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おりおりいっぴつ #038 (100年後の地球を予想する)

五連の美

錦川に架かる

帯弾む


ここは山口県の岩国にある、美しい橋のひとつ。錦川に架かる、帯のような美しい橋ということで、「錦帯橋(きんたいきょう)」と呼ばれています。深い山あいの緩やかな川の流れに、悠久の風情を見ます。

江戸時代、1673年に創建され、長さ193.3m 幅5m、繊細な組木の技法によって作られました。五連アーチの木造橋として、日本三名橋のひとつに数えられています。

ただ、この橋は何回か流失したり、壊れたりしています。しかし都度、藩主がプロを雇い、さらに良い橋を作ってきたので、アーチ型にしてからは270年以上も流失を免れたそうです。それから何十年に一度、掛け替えをして大工技術を継承しながらこんにちがあるのです。

こうやって人々が大切にしている橋だからこそ、その橋の周りにも心遣いが感じられます。100年後を見据えて桜の木を植えた人たちの心意気が、今の私たちの目を癒してくれます。夜はライトアップで美しく映えさせたり、屋形船で橋を下から望む風情を演出したり、季節の植物と川の流れと橋の美しさが旅情を醸し出してくれます。

「今、お前の周りは、美しいか?  100年後の人たちが見て、どう思うであろうか」

八幡様はそう言って、僕に未来を想像させます。普段から、今から100年後なんて考えることがありませんし、目の前のことで精一杯ですので、なかなか想像がつきません。

でもその想像力が、新しい工夫になっていくこと。人を大切に扱う心を育てていくこと。一つの事象を適当に考えすぎず、真面目に真摯に取り組むことなどを教えられて、いつの間にか約束させられます。だって、未来の人たちに「こんな程度か」と笑われたくありませんからね。

100年後というキーワード。最近、なるべく使うようにしています。

今さえよければいい、ではなく、未来の人たちが同じように「これは良い」「これは大事だ」と思ってもらわなくては、それは仕事じゃない、と思うようにしているのです。例えば、やっつけ仕事で、強度のないふにゃふにゃ状態の家を作ったとしましょう。

地震が起きたら、真っ先に潰れます。柱も折れてしまいます。そして、人は簡単に心が折れ、潰されて、死んでしまいます。その理由が、私達の仕事への取り組み方から生まれる産物だとしたら、悲しすぎます。

だから、100年残すためにはどうすればいいか、です。

八幡様は、しつこく言います。

八幡様:「100年後の未来を予測してみなさい」

僕:「そ、そうですね。まず、人口が減っていますよね」

八幡様:「いいえ。増えます。大きな壁を乗り越えて世界が一つになり、安心して子どもも生まれてきます」

僕:「おお。でも、高齢者がほとんどになっちゃってますよね?」

八幡様:「高齢者という呼び方も消えています。100年後は地球以外でも住めるようになりますので、人口が分散されます。皆が生きやすいように定められた柱法があり、様々な文化を認めながら生活できるプラットフォームが整備され、子どもたちの未来のための専門施設が敷かれていきます」

僕:「ということは、戦争は?」

八幡様:「100年後には、歴史の1ページでしょう」

僕:「わあっ! 未来がわかりました! 100年後は、今より便利で、戦争がなく、平和で安心な世界なんですね!」

八幡様:「そうなるように、人々が動けるなら。ですよ?」

八幡様との会話は、いつもこんな感じでエンドレスなのです。

錦帯橋は、帯がまるで弾むように川の上に踊っています。見た目も可愛い形状と、それを眺める人々の笑顔は、似ています。岩国のお殿様は、今僕たちがこうして車で移動しながら観光し、錦帯橋をみて、橋の中では日本一、いや世界一かもしれないと思っている状況なんて、考えたこともないでしょう。

しかし、それから350年たった今でも、愛され続ける錦帯橋に大きなヒントがありました。

この世に必要で、100年後も愛され続ける形状で、周りも一緒に愛されて、人々に大切にされるほどの大義があればこそ、残り続けるということ。

これを忘れずにいかねば、と決意を新たにする僕でした。

あなたに、今日も幸あれ。


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