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デザインの素人が、デザインとは? というテーマについて考えてみた(前編)

見た目とデザインの関係性

「ダサい」とか、「かっこ悪い」と感じるデザインは、ダメなデザインか。

「そりゃそうだ」と思った人は、読んでほしい。
「私を相手にデザインを語ろうとは、いい度胸だ」みたいな人は読まないでほしい。
デザインをちゃんと学んだわけでもない広告ディレクターが、思いつきで書き連ねただけだから。

たとえば、家電屋さんなどで見かける、こんな感じのポップ。

これを見て「かっこいい」「かわいい」「イカしてる」と思う人はあまりいないだろう。
どちらかというとこれ自体の見た目は「かっこ悪い」「ダサい」部類に入るポップだと思う。

では、「ダメなデザインか」と考えると、どうだろう。

これを作ったデザイナーさんが「ダサいセンスの持ち主」と言えるだろうか。

たぶん、それは違う。

スタイリッシュでクールなデザインも、突き抜けたパンキッシュなデザインも、和モダンで落ち着いたデザインも(得手不得手はあれど)きちんと作れる能力を、きっと持っている。

ではなぜ、そのデザイナーさんはダサい見た目のポップを作って、店側もそれを展示するのか。

それは、その「ダサさ」自体に意味があるからだ。

「大特売」という、「安く商品を買えるかも」「高価なあの商品にも手が届くかも」と思わせるキーワードを際だたせるのが、上のような「ダサい」見た目のデザインだからだ。

では、下のような、ちょっと高級感を感じさせる雰囲気のポップにしたら。

ダサくはないかもしれないが、「安いんだ! 行ってみよう!」感は一気に薄れる。
というか、そもそもデザインと文字とのアンバランスさに、誰もが違和感を抱くはずだ。

見た目の美しさやかっこよさが、そのままデザインの良し悪しにつながるわけではないことがわかる。

デザインの果たす役割

では、よいデザインとは何なのか。
その答えは、すでに前項に出ている。

「大特売」というポップを見て、「安く商品を買えるかも」「高価なあの商品にも手が届くかも」と思わせる。

デザインが果たすべき役割はここにある。

見た相手にこんなふうに動いてほしい、あんなふうに考えてほしい。
その目的を達成するために、デザインがあるのだ。

とにかく伝えたいことを過不足なく伝えたければ、余計なものを排除して、見やすくわかりやすいデザインに。
何かを警告したければ、赤や黄色を際立たせるデザインに。
非日常を届けたければ、世界有数の絶景の写真を大きく配置したデザインに。
禍々しさや反骨心をアピールしたければ、髑髏を使ったデザインに。

デザインがユーザーの抱く印象を決めるのではない。
ユーザーに抱かせたい印象があって、それを満たすためにデザインがつくられるのだ。

逆に言えば、よいデザインには、きちんとした意図がある。

WEBサイトでも、エディトリアルでも、何かのパッケージでもいい。
身の回りにあるデザインに目を向けてみよう。

なぜその色をメインに据えたのか。
なぜそのフォントやサイズを選んだのか。
なぜ花のイラストがあしらわれているのか。

もちろん、デザイナーも、デザインする段階で要素一つひとつを特別意識しながらつくっているとは限らない。

それでも、デザインする対象にきちんとした目的があって、それをデザイナー自身も把握していさえすれば、デザインの背景には必ずその目的が隠れているはずなのだ。

デザイナーは、あなたに何を届けたかったのか。
身近なものから考えてみると面白いかもしれない。

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