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低気圧のテンション

台風が来るというので、いろいろなことを前倒しして過ごしたこの2日間。不覚にも今朝は少し寝過ごしてしまったけど、なんとか慌ただしくいろいろなことを終えて、特急に揺られて帰京して帰宅して、やれなかった粗大ごみを運ぶのとか家の中の残務を片付けて、一息。

遠くの空から黒雲がどんどん迫ってきて、普段の日暮れの何倍もの速度で空が暗くなってゆくのを窓から見ている。身体が、心が、気圧がだんだん低くなって、そういう時に限ってそうか明日は月曜日だとか考えて、ふっと心が沈んでゆく。重くはなっていない、沈んでゆくだけ、テンションが、低気圧のテンションになってゆく。

別に何が辛いわけでもない。明日、仕事に行くのが面倒くさい、しんどいわけでもない。ただ、電車が軒並み気を使って明日の朝止めるよ、と言っているのだが、新幹線がこういうときでも絶対に止まらないのは過去何年も経験済みである。あした、どうやって新幹線の駅までゆこうか、そのパズルを組み立てるのを楽しむには、少し先に低気圧にやられすぎた。

ぼーっとする時間が欲しいな、今の自分には必要だな、とずっと思っていた。今の自分には、何事かを頭の中に刷り込む時間も、それを吐き出す時間も足りなさすぎだと。目に見えるもの、耳に聞こえるもの、心にそれを引っ掛けて膨らませて、ふつふつと自分の記憶として咀嚼していく、そういう余裕が自分には足りない、とずっと思っていた。

早めの帰宅で久しぶりにビールを開けて、長椅子に腰掛けて暗くなってゆく空をみている。頭の中は信じられないほど空っぽで、でも何かを吸い込み、吐き出すスポンジのような弾力性はそこにはなくて。なんだか何も吸わない、何も吐かないのゴムの塊みたいな気持ちになって、呆然としている。

ぼーっとする時間を消化するすべを、いつの間にかすぐに思い出せなくなってしまったみたいだ。この何の毒にも薬にもならない時間を過ごして、風と雨の音で眠れなくなる夜の闇が、怖い。

にゃあ、と鳴いた老猫を抱きしめて、目を瞑る。

嬉しいです!
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おろち

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