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国際観光旅客税の1000円は誤差?

 大阪市減税会 事務局 陰気なたまむし (@inkinatamamushi) です。関西で継続的に減税活動し活動報告をしますので、フォロー頂けたら幸いです。
 今回は、国際観光旅行税が富裕層への税金なのか、1000円は誤差なのか、論点を整理しました。

国際観光旅行税とは

 日本には国際観光旅行税というのがあります。これは、海外旅行の際に出国に合わせて、1000円を徴収するものです。それだけです。


海外旅行は富裕層の増税?

 海外旅行ができる人への課税は、富裕層への課税なのだから良い課税だという意見があります。それが本当なのか、富裕層というとどの程度の富裕層なのかを考えます。
 「海外旅行 平均費用」で検索すると、平均消費額は26万円であり、6割が20万円未満であるとの記事がありました。ということは中央値は20万円未満であることがわかります。
20万未満の消費は富裕層しかできないことになのでしょうか?20万円を旅行で払えるのは富裕層だ‼︎と言われてしまえばそれまでですが、そこまで極端な富裕層ではないように思われます。
 公務員の所得中央値が550万円くらいなので十分海外旅行可能に思います。公務員の給料でできることは富裕とは言わないと思います…..


国際観光旅行税は誤差を定義

 海外旅行は富裕層でなくともすると私は思っています。しかし、それでも、国際観光旅行税は富裕層への税であり、納税者にとっては1000円程度は誤差であるという意見はあると思います。この意見が間違っていることを説明します。
 まずは課税が誤差であるというのを定義します。通常製品の価格が上がるとほしい人が減ります。価格が上がることで需要が減るということです。ガソリン税なんかはまさに環境対策のためにガソリン消費量減らすために課税しているという意見があります。
 課税による価格上昇と需要減少はつきものです。課税は誤差というのを定義すると、「課税によって価格が上がっても需要が変わらない、あるいは需要の減少が微小である」ということです。

価格弾力性について

 この、価格によって需要が変わらないかを調べるには、「価格弾力性」を調べればわかります。
 価格弾力性とは、価格が⚪︎%上がった時に需要が△%下がるかを計算したものです。例えば、

価格:1000円→1200円(20%UP)したときに、
個数:100個→80個(20%DOWN)した場合は
-(-20%/20%)=1.0
つまり価格弾力性1となります。

あるいは、
価格:1000円→1200円(20%UP)したときに、
個数:100個→60個(40%DOWN)した場合は
-(-40%/20%)=2.0
つまり価格弾力性2となります。

逆に
価格:1000円→1200円(20%UP)したときに、
個数:100個→100個(0%DOWN)した場合は
-(-0%/20%)=0.0
つまり価格弾力性0となります。

それぞれ価格弾力性を並べると、
価格弾力性:1
価格弾力性:2
価格弾力性:0

この中で、価格弾力性0はいわゆる誤差と言ってもいいと思います。価格が変わっても需要が変わらないということです。逆に価格弾力性2というのは増税によってより悪影響が大きいということになります。

国際観光旅行税は誤差どころか…

 さて、海外旅行の価格弾力性は、他の商品やサービスより価格弾力性が大きいか小さいかですが、大きいというのが常識です。詳細な数字は見当たりませんでしたが1.5〜3程度であると考えることが多いです。これは、1000円の増税は価格弾力性によって需要減少の悪影響を大きく受けると言うわけです。
 海外ではありませんが、旅行に関しての記述がありますので、よければお読みください。


 さらに、海外旅行による消費額が20万円とすると、1000円の課税は旅行費用の0.5%に当たるので、需要はざっくり1.5%下がります。つまり、この課税によって1.5%の需要が失われているわけで、影響は大きいと思います。(この計算は理論的にはおかしいですが、イメージそんな感じです。)貧乏人なんか海外に行かんでいいと言う意見なら理解はしますが共感はしません。

一般人にも海外旅行を!!

 ここまで説明した通り、国際観光旅行税の増税は需要減少に大きな影響を与え、本当に富裕層しかできないものにしていきます。これはおかしな話です。車が富裕層から一般家庭のものになったように、飛行機の移動も一般家庭のものになっていく未来を夢見るべきです。もうある程度はできると思いますが。
 しかし、さらにいろんな人が旅行を楽しむためにも、需要を税によって縮小するのではなく、自由市場と規制緩和によってどんどん供給力を増やして価格が下がっていくようにしていくべきです。

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