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仮面ライダークウガ考 【7】もしも実際にあんな遺跡が発掘されたら?

 さて、ここでは今までと少し視点を変えて「クウガ」を考えてみたい。
 そもそも、私が「クウガ」について最初にした考察は、 「本当にあんな遺跡が発掘されたら、現実の考古学者たちはどう反応するだろうか」 と言うことだった。
 その時、私はちょうど高橋克彦の「竜の柩」の最新作「霊(たま)の柩」を読んだばかりだった。 このシリーズは、主人公の九鬼虹人(くき・こうじん)とその仲間が、世界中に残る伝説が、 実は古代に宇宙から訪れた異星人について記したものであり、人類に文明をもたらしたのは異星人だった と言うことを解き明かし、更にはその異星人たちと古代で冒険を共にすると言う物語である。
 こう書くと、荒唐無稽な話のように聞こえるかもしれないが、実際には、作者の豊富な知識と、様々な資料によって、 丹念に理論が組み上げられており、読み終わった後は、世界史観が少々変わってしまっている、と言うような作品だ。 そして、第1作の「竜の柩」などは特にそうなのだが、その背後には作者の考古学者たちへの強い反感があるように感じられる。 ようするに、これだけ証拠がそろっているのに、どうして考古学者たちは、頑固に真実を認めようとしないのか、 と言うような無言の反発が読み取れるのである。
 そんな作品を読んだ後だったので、ついつい「クウガ」についても、こんな事を考えてしまったのだろうとは思う。

 さて。で、本当にあんな遺跡が発掘されたら、考古学者たちはどう反応するだろうか。
 まず、大半の学者は信じないのではないか、と思う。
 何をって、だから、石棺の中の超古代の戦士のミイラが、石棺を開けられる寸前まで生きていたと言う事だの、 そこから出て来たベルトを着けた五代が変身しただの、と言うようなことを、である。
 ちなみに、現代の科学では、何万年も前のミイラでも、様々な検査から年齢や生きていた時の生活環境などを 知ることができる。ましてや、死んで間のない死体か、何万年も経っている死体かの区別ぐらいは即座にできるだろう。
 また、五代の体についても、椿医師が番組中でやっている通り、様々な技術をもちいて検査すれば、 ある程度のことはわかるはずだ。
 だから、現実であっても、調査によって得られるデータは番組中と同じはずなのだ。
 と言うか、むしろ番組中では、現実の考古学者や医師たちが、当然現実でも行うだろう調査を 忠実にたどっているにすぎない。
 ただ、問題は、そのデータを考古学者たちが信じるか否かと言うことだ。
 もちろん、「クウガ」が「現実ではあり得ないこと」を設定上たくさん盛り込んでいるのは事実だ。 だが、現実にそれが事実である、と判明した場合、それがどんなに信じられないことであろうとも、 事実は事実として認める他はないだろう。
 なぜなら、それは歴史の一端であり、すでに過去に起こってしまっていることだからだ。 それを、現代の人間の頭では理解できないからと言って、なかったことにしてしまうのは、 あまりにも愚かなことではないか。
 だが、実際には考古学者に限らず、いわゆる識者と言われる人たちは頑迷で、なかなか事実を事実と認めようとしないようだ。
 これは、随分前のことになるのだが、奈良の遺跡発掘について書かれた本を読んだ時に、 愕然とした覚えがあるのだ。
 その本が書かれたのは、たしか昭和45年かそれぐらいで、発掘が行われたのは、当然それよりも前だろうが、 その本に書かれていた発掘とその調査結果は、私たちが学校で習ったものとはまるで違うものだったのだ。 ところが、そんな新事実が発見されているにも関わらず、私は、その発掘の後に出版された教科書で、 発掘前の定説を事実として学校で習っていたのである。
 むろん、今は教科書に載せる内容も迅速に更新されるようになっているのかもしれないが、 しかし、当時の文部省にとっては、最新の発掘結果よりも、はるか昔から、半ば伝説的に信じられて来た 事の方が、事実として小学生たちに教える価値のあるものと思えたようだ。
 ともあれ、その事実が突拍子もないものであればあるほど、なかなかそれは信じてもらえず、 それに真剣に取り組む人間は異端者扱いを受けるのだろう。

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