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私が分身ロボットカフェを開催する理由

第2回、分身ロボットカフェ実験まで、あと2週間。
追加されたOriHimeの機能のテストや、30人規模になった全国のパイロット達との練習や、準備に追われている。

分身ロボットカフェは、重度障害や様々な事情で社会に参加できない人達がOriHimeを使って働く、新たな社会参加方法を研究する公開実験プロジェクトだ。

2016年、今は亡き私の秘書であり親友、寝たきりの番田雄太と雑談している中でアイデアが生まれ、イメージを描き、その日のうちに発泡スチロールで模型を作ったのがスタートだ。

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番田はそれまでテレワークで私の秘書として、盛岡から遠隔で働いていたが、お客さんを出迎えたり、見送ったり、お茶を運んだりなど、もっとやれる事を増やしたがっていた。120cmの移動もできるOriHimeであれば、様々な接客もできると考えたのだ。
番田と言っていた分身カフェのプロジェクトをやりたいと周囲に漏らしたとき、多くの人からは なんでカフェなんかやる必要があるの?と言われ、理解してもらえなかった。

「人が動かす意味って何?AIでいいじゃん」
「障害者年金を貰ってるのに、寝たきりになってまで働きたいと思う人が何人いるの?」
など。
 
だが、これだけは知ってもらいたい。
たとえ寝たきりになったとしても、人は助けられて生き続けたいわけじゃない。できるなら、誰かを助けて生きていたいのだ。

私は研究を通して年間多くの寝たきりの患者さんと会っているが、友人になった人、恩師を含む多くの別れにも立ち会ってきた。
番田らをはじめ、亡くなった仲間達と生前、生きる理由について語り合った。色んな意見もあったが、概して皆こう言う。
「生きるとは、誰かの役に立つ事だ」


今は亡き親友は言った。
「人助けや社会貢献は義務じゃない。でも、誰かの役に立つ事ができるということは生きる理由になる。」

2013年に初めて私が出会ったALS患者、故ヨーコさんは
「私が助かりたくてOriHimeのプロジェクトに入ったわけじゃない。もし、このプロジェクトが誰かの役に立つなら、私が寝たきりになった甲斐がある。だから、一緒にやってる」
と、インタビューで答えた。

一緒にOriHime eyeを開発し、オリィ研究所の顧問になってくれた元メリルリンチ証券会長をALSで退職した恩師、故藤澤顧問は、
「20代の若者達とベンチャーができるのは僕にとっても喜びです」
と視線入力でおっしゃった。

(参考) 


私自身、11歳~14歳まで療養の入院をきっかけに不登校、ひきこもりだった。その時間、何もしない3年半は本当に辛かった。
いや、何もしないならまだ良かったかもしれない。実際は友達がプリントを持ってきてくれ、担任が訪問してくれ、家族が毎日の世話をしてくれ、明日は学校に行くと嘘をつき続ける。そんな自分をなんとか嫌いにならないよう、気を張り続ける毎日だ。

学校や仕事に行かないといけない人達からすれば、休める事は羨ましいかもしれない。障害者年金をもらえる事は羨ましく映るのかもしれない。
だが、働きすぎて辛いのと同じくらい、働けず辛い。というストレスもある。あの劣等感、空虚感、無力感はストレスは筆舌に尽くし難い。

昨年の第1回目分身ロボットカフェ実験、パイロットのメンバー、マサは
「人生初めての接客仕事。仕事をした後の風呂が最高に気持ちよかった!」
と言い、

ミカさんは
「ALSになり、自由が奪われていく中で娘にも、手助けしてもらう事が増え、母親らしいことをしてあげられないと悔しい思いでいました。このカフェで、働いたお給料で、私から娘へプレゼントしたいと思っています。まだまだ母親として世話をやきたいのです。」
と、Twitterに書かれた。

人は誰かに必要とされたい。人に必要とされ、必要とする限り、人は生きていけるのである。

ALSや寝たきり患者だけの話ではない。
人はいつか外出困難者になる。分身ロボットカフェのアドバイザー佐々木淳医師によれば「健康寿命は平均寿命より10年短く、平成の時代に平均寿命が延びても10年という数字はあまり変わっていない」という。

65歳以上をセカンドライフとすれば、そのセカンドライフは残念ながら死ぬまでは続かない。現在の平均健康寿命は75歳だ。
健康寿命を過ぎ、外出困難、寝たきりになったあとも、人は孤独にならずに生きていく。その、いわば”サードライフ”の生き方、人生戦略が人類には足りていない。

患者さんの為にやっているわけじゃない。
私がこのまま生き続けた先に、もう一度不登校と同じような天井を眺め続ける人生が待っていると思うと、死ぬよりも怖い。
だから、いま寝たきりの仲間達に協力してもらって一緒に研究しているのだ。

私は確信している。
人類はたとえ寝たきりになっても、あるいは生まれつき寝たきりだったとしても、

1・OriHime eye+switchで指先や視線だけでも周囲の人々と会話し、
2・OriHimeを操って学校へ行って友達をつくり、旅行などで思い出作りもでき、
3・分身ロボットカフェなどで訓練し、そのままカフェや、OriHimeで働ける場所へ就職し、職場仲間達と共に働き、
4・その給料を使って、より生活を向上し、実際に仲間達と会いに行ったり、たまにはだれかにプレゼントができ、人生を謳歌できる。

そんな、寝たきりの先に、明るい未来は必ず作れる。
それが私の考える孤独解消戦略であり、分身ロボット、意志伝達装置に次ぐ分身ロボットカフェプロジェクトは、そんな時代への夜明けである。

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追伸、
分身ロボットカフェのクラウドファンディング、終了の27日まであと3日!
ご支援いただいている皆様、本当にありがとうございます。

吉藤オリィ

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吉藤オリィ

元不登校のロボット研究者.分身ロボット「OriHime」,「NIN_NIN」,視線入力PC「OriHime eye」,車椅子向けアプリ「wheelog」視線入力車椅子, 分身ロボットカフェ など開発. 新書籍「サイボーグ時代」発売中.

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