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大阪ミナミで異世界体験! ビーカーでジュースを飲む病院カフェ

●アナムネカフェ

大阪のメインストリート、#御堂筋通りから一筋、二筋と歩けば、雑居ビルの界隈に入る。ブランドのロゴマークが立ち並ぶ街並みが、ラフでカジュアルな若者の街へと切り替わった。

住所はこの辺り。人波に埋もれそうな看板をようやく見つけた。

よくも見逃したものだ、
見れば心臓、胃や肝臓など、臓器オブジェが張り付いている。
こんな看板、そうそうない。
「café Anamúne」
この奥が“奇妙だけど気になる”と噂のカフェだ。


ビル内部の壁に、赤や黄で塗りたくられた落書き。微妙な心理的圧迫を受ける気がする。来客の気分を盛り上げるための演出なら、成功だ。

店のオーナーは “ジョニー”

店内はほのかに薄暗い気がした。
いや、ただの気のせいかもしれない。
きっと異世界に迷い込んだような錯覚のせい、あるいは尋常ではない雰囲気が漂うせいだろう。

人体模型や、手術台を模したテーブル、写実的な絵画。
めぐらした視界に入るものは、どれもカフェとは程遠い。
積まれた書籍のタイトルには、『殺人』、『奇人』など、一定志向に偏った言葉が多い。

「この店のオーナー“ジョニー”です」

突然、背後から声がした。

ケースの中の人体模型を眺めていると、「店長のPinkです」と名乗る女性が話しかけてきた。
彼女いわく、人体模型がオーナーだというのだ。ああ、なるほど。そうなんですね。とあいまいな言葉を返しながら、平静を装う。

「昔から病院に住みたいと思っていたんですよ。わたし」

淡々と、静かに語るPinkさん。幼いころから持病の為に、病院通いが長かったという。加えてご家族の入院もつづき、病院で過ごす時間は日増しに増えていった。

つまり、彼女にとって病院は生活の一部であり、もうひとつの家と言えるほどの慣れた空間だったのだろう。

心が投影された世界観

やがて、望郷に似た感覚からか、7年前にこの「アナムネカフェ」をオープンさせた。元々服屋だった店舗を、大工さんに教えてもらいながら自力で改装していった。

店内に飾られたアイテムの数々は、Pinkさんが集めただけでなく、知人ドクターからのもらい物もある。


住み慣れた病院を思い出しながら、作り上げられた病室は、ある意味Pinkさんの心が投影された世界観に満ちている。この場を表現することで、彼女はまた第二の故郷を手に入れた。


しかしいまでこそ、この独特な世界観に魅力を感じて訪れる人は多いが、開店当初から半年間の間は閑古鳥が鳴いていたそうだ。ブログやSNSに投稿をアップするうち、徐々に来店客は増えていったという。

ドリンクはビーカーで

さて、気になるカフェメニュー。
一番人気はドリンクとセットの「ロコモコ」(1200円)。ドレッシングまで、全て手作りというこだわりっぷりだ。ここが病室だとすれば、病院食にしては豪華なのが、複雑な気分になる(笑)。
斬新なのは、ドリンクの入ったビーカー! 

「お客さんにそこまで受けるとは思ってなかったんです」

Pinkさん曰く、「病院カフェだから、っていうわけじゃなくて、自宅のコップがビーカーなんです」だそうだ。彼女にとっては病院にまつわるアイテムと暮らすのが、標準装備らしい。

カフェ好きのカンフル剤

来店客のほとんどは若い女性。学生や中には親子連れも。SNSの投稿を見て訪れる旅行客も多い。
どんなにユニークであろうと、カフェ好きは、女性の特権なのかもしれない。

週代わりで画家の作品の展示もしているため、きっと訪れるたび、違った雰囲気でカフェを楽しめるだろう。画家自作のグッズ(200円~)も販売している。コアなファンに人気なのだとか。

ありきたりなカフェ巡りに飽きた人には、ちょうどいいカンフル剤になるかも?

(DATA)

● アクセス:大阪metro御堂筋線心斎橋駅、四つ橋線四ツ橋駅より徒歩約5分
● 住所:〒542‐0086 大阪市中央区西心斎橋1‐8‐16
● 電話番号:090‐1957‐2526
● 営業時間:平日12:00~19:00(L.O:18:30)
● 定休日:なし
● 平均予算:900円
● 席数:全30席
● 喫煙環境:喫煙可
● その他:クレジット可
● ペット同伴:可

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