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スマホもギターもピアノも腱鞘炎になります

腱鞘炎に関してはギタリストに関わらず、
多くの人にとってリスクのある病気なので、
一部内容を公開することにしました。
おさむらい部誌(武士) 2014年6月2日 第十八号 より。

手の痛みを放っておくとギターを弾けなくなるかもしれません。



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【身体の科学と健康について】 さて今回はお便りのリクエストから、ギタリストやピアニストなど、手を酷使する人が知らなければいけない健康の話をします。爪ではなく、手の動き、筋肉や神経に関わる部分です。パソコンをクリックしているのも、スマホを操作するのも手の一部分に集中して負担が掛かっており、これらが原因で腱鞘炎になることもあるので、現代病とも言えるかもしれません。

 ギタリストは手が命。しかし、わたしはギターを弾く際に演奏に影響するほど手が痛くなってしまったことがあります。

・ワンマンライブを昼夜二回公演したとき。
・3日連続でワンマンライブをしたとき。
・5日連続でスタジオレコーディングをしたとき。

 ライブは一瞬なので気合でどうにかなります(します)。しかし、レコーディング時は慢性的な痛みがある状態で、しかもスタジオにおいては使用時間が決まっている中で最高のギターを弾かなければならず、とても大変でした。
 いずれも何日か休むと元の状態に戻りましたが、「このまま弾けなくなったらどうしよう…」という不安や、演奏のクオリティが下がってしまうという不安があり、二度と起こしてはならぬ…と対策を練ることにしました。

 具体的には整体に行って色々試してみたり、マッサージなどを教えてもらって実践したり、本を読んで学んでいるのですが、その中で得た知識を掻い摘んで話していきます。普段の生活の健康にも役立つと思います。灸はやったことないですが、針はやってもらったことがあります。楽になった気がしました。
 何件か回って感じることは、整体専門の先生が一番話に説得力があり、効果も目に見えてわかるものでした。特に元ギタリストの先生には定期的に診てもらい、効果を体感しています。(最近は教えてもらったケアを日頃からやるようになって、さらに秘密兵器も入手して痛むことがないので逆に診てもらいに行ってないです…ツアー前にはまた行こうかと…)
 ホテルや温泉にあるマッサージ、およびマッサージ機は、なんとなく気持ちいいだけで病気レベルのものには意味がない、という印象です。ただ、筋トレの後のケアや、疲労回復、予防には十分意味があると思います。

 「ピアニストの脳を科学する」という本によれば、ピアニストには三大職業病があるといいます。

(1)腱鞘炎(2)手根管症候群(3)フォーカル・ジストニア

 加えて、(4)筋膜性疼痛症候群(5)ガングリオン などが起こりうるということです。ギタリストも同様に手を酷使するので、同じ問題が生じると考えて間違いないでしょう。いずれも、ギタリストの症例があります。 一口に腱鞘炎と言っても、素人目には(1)(2)(4)はほとんど区別が付きません。誤診されることもよくあります。自分で判断せず、専門家に診てもらいましょう。不安があればセカンドオピニオン、いくつかの医師に診てもらうべきです。
 いずれも細かく説明すれば、原因も対処法、予防法も異なるのですが、共通するのは、「練習しすぎること」で起きるものです。また、無理な姿勢のまま演奏することで身体に負担が掛かることも大きな要素なので、この点は意識するべきです。
 ロックギタリスト・ベーシストはギターを低めに持ったほうが格好がいいのですが、手に負担が大きく掛かってしまうので、長い目で見るとオススメできません。ライブや重要なリハはともかく、普段の練習から長時間常に低めで弾くのはやめた方がいいです。クラシックギタリストも姿勢を一定にすることが求められますが、長い目で見ると良いことではないように感じています。

 (3)のフォーカル・ジストニアという病気をぼくも知らなかったのですが、脳の神経回路に問題が起きることで演奏ができなくなるというもので、反復練習を行ったものだけに影響があるという不思議な病気です。クラシックギターを持つと弾けないけれどエレキギターは弾ける、ということすら起こるそうです。痛みを伴わないため気付かぬまま演奏不能になってしまい、治そうにも治療法が確立されておらず完治が難しい、非常に恐ろしい病気です。
 ただ、予防法として「間違いを恐れない」ことが重要だと書かれています。ジャズの音楽家にはほとんど発症せず、クラシックの音楽家に多いことから、「楽譜通りに弾かなければいけない」という意識が病気に関わっているのではないかと言われています。
 ソロギターというジャンルはクラシックに近い意識で、「譜面通りに正確に弾こう」、という人が多い印象があります。それ自体が良いか悪いかはともかく、ジストニアという病気があり、そのリスクがあることは知っておいてもらいたいと思います。


 今週はここまでです。来週は続いて自分の手に起きた問題とその解決方法、日々のケアの方法についてお話しますぞ!そして秘密兵器とは…!


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「おさむらい部」メンバーシップはこちら
 このエントリの最後で話している秘密兵器に関してなのですが、10万円を超えるかなり怪しいモノなので、ちょっと一般には話しづらいです。またジストニアは脳や神経の問題であり、作用機序からするとそちらには有効ではないと思われます。
 ただ腱鞘炎を含む身体の様々なトラブルに有効(出産後の身体のケアにも有効だそうです)なので、興味がある方は「おさむらい部」メンバーシップからコミュニティのメンバー限定エントリからコメントしてもらえば答えます。日々のケア、マッサージの方法なども、質問があれば詳しく答えます。

興味あればぜひ。


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