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西宮ストークス観戦記#7 @愛媛1

開幕節を連勝で終えた西宮ストークスは、アウェーで愛媛オレンジバイキングスと対戦します。タプスコットにはかなり点を取られそうだけど、総合力では負けるイメージはしない。奈良との開幕節はまったくと言っていいほど当たりの来なかったシューター陣をどのように機能させるのかも含めて、チームのベースを固めたいというのが、フィッシャーHCの思惑でしょう。

◉ブラッド・オン・ファイア

スタートは松崎・道原・谷口・バーンズ・ブラッド。これで開幕から3戦続けて異なるスターティングラインアップです。道原選手のきれいなフローターで先制。ブラッドのローポストも決まって上々の滑り出し。ちょっと不運なシュートファウルがあったり、イージーシュートを外して少し差を付けられますが、ブラッドさんの連続得点で一気に追い上げます。


前節を予習がてらに見ていた時に感じた通り、愛媛のビッグマンは腰高でディフェンスがよくない。ブラッドさんのローポストはストロングポイントになりそうと予想していたら、案の定、ボールを集める西宮。道原−ブラッドのハイピックからの展開にズルズルと下がる愛媛。こういう感じだと楽。

残り5分きっかりで谷&俊野の両ウィング陣が登場。俊野選手がピックをもらってからハンドルしてシュートへ繋げるプレーを2本ほど続けるも決まらず。まだ自分で打つのとパスを出すのを迷っているところがある。周りは打ってほしいのに、パスを出す先を探したりするからタイミングが合わない。このへんのチームケミストリーというか連係はまだまだこれからかな。

谷さんの最初のスリーがいきなり決まって、4点リードするものの、愛媛の3Pが終盤立て続けに決まり、2点ビハインドで1Q終了。ブラッドさんのところで簡単に点が取れるからといって、無駄な失点してると後で響くかもよ。ブラッドさんがオフェンスリバウンドで競り合ってくれるからといって、無理やりシュートを打ってるとリズム崩すよ。そんな10分間。

◉多彩になったピックプレー

オフェンスは波に乗り切れていないものの、今日はディフェンスはいいよ。スクリーン前後のマークの受け渡しがスムーズ。そんなディフェンスを足がかりに、2Q開始早々に10-2のラン。岸田くん、前が少しでも下がったと見るや、「なめんなよ」とばかりにスリーを決めた。アルゼンチンのカンパッソみたいじゃないか。駆け引きは最初が肝心。ようやく谷選手がタッチを取り戻し、2本目のスリーとミドル。たまらずタイムアウトの愛媛。

愛媛は明らかにオフェンスのバリエーションが不足。いろいろ試すんだけど、最後はタプスコットにお願い状態。そのタプスコットもバーンズ先生に付きまとわれているので快適にプレーできません。

そして今日も土屋選手が躍動。オフェンスでもいい動きを見せて、シュートを決めるだけでなく、スクリーンでリズムを生み出し、外国籍選手を交互に休ませることができました。ディフェンスも今日の相手はポストプレーして来ないから楽だよね。

西宮はブラッドさんのピックからの展開が多彩。特に道原選手は、ディフェンダーをスクリーンに引っかけてからのドリブルワークがどんどん上手くなってる。しっかりディフェンスを連れて行ってくれるから、周りも合わせて動きやすいし、ズレができるから攻めやすい。速攻は出なくても、こういう攻撃を続けることがリズムを生むんだよな。

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最後の愛媛のスリーが決まって8点リードで前半終了。選手を小まめに入れ替えながらのこの試合運びはなかなかの貫禄。2Qでリードを作れた理由は、ターンオーバーが減ったことでしょう。決めるべきシュートをきっちり決めて、それがそのままリードにつながりました。

◉カードを切ってきた愛媛

3Qは出だしから愛媛が仕掛けます。そりゃそうだ。ディフェンスでは2-3ゾーン、オフェンスではタプスコットへのハイピックやアイソで追い上げを図ります。前半はわざとやらなかったんだろうか。まあ、これが愛媛の一番強い形なわけで、切り札をいきなり切るわけにもいかないんだろう。

で、効いたのはゾーンの方。途端にパスミスが増えて、速攻を食らう。なんでそんなにわかりやすくきれいに崩そうとするんだろう。バレバレのパスミス。一気に1点差まで詰まって、タイムアウトの西宮。今日、当たっている谷さんを入れて、ゾーンを広げたら、連続で決めたのはまさかの松崎選手(すみません)。でも、シューターが入って明らかにディフェンスが釣られたよね。このあたりはフィッシャーHCの手腕が光ります。

素早い攻めやきっちりパスを回してのスリーでゾーンを攻略すると、松崎選手に代わった岸田選手がセンスを見せます。愛媛のディフェンスがマンツーマンに変わったと見るや、ブラッドのポストプレーを選択し、ディフェンスでは激しいプレッシャーで相手のターンオーバーを引き出します。なんか「わかってる」感じするよなあ。

ミスも出て、もう少し離せるかと思ったものの、7点差と少しだけ追い上げられて3Q終了。カードを切ったものの点差を縮められなかった愛媛。嫌な流れを自ら断ち切った西宮。これはストークスとしては、かなりポジティブな材料だと思う。

◉点差以上の実力差

スティールからの俊野選手のレイアップで始まった4Q。なんか初めて気持ちのいい形で得点したんじゃないか。さらに緩急のあるドライブからファウルをもらい、フリースローも2本とも決めてオフェンスを引っ張る俊野。ディフェンスの動きまで良くなってくるんだから不思議。もう一つファウルもらってフリースローを決めたけど、スリーまでは入らない。でも、ちょっと吹っ切れたかな。

なんだけど、愛媛のブレディが急にスリーを打ち出して、タプスコットのシグニチャーのバンクショットも決まって2点差。うーむ、アウェーはやはり簡単にはいかない。だからと言って焦りはないんだ。基本的に今日はディフェンスがいいからね。ほら、谷さんの見事なムーブからのスリーが決まった。お膳立てしたのはバーンズ先生。一つ前のドライブを囮にしてのパスアウト。さすが。7点差までまた戻してオフィシャルタイムアウト。

タイムアウト明けのディフェンスを見事な反応のディフレクションで止める谷キャプテン。手首が痛そうだけど大丈夫かな。地味だけどどちらもビッグプレー。コーナースリーへのチェイスも素晴らしい。そのリバウンドからの速攻が決まって9点差。ただ、なかなか2桁点差にならない。さっさと引導を渡してしまいたいんだが。

それでも、その後もきっちり守って、危なげなく勝利。最終スコアは6点差だったけど、それ以上の実力差は正直あった。それをきっちり勝利に結び付けられたという点が大事。見事に開幕3連勝を飾りました。

◉「点差以上の差」って何だろう?

とかなんとか書いておいて、いきなり前言を覆してしまいますが、「点差以上の実力差」というのは、逆に言えば、「実力差を点差に反映できていない」ということでもあります。つまり、相手を圧倒できないってこと。

これを象徴するのが、ある意味では、今日のハイライトの一つだった松崎選手の3Pかもしれない。というのも、愛媛としては松崎選手がスリーを打つのは「OK」のはず。道原選手や谷選手をカバーするぶん、どうしても空いてくるところがあるわけで、決してアウトサイドのシュートが得意ではない松崎選手のスリーは、愛媛のディフェンスのマネジメントとしてはむしろ成功したと言ってもいい。

(もちろん決めた松崎師匠は偉いんだけど)相手がケアしてくるのをさらに上回って、道原・谷をフリーにすることはできなかったということになる。(もちろん決めた松崎師匠は偉いんだけど)それは愛媛の思惑通りであったとすら考えられるわけで、それでいいのかとも思ったり。圧倒できないというのは、つまりこういうことなんだろうな。

選手の総合力やプレーの精度では上回りつつ、圧倒的な差を見せつけることはできない。そういう意味では、とてもわかりやすくストークスの現在地を表した勝利とも言えるのでした。


※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。




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