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写真展の、お礼と仕掛けと反省と。

B's写真展『壁』、無事に終わったーー!
ご来場ご鑑賞いただき、誠にありがとうございました。
そして2ヶ月連続のグループ展への出展が無事に完走できました。関係者の皆々様ありがとうございました。たいへん貴重な経験となりました。

…と言うわけで、作品についてはすでに書いてあるので(下記参照)、備忘録がてら今回のB's写真展でコソコソやってた仕掛けや反省点などを振り返ろうと思います。

では行ってみよー!


Chapter1 仕掛けてみた

なんて大仰な見出しをつけてみたが、どちらかと言えば、こんなことを考えながら展示に臨んだ、が正しい。
ギャラリールデコは建屋の構造上、柱や移動式の展示壁があるため、鑑賞者の動線を考慮しつつ、展示物の見せ方をちゃんと考えないといけないと感じていた。
とはいえ、そもそも経験がないので、手探り状態の多分に実験的な取り組みである。

まずは3F展示の壁割りと自分の展示スペースを確認していただきたい。

公式より

丸を付けた場所が今回の展示スペースで、上側の出入り口から死角となるが、壁割りのときに自ら希望した。
それは何故か?

左右どちらから回ってきても、違うジャンルの写真とメッセージがそれぞれ見られるようにするため。
では、そのために何をしたのか?

・動線を意識せよ!

右回りすると自分の展示が視界に入りはじめるのは、対面の壁(画像右下)を過ぎてからになる。対面壁周辺は柱で回廊状になっており、その出口部分で視界が広がることになるので、一度進行方向に顔(または体全体)を向けるであろう。
そのため展示スペース正面には目線の高さにA3で白地のキャプションボードを置き、少し離したところにローキーの花の写真を配置した。そうすることで、

白い何かがある?黒っぽいの何?

そんな違和感を感じさせられたら、思惑通りである。

実際にプリントされた写真は壁の部分がやや暗くなっていた


では左回り(画像右側)はどうか?
壁伝いに鑑賞していくと先に目に留まるのは、右隣のタケさんこと竹岡さんの展示になる。竹岡さんは風景写真を撮られており、おそらく展示も風景写真であることを想定し、鑑賞者もそこで一旦足を止めるだろうと予想していた。

そこで、竹岡さんの展示を見たときに視界の端にキャプションボードが入るようにし、さらにコントラスト強めな写真に銀色の枠(正確には枠ではない)で少しでも目立たせるようにして、意識を向かせる試みをした。

アルポリック地出しという、写真を貼りつける下地をプリントより広めに裁断し、額縁状にする額装

なぜなら壁伝いに来ると右方向へと意識が向くことになるため、流れるように進まれると左側隅のスペースに意識が向かない可能性があったからだ(実際多くはなかったものの、少なからず居た)。

ただ左回りについては、わりと普通に展示スペースに足を運んでくれていた。その理由は3つ。

1つ目は右隣の竹岡さんの展示作品が4枚であったため、割当てられたスペースをフル活用したことで、展示間の距離が近かったこと。
2つ目は左隣の三谷さんとの間には、フリースペースが存在し、そこを三谷さんが活用してくれたこと。

赤マルの部分。そういえばMTG内で「使わないからどうぞ」って言ったや

3つ目は、三谷さんの展示作品が「写真+散文」であったこと。これで竹岡さん以外にも鑑賞者の足を止めさせるポイントができたためである。
足を止めさせることで視野が広がり、視線を巡らす余裕を作ることになる。
では何故三谷さんの「写真+散文」は足を止めさせる理由になるのか。

・0.5秒を生みだせ!?


鑑賞時間は0.5秒

そんなことを誰かが言っていた。
…気がしたので、確かめにいったら違っていた。SNSのTLの話だった。

あれ?

いや、しかしこれでは話が終わってしまうので、話を進めよう。無理やりにでも。

実際の鑑賞時間が0.5秒であるかはさておき、展示作品の鑑賞に足を止めてもらえるかは、鑑賞者が何に興味を持っているかによる。例えば「撮影者」であったり、「ジャンル」であったり。
つまり鑑賞者の興味、ニーズに合わなければ、チラ見して素通りされる可能性がある。
では、どうするか。

1つは写真そのもので足を止めさせること。
この場合、作品自体のクオリティについては言うに及ばずだが、展示サイズや配色、見せ方などによっても効果が見込めるだろう。

もう1つは写真以外で足を止めさせる。
どういうことかと言えば、例えば前述の三谷さんの「写真+散文」という作品群。
散文という写真以外の情報を鑑賞者に与えることで、想像させる時間を作り、鑑賞者の足を止めさせる"間"が生まれる。
言葉は分かりやすく作品の見方に指向性を持たせることができ、長ければキャプション、短かければタイトルと呼ばれる。
そういった理由で自分も文章を置いた。写真よりも先に目に入る位置に。

いやいや、"写真"展なのに文章を目立たせるって

ごもっともである。

分かったうえで、(自分にとって実験的要素があったのもあるが)展示について考えるなか、メッセージ込みで写真を見てもらいたいという結論に至った。
では、メッセージ込みで見てもらうにはどうしたら良いか。

・意図した展示の作りかた?


展示初心者で空間デザインの知識もない自分が、展示空間を作るうえで考えたことが2つ。

1つ目は距離感。
今回の展示作品はどちらもA3で、A3の鑑賞の適正距離が1mほどであると準備期間中に知り、ちょうど展示スペースの奥行きが約1mだったこともあり、その距離感に合うであろう大きさのキャプションボードや読みやすいフォントサイズで準備した。

2つ目は明確な意図。
2つのキャプションは伝えようとしていることを短時間で理解してもらうため、文章は短く、読みやすく。フォントは、それぞれの意図に沿って変えた。

『生きるのは難しい でも「それでも」と抗い続ける』
→こちらは内向きな決意表明。近寄らないと読みとれないように、やや字を崩して小さく見せ、独白しているような印象を持たせた。

『足下の「小さな幸せ」 気づいていますか?』
→こちらは外向きな問い。遠くからでも読みとれるよう、やや丸く柔らかい印象を持たせた。

また花の写真は鑑賞者に「(小さく写る花を)気づく余裕はあるか」という問いを投げかけたかったため、目立たぬよう、キャプションボードへ視線を持ってきたときに視界のギリギリ入るくらいの場所に配置した。一方、サーバルの写真は目線が上向きなのに合わせて、鑑賞者もやや見上げる位置になるように設置した。

・他の展示と差をつけるには


ほぼお一人様限定な鑑賞スペースであるから、滞留時間を少なくするため、長文のキャプションを置かない代わりに、このnoteへのQRコードを展示のそばに置いておくアイデアは、早い段階で持っていた。
QRコードを使って、任意のサイトへ誘導するやり方は他の展示者もおこなっているし、なんなら数多の写真展でおこなわれる、一般化した方法である。
そんな写真展まであと2週間くらいに迫った頃、グループLINEの会話の中で、ちょろっとNFCタグの話題が出た。

ん?NFCタグって何?

NFC(Near Field Communication)とは、近距離で無線通信を行う技術のこと。

つまり、おサイフ携帯や交通系ICカードなどと同じ技術


これだ…。面白そうじゃないか。
いやいや待て。言うて、お高いんでしょ?

これだ……。(2回目)
いやいやいや待て待て。設定とか難しいんでしょ?

ポチーーっ!!

それはもうタッチ&ゴーだったのは言うまでもない。

これについては正直鑑賞者がどう反応するかが分からなかったので、アトラクションとして楽しんでもらえたら、くらいの心持ちで設置してみた。
結果として、反応は思っていた以上に良かった。

躊躇なくタッチする人・怪訝な顔をしながらもタッチする人しない人・まったく興味を示さない人。
反応は様々であったが、タッチしてくれた人は口を揃えて「面白い」と面白がってくれていた。
目新しさに加え、携帯側のセンサー位置を皆んな知らなかったことと、タグの反応の悪さが相まって、ある種宝探しのような感じになったことが要因だろう。
ありがとう齊藤さん!


というわけで、ここまでつらつらと書いてきましたが、ようやくここからが今回の展示の反省点です。

えっ?

Chapter2  反省は次への糧である

そんなことを誰かが言っていた気がする。
言ってなかったら、どんまい。

反省点多すぎて、すべてを曝け出しているとさらに倍になりそうなので、いくつかをピックアップする。

・吾輩は地味である

ここまでアレやコレやと書いといて何だが、そもそもの展示が全体的にシンプルすぎた。というか、力加減が分からなすぎた。
グループ展の場合、目立ってなんぼであることは承知しているが、全部が全部前のめりにならなくともいいんじゃない?とは考えていた。ただ奥ゆかしくとも、主張する必要はあっただろう。
展示イメージは1回はちゃんとアウトプットしよう
客観的に評価しなかったのは問題だった。

・こゝろ

在廊を通じて感じたのは、声かけ大事!
誰しも作品を見ただけで、作品の背景やその想いを感じることは難しいだろう。だからこそ、まず知ってもらわねば始まらない。
来場者の行動や反応を見てみたかったから、声をかけないことが多かったが、声かけの効果はアンケート結果にも如実に現れていたことからも、また展示機会があった際に実行しない選択肢はない。

・それから

NFCタグの活用法である。展示ごとに用意するか、それとも展示全体として一本化するか、設営前日まで悩んではいた。
結果的に一本化することにはしたが、鑑賞から時間をおいて読んでくださったケースがほとんどであろうから、展示がどういったものであったかを思い出すのは難しかっただろう。
これについては、今回触れてくれた方たちの反応を確認できたので、次の機会があればTwitterのALTのような使い方でいこうと考えている。
あとはリンク先の文章を短くすることだけ…

キリがないので、今回はここまでにしようと思う。

ちなみに見出しが漱石のタイトル縛りであることに意味はない。
ただ勘のよい諸氏であれば、お気づきであろう。1個目の見出しが原因であることに…


改めまして、
この機会をくださった、別所隆弘さん。
写真展全体をまとめてくださったYuki Okuboさん。
展示のために最後までフォローに奔走してくださった運営の方々。
良い刺激を与えてくれた展示仲間たち。

そして何より会場にまで足を運んでいただいた皆さま。
誠にありがとうございました❗️

またどこかでお会いしましょう♪


↓仲間たちの記事と本文中に出てきた方たちもよろしくお願いいたします。

https://www.instagram.com/take_photo_jpn

https://www.instagram.com/takamaro_photographer/


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