3)】について

■曲について

「ライブで出来そうな曲」「マイナーコードのロックっぽい曲」を最初コンセプトに掲げて、コードとドラムを打ち込んでいった。

コード進行はかなりすんなり決まったものの、歌のメロディがかなり難航した。

普段の作曲の手順として、ギターでコードを鳴らして配置してから、後でメロディーをつけるようにしているのだけど、全くしっくり来なかったので暫く寝かせていた曲。2月の終わりぐらいから着手してた曲だったが、アルバムを出すと決めた後に、再びメロディに向き合った、と言う次第。

そう考えると、part2はメロディありきでコードをつけたから、例外的な作り方をしてたんだな。

この曲でようやくギターが出てくる。
テクノでギターを使うには、ロバート・フリップばりに精確なプレイであるか、逆に極端に「人間くさく」ないといけない。
「うまく弾こう」と合わせにかかろうとすると、逆に浮いてしまう。

歌詞にも繋がる話だけど、「不安定さ」を出す意図もあっての中盤のヨレたギターなのだ。

シンセソロは打ち込み。キーボード一切弾けないけど、あのフレーズは会心の出来。
あのソロをギターソロにする考えはなかったなぁ。全体と音色の関係性もあるだろうが、割と直感で決めている。
part4のギターソロもそこまで迷いはなかった。

◾️歌詞について

コード進行や、アレンジには迷いは無かったものの、「歌に関する部分」の迷いは大きかった。

いや、それ以上に、大きな迷いが自分の中に巻き起こって。

言ってしまえば自分の中に、男性と女性両方いるような感覚に気づいた。自分の性に対して疑問を抱いたことはなかった。心と身体の内実は一致してたはずなんだけど、心の方が身体をはみ出し始めた。きっかけらしいきっかけはない。(ただ、これまでの人生を振り返って、要素はいくつかありそうだが)

とはいえ、今の自分の身体を忌々しく思って、メスを入れようという気持ちはない。別に、この身体自体は自然だし、他人と会話するときの一人称は「僕」「おれ」「自分」だし。恋愛対象はあくまで女性だし。
なんて例えたらいいかなあ、1つのPC の中にOSが2つ共存してて、片方が使い慣れてる感じ。わかるかなあ。

例えば、「男性なのに」ぬいぐるみが好きな人、とか結構いると思うけど、
自分はその要素がかなり多いようだ。

歳とって「おじさん」的な見た目になる事への抵抗もあり、出来ることなら中性的な見た目に…。そんな想いから、スキンケアに力入れ出したり、「らんま1/2」をあらためて全巻読んでみたり、ネットの海をかき分けかき分け。など。

STAY HOMEの中で深く考え込んだら、ちょっと戻れなくなった。ドツボにハマってしまった。ネットの情報の波に飲まれまくって、ちょっと落ち込んだり。
この手のことって、思春期ごろに悩むものなんだとばかり思っていた。まさか30手前でこんな感覚を味わうとは。

ジェンダーレス ファッションはここに起因するんだね。
不思議なもので、悩んでる時期にtwitterで昔の友人のアカウントを見つけたら、その友人がジェンダーレス男子になっていた。
(最後に会ったのは2014年の3月に友人のお芝居を手伝った時。バラシの後、車に乗せてもらったなあ)

つまり「The sea of X」とは、Xジェンダーの「X」のこと。
2つの自分が心の中で大きく波立っている。

「ボク・ワタシとアナタ 共存
 精神融ける水平線」

この手の題材でもって「ワタシらしく〜」なんて歌を作る気はさらさらない。
今更言う必要もない。
自分を悲劇のヒーロー・ヒロインに見立ててスポットライト当てる気も無いし。
(誰も自分がやってる活動に注目しやしないし。)

今は少し時間が経ってるから、割と落ち着いている。
もう、この感覚をとことん味わってやろうとすら思っている。
もう、デートでパンケーキとか食べたい。あと浮かばない。
デートの語彙力不足。

なんの話や。

結構、自分としては当時のリアリティを詰め込んだものなので、ある意味自分を吐き出すと言う点では、ものすごく「ロック」してる曲なんだと思う。

この曲を好きだと言う人は少ない。
そりゃそうだな。part2やpart4と違って、他でもない自分に向けていたのだから。

そもそも、この「denki-bran」、リスナーが少ない。

誰のためのライナーノーツなんだか。

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