メイドインアビスの劇場版総集編 前編を観た話

何度観てもいい……。それに尽きます。

名古屋の劇場、伏見ミリオン座で視聴。結構女性客が多くておどろきました。ナナチの存在は偉大ですね。ミリオン座限定の奈落ジュースなるものが売っていたので購入してシアターへ。抹茶シロップとコーラを混ぜたジュースにゼリーが入っているっぽい。飲みやすくて普通に美味しいんですが、映画が映画なのでゼリーのどろどろ感が得体のしれない何かのように思えて度し難さを醸し出していました。

内容はほんとうにそのままアニメ版の総集編でした。前編は3層突入の手前まで。新規カットもありますが、分量としてはほんの少しです。

私は漫画1巻からの追っかけなので、もちろんメイドインアビスのTVアニメは視聴済みなわけですが、それでも総集編映画を観終わったあとはとても感動しました。映画化にあたってTV版から一部省かれたシーンはありましたが、違和感はほとんどありません。むしろ、省いても問題ないような細かいシーンまで忠実に映像化しているTV版のキメの細かさに気付かされました。それでも、後々の伏線になりそうなシーンは映画でもしっかり残されています。制作陣の「最後まで映像化してやるぞ!」という気合が垣間見えるような気がします。

これは完全に個人の意見なんですが、私は「忠実すぎるアニメ化」ってあんまり好きじゃないんですよね。『3月のライオン』のアニメがそれで、あれはカット割り、話数の区切りまで漫画を意識したアニメ化だったと思うんですが(序盤しか観ていないので違っていたらすいません)、そこまで忠実ならもう漫画読めばいいじゃん!って思ってしまうわけです。しかし、アニメ化の方針としては、『メイドインアビス』も『3月のライオン』と同様に、原作に極めて忠実なアニメ化を行っています。それでも私がこのアニメを素晴らしいと思うのは、ひとえに音楽のおかげだと思います。

悲しいときに悲しい音楽が流れる、激しいバトルのときに激しい音楽が流れる……。テレビドラマだと、こういう劇伴の使い方って多いですよね。音楽が場面状況、そして観客が感じるべき感情を表しています。でも、このアニメはそういう例に当てはまらない曲が多くあります。

アビスへ潜り母親を追いかける決断をしたとき、リコの出自を知らされるとき、シーカーズキャンプをあとにするとき……。私は、絶望と寂しさと興奮が入り混じった、えもいわれぬ感情をいだきます。メイドインアビスの音楽は、この感情を否定も肯定もせずに、ただ増幅してくれます。漫画で読んだときは、どう受け入れればいいのか途方にくれてしまうような場面がいくつもあったのですが、アニメではそういうとき、音楽がそっと寄り添って、心を支えてくれるような気がするのです。これは『メイドインアビス』のアニメ化にあたって、私が最もすばらしいと思う点です。Kevin氏は本当にいい仕事をしていると思います。

それで映画の話に戻るのですが、要するに映画館の音響でこのアニメを観るとエモさ倍増ということです。TV版を観たときにもう何度も泣きましたが、映画館でもやっぱり泣けました。総集編だし……と言わずぜひ観ましょう。

ほとんど文句はないアニメ映画なんですが、気になったところが一つ。妙に雰囲気とあっていない効果音がすこし耳障りに聞こえました。映画化にあたって付け足されたのか、TV版からあった音が強調されているのかは確認していませんが……。リコの鼻水が伸びる効果音とかそこまで大きな音でやる必要あるんですかね?