日記20181115

 東京の空はテレビの空きチャンネルの色をしていた。

 日本では空きチャンネルと言えば砂嵐かカラーバーと相場で決まっているが、『ニューロマンサー』の書かれた当時のアメリカでは、真っ青だったと聞いたことがある。

 快晴の浅草に、異世界居酒屋のぶのリアル店舗が登場したというので、お邪魔してきた。
 samurai hostel 浅草の店内に拡がる、素敵な空間。
 大勢の報道陣や関係者の詰めかけるそこは、まさに異世界であった。

 鍋料理を中心に、様々な料理をビュッフェ形式で頂く。
 異世界居酒屋のぶの作中に登場したメニューも、それ以外のものも、全てがヴィーガン対応で、ムスリムフレンドリーというのにはとても驚かされた。

 料理の監修は、のぶ弁当の際にもお世話になった西麻布の会員制個室料理店「くすもと」の料理長。

 大豆ミートの唐揚げや、動物性のものを一切使わないおでんなど、はじめて食べる味は、素材の味を生かした健康志向なものが多い。

「ヴィーガンやムスリムの人も食べられる」のではなく、「誰でも食べられる」を目指したという言葉には、とても頷かされた。
 宗教上の理由や文化、習俗、個人の良心的な問題意識から食べられないもののある人は世界中にとても多い。
 誰とでもテーブルを囲むことができる、というのは、奇跡のような状況なのだ。

 異世界居酒屋のぶを現実の店舗で、という想いと、誰とでも食事を共にすることができるようにという店の想いの一つになった、とても素敵なお店になっている。

 開店を祝福するかのような青空の下でのお披露目は大盛況で、私はしんみりと、自分の創った作品が切っ掛けで、多くの人を笑顔にすることができるというのは、ありがたいことだなと感じたのであった。


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