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『第3回最強の名前トーナメント』に参加したときのこと。

2023年4月22日深夜、俺はめちゃくちゃ気持ち良くなっていた。自分の送り出した名前が、いつのまにかラスボスになっていたから。


※注意:大量のスクショをベタベタ貼りまくった、クソ長い記事です。


最強の名前トーナメントってのがあるらしい

ダ・ヴィンチ・恐山氏のDiscordサーバー「みんなで集まりま専科(通称:専科)」に入り浸っている。
ある日、サーバー内で「最強の名前トーナメント」とかいう文字列をみかけた。どうやら“専科”の派生コミュニティで行われた、「みんなでそれぞれ考えた名前を戦わせて、最強を決める」という遊びらしい。
派生コミュニティでは2度の大会が開催されていて、次の第3回は“専科”内でやるそうだ。

ふ〜ん、面白そうじゃん。いっちょ名前を考えて送ってみるか。

送った。たぶん30分くらい考えて送った。絶対優勝できる!とまではいかないが、かなり自信があった。暴れてくれよ〜、と思っていた。
そして、大会当日へ……。

開戦

4月22日21時、大会が始まろうとしていた。

↑司会進行の運営
↑記録係の運営

21時には始まらなかった。ブルアカの生放送が延長していたので。ハァ???

21時19分、戦いが始まった。

大会の流れは以下の通りである。

① 運営が複数の応募された名前を提示する
② 観戦者がどの名前が勝ちそうかを議論する
③ 運営が議論タイムの終了を宣言する
④ 観戦者が勝ちそうな名前に投票する
⑤ 得票数の多かった名前が勝ち上がる
①〜⑤を決勝戦まで繰り返す
最後まで勝ち続けた名前が優勝者となる

また、今回からの新要素として、投票が僅差だった場合は必殺技を出して再投票をするルールが追加された。
(最初は同票で開示だったが、必殺技見たさに票の調整が発生したので途中から2票差で開示になった。)

一回戦前半

記念すべき今大会の第一試合がこちら。

こういう遊びです。

・ふわふわねこちゃんはニクガスキーに食われる
ニクガスキーは毒で死ぬ
・絵描き姫、純粋な暴力に抵抗できるかな
・ニクガスキーは姫とねこちゃんを食って死ぬからメイドインメイドが勝つ
・絵って描くのに時間かかるから銃器攻撃に耐えられない気がする

などの発言があり、メイドが33票で勝ち上がった。この試合の時点で投票者数は57人。思ったより多いな。

第二試合では早速票が拮抗して必殺技が出ていた。
このシステム、かなりアツい。必殺技が見たくて票の調整をしてしまうのもちょっとわかる。

第三試合では惑星やX-DAYが登場していた。X-DAYって何ですか?

ほら、みんな困惑してるよ

いや、そうでもなかったみたいです。オタクの柔軟さが出ている。
ホノカが主人公っぽさで行けそうだったけどX-DAYが勝ってました。X-DAYって何ですか?

半一般人みたいなのが集まってる試合もあった。
自分から見て一番印象の薄かった妖狐っぽい名前が僅差で勝ち上がっていた。
この大会は「どう戦ってどう勝つか」の共通認識が通ると勝てるような傾向があるので、二つ名なしの名前だけで勝ち上がったのは今見ても結構すごい。気がする。

象が3人の人間をなぎ倒して勝ったりもしていた。
大きさとは、力である。

一回戦後半

大会開始から2時間弱が経過した23時頃、ついにきた。

自分が出した名前、慊焉の形 “むし”が試合に登場した。
大会が進むにつれ「自分の名前が出ても多少触れられればそれで満足かもな……」という気持ちになりつつあったが、いざ登場すると「キタキタキタキタキタ!勝て勝て勝て!がんばれェ〜!!!!!!」になる。我が子の運動会を見にきた親ってこんな気持ちかもしれない。
「オタクはこういうのに情報量詰めがちだから、逆にシンプル寄りの名前で勝負したいな……」と思いながら出したのが “むし” だったので、長めの名前に囲まれているのを見たときは「狙い通り!!」と嬉しくなった。

登場直後の様子。ここまで11試合×4選手=44個の名前を見てきた観客たちが、「むし」の簡潔さに目を引かれている。いいぞ、良い調子だ。

むしさんトコトコ

わからない単語をすぐに調べてくれるオタク、かなり助かる。
だんだんと会場内がむしの雰囲気に呑まれていく。

「実力者たちが得体の知れない怪異に訳も分からないまま倒される」という共通認識を得て、圧倒的に勝利した。気持ちよすぎる。
この大会の試合では最高の44票を獲得していた。
「これ、かなりいいところまでいけるんじゃないか!?」
だんだんと興奮してきた。
自分が考えた名前が勝つのって最高だ。

その後の一回戦はなんとか迷惑系YouTuberキラーを勝たせようとしたりしていた。何人かなびいてたけど普通に負けていた。

一回戦終了時点でちょうど日付が変わった。
「これ何時までやるんだ!?」と思いつつ、自分の名前が勝っているので目が離せなかった。

二回戦

二つ名のない狐がX-DAYに勝っていた。ほぼ消去法で一回戦を勝ち上がったキャラが、いつの間にか強キャラ感を醸し出しつつあった。

あとは象が巫女に鼻を結ばれて負けたりしていた。


魔人とアイドルが戦っていたのでアイドルを擁護した。
アイドルが好きなので。


“むし”の二試合目は魔獣が相手だった。

観客も盛り上がってる。まだ二回戦なのに。

滅血魔獣ヴァルキロスは一回戦で必殺技を出しており、“むし”は必殺技未開示で勝ち上がったことが有利に働いているようだった。

自分はというとしらを切って適当にそれっぽい発言をしていた。

そして二回戦も大差をつけて勝った。
嬉しい!!!

「得体の知れない、一筋縄ではいかないなにか」という共通認識が出来上がりつつあった。
これってもしかして優勝もあるんじゃないか!?と思い始めた。
このままいけいけいけいけいけ!!!!!


次の試合ではオカルト系バトルマンガのような2人が戦っていた。

属性相性と経験値の有無のイメージからキャンドルサービス有利っぽい空気が流れていた。

そんな議論中に運営のミスが露呈、 “むし”の不気味さがなんか勝手に増幅されていた。ラッキー。

相性の悪さをトウマが主人公っぽさで押し返し必殺技開示まで持ち込んだが、練度の高そうさでキャンドルサービスが勝ち上がった。

そしてなんか弟子入りの流れが自然と出来上がっていた。

三回戦

大会も中盤、ベスト8の戦いへ。

運営はアナウンスを間違えていた。

一試合目はどんどん強キャラになりつつある狐とヤンキーの戦い。

「柴千春状態」がかなり的を射ている。体力的にそろそろ厳しいんじゃないかみたいな空気が広がる。

自分はというとダリアの子分エミュをしていた。

冥狐と“むし”の繋がりが見出され始める。
この日はシャニマスの育成をしながら大会を眺めていたが、“むし”が自身の登場しない試合でも言及されて大会の空気を掴んでいくのを感じ、この辺りから齧りつくようにスレを見始めた気がする。

かなり大差で冥狐が勝利。

第二試合は象に勝った巫女と太陽の子孫。

属性がかなり綺麗に対になっていることで議論が白熱していた。

と思ったら異海は海じゃないんじゃないかという発言も出てきた。

ここで再び運営のミスが発生。
発言は消されているが、確か投票が「カルラナvsヨシナ」でなく「“むし”vsヨシナ」になっていた。
ただのコピペミスに過ぎないが、数時間名前から文脈を生み出し続けたオタクたちは勝手に恐怖を増幅させていた。ラッキー。

ここぞ好機とばかりに自分も煽るような発言を書き込んでいた。

試合自体は拮抗からの必殺技開示へ。

ただの海じゃない感が強まった巫女が勝利した。


第三試合、応援していたアイドルと“むし”がぶつかる。

ここまできたら何を言ったらいいかわからなくなってきて「むし」とだけ発言している。

会場の空気ごと鎮めてしまうような“むし”の雰囲気がアイドル不利の流れを作り出していた。

投票時間が始まりあいらへの声援が飛び交うも、“むし”の勝利で終了。
自分の名前が勝ったのにどこか悲しさもあった。俺もあいらを応援していたから…。


第四試合は弟子ができた沸魔師vs巨大な剣を操るお嬢様。
さっきとはうってかわってアツい雰囲気の戦いが始まった。

実力差はあまりなさそうに思われたが……。

お嬢はここまでのダメージが蓄積しているのではないかという意見が共有されたのかキャンドルサービスが勝った。トーナメントの妙。
正直、ここでお嬢様が勝って欲しいと思っていた。
お嬢様キャラが好きなのもあるし、“むし”の次の相手として対魔っぽいキャンドルサービスに勝ってほしくなかった。クソ〜。
準決勝、一体どうなってしまうんだ……。
興奮が抑えきれなくなってきていた。2時半なのに。

どうやら爽やかに決着したらしい。

今気づいたらしい。

準決勝前の休憩時間

楽しすぎた。

“むし”の必殺技恋ダンス説が発生していた。「うんうん、茶化すことで恐怖をやわらげようとしているんだねえ」とどこか微笑ましくなっていた。

準決勝

準決勝が、始まる。

属性が近いことから「旧知の仲」という認識が急速に広まり、そのまま経験値の高そうな冥狐有利の流れに。

かなり大差で冥狐が勝利。決勝へ進出した。
初戦はなんかヌルッと勝ってたのに、強キャラ感が上がり続けている。


準決勝第二試合。

このあたりの自分は「ここまで来たら決勝でラスボスとして散るのが一番かっこいいな…」と思い始めていた。
「だから、ここは勝て!!!」という感情とともに擁護している。

未知と恐怖の闇に打ち勝つためにあるのが、『炎』なんじゃ無いんすか

この発言かっこよすぎるだろ。

本当に息を飲んで見守っていた。
「頼む!頼む!必殺技も出せずに負けるなんてことになるなよ!」と祈りながらDiscordのリアクション数の遷移を凝視していた。
数字では負けているが二票差。必殺技が出る。

慊焉の貌 “むし”、お前の必殺技を見せてやれ。

既出であるキャンドルサービスの必殺技が先に出る。
かっこいい必殺技に盛り上がる人々。









“むし”の必殺技が出た途端、阿鼻叫喚が噴き出す人々。

夜を照らせ〜〜〜〜

ここ、そういう演出すぎる。一瞬で真っ暗になってしまった会場のどこかから、乗り遅れた声援がひとつだけ細々と聞こえてくる演出。


すぐ意味を調べてくれるオタク、ありがとう。
この瞬間が一番気持ちよかった。
シンプルかつ嫌なイメージを持たせたくて、「あ」と読む漢字一覧から一番嫌だなと感じて選んだ「痾」。
自分が考えたものがたくさんの人間の感情を掻き乱して、それをリアルタイムに見ている快感。すごかった。




ここの票の増え方すごかった。ドゥルルルルンって感じで数字が増えていた。


キャンドルサービスは生死を心配されていた。

三位決定戦

ボロボロになったことでキャンドルサービスがエロを見出されていた。

実際の投票数は運営の1を表示数から引いたものなので、40-0でヨシナが3位となった。
静かな決着。

決勝前小休憩

楽しすぎてギンギンで全然眠くなかった。
3時過ぎで40人くらいが参加してるの、盛り上がりすぎてる。

決勝戦

最後の戦いが始まった。

ここまで来たらもう「楽しすぎる」しか言えなくなっていた。楽しすぎた。

ここまで来たらもう「たのしすぎる」しか言えなくなっていた。たのしすぎた。



議論時間が終了し、投票が始まるかと思われたその時。

ここで、決勝戦特別措置として、無条件必殺技開示が発動される。

ここまで来たらもう「たのし〜」しか言えなくなっていた。たのし〜すぎた。





名前には直接書かれていなかった冥狐の炎属性が露呈したことで、一瞬で文脈が何倍にも膨れ上がっていった。
まるで仕組まれていたかのような綺麗すぎる流れ。
完全に、物語が紡がれていた。


2023年4月22日深夜、俺はめちゃくちゃ気持ち良くなっていた。自分の送り出した名前が、いつのまにかラスボスになっていたから。
ラスボスとして、綺麗に散っていったから、本当に嬉しかった。
ありがとう、最強の名前トーナメント。
ありがとう、 “むし”。


大会終了


あんまり直後に雰囲気壊したくなくて、ちょっとカッコつけて作者開示した。

本当に楽しかった。
この後、そこそこの人数が朝まで感想を語り続けていた。
本当に良い日だった。

最強の名前トーナメントはこの第三回で勢いづき、半年以上経った今も絶えず大会が開催され続けている。
自分も名前をちょくちょく送っている。
自分が出した名前がラスボスになった喜び、一生忘れないかもしれない。
もしかしたら、死ぬまで最強の名前トーナメントをやっているかもしれない。

かも、しれない。